ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/06/22

糖類の上 @tinouye

#twnovel 「あなた、通販が届いたわよ」「また大きなダンボールだな。なんでスカスカな箱にいつも入れて送るんだろうな」「ニャー」「あぁ、おまえは箱好きだな、ちょっと待ってな」「ニャー」実は通販会社は猫に支配され、猫に大きなダンボールを送りつけていることはあまり知られていない。

かれきハナサカ/てごね#6971 @873k

バクさん。あなたちょっと、夢を食べすぎましたね？　ごらんなさい、こんなに値が高くなって。もうあなたしか夢喰いバクがいないからって、無理はしちゃいけませんよ。これ、いつものお薬ですから。１日３回と、お仕事の後、忘れずに飲んでくださいね。はい、お大事に。 #twnovel

竹 @bamboogamble03

#twnovel 生粋の雨男は、晴れ間を見ることを半ば諦めていた。暗く、ジメジメした曇天のような男だった。そんな彼を、生粋の晴れ女は放っておけなかった。彼は怯えて逃げ惑う。彼女は執拗に彼を追いかける。彼もやがて逃げるのをやめる。ふたり、手を繋ぐ。虹とは、こうして出来るのだ。

@papekthi

ポンデリングを首にまいた女達が冷たい目でこちらを見てくる。もう終わりだ。強く目をつぶった瞬間にタンバリンの音が鳴った。タンタンタン。シャラタンタン。タンバリンおじさんだ。やっぱり来てくれた。私だけに優しいタンバリンおじさん。ありがとう。ありがとう。今日も裸だね #twnovel

夏目彩香／なつめあやか @skyseafar

#twnovel 帰宅した俺は、姉貴のハイヒールを見るや足を入れたいと思った。大きくて入らないと思ったが、やってみると少しきついぐらいに収まった。すると、俺の体が変化し玄関の鏡には俺のスーツを着た姉貴が映っていた。ハイヒールを脱いでも元に戻ることは無く、俺は姉貴の部屋へと入った。

女子高生風タチバナ @Tachibanashi

車好きの男がいた。車輪のついた乗り物ならだいたい好きで、無茶な走り方ばかりしていた。そんな無茶な走り方のせいで、ある時ひどい事故をおこした、彼は下半身不随になった。絶望した彼だったが、これから毎日二輪の車に乗れるので、そんな絶望はすぐに忘れてしまった。 #twnovel

碧 @mimimdr

家主が留守の間、ルンバは散歩に出る。近所の公園で、悪さに憧れた中学生が結局吸えずに捨てた煙草とか、渡せずに破られた女子高生の恋文とか、幼稚園児が初めての喧嘩で流した涙とか、ママ友らの愚痴とか、そういうものを全部吸い込んで、何食わぬ顔で自宅に戻る。#twnovel #twnvcon

layback @laybacks

太陽が死んだ。後を追うように月も姿を消す。影はようやく自由になる。光を失い右往左往する者を海に川に突き落とし、有象無象の柵から解き放たれた影は、我が世の春を謳歌する。歌い、踊り、愛し合い、そしてある日、白い影が生まれる。影は困惑する。この子は神の子か、それとも、 #twnovel

とおる7th @windcreator

モンスターボールがあったら、私きっとあなたに投げつけてしまう。だっていつだってポケットにいれておきたい。だってずっと前からあなた一人に決めてる。だってあなたとなら世界だって制す。あなたに命令して、戦わせて、懐かせて、あぁ、きっと幸せ。あなたをマスターしたいの私。 #twnovel

すわぞ @suwazo

#twnovel 釣り人が釣り針を垂れるのは小さな水溜まり。水溜まりの中には世界のすべてが眠り潜む。世界のすべては今これから、水溜まりの中から生みだされる。最初に水溜まりから飛び出したのが、釣り人と竿と釣り針だった。釣り人はまず夜空を引っ掛けて高く釣り上げる。水しぶきが星になる。

藍　真史 @shin1960

#twnovel 今では宗教的な問題ではないかと言われています。彼らはそれを手にするかわりに自らを守るすべを神の手に委ねたのではないかと。でなければあまりにも愚かだったとしか言いようがありません。もちろん仮説にすぎないのですがね。あの青かった星にはもはや誰も近づけないのですから。

birdboiled @birdboiled

#twnovel 夏至の踊りに疲れ果て、わたしは水辺の草地に腰を下ろす。水面の上をふわふわと、宵待ちの狐火が飛んでいる。手を伸ばして捕まえ、飲み込むと、喉奥ではじけて溶けていく。ねえ、いつのまにか隣にいた男の子がいう。明日は、ハンバーガー食べようよ。わたしは頷く。指を舐めながら。

子路 @colo_nelo

月を見上げる者が減り、月光で走る銀色列車はいつも閑古鳥。車掌のモティカ氏は手慰みに煎餅を焼き出す始末。 ところがこれが評判で、通販に出せばたちどころに完売。 食べてみたいなら二日月を仰いでまじないを。ヤモリのモティカ氏は、今も水晶米煎餅に月光で飴がけしています。 #twnovel