ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/06/25

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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リュカ @ryuka511

「人間など救う価値はあるか?」居城に辿り着いた勇者に魔王は告げる。「私を倒して恩人だ英雄だと騒がれるのは最初だけ。いずれ奴らは魔王を倒したお前の力に恐れを抱き、排除を試みる。」魔王の言葉に勇者は必死に首を振った。見なかった事にしてきたものを思い出さないように。 #twnovel

2012-06-25 01:06:52
silf⛩️ @athene1020

信用はあるけれど信頼はないって、私はそんな人間だ。虐められているわけじゃないけれど、何か起こらなきゃ相手にされない。私はこんな感じの存在。ある日気づいたんだけれど、私って魔女裁判の時代に生まれたら間違いなく魔女だ。この素敵な思いつきにほくそ笑む。私は魔女。 #twnovel

2012-06-25 01:19:40
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

屋上ってのは酒を呑むのにぴったりだ。そう思わないか。問われて、さぁ、と答える。瓶に直接口をつけ酒を呷る喉元をじっと見つめた。品のない所作だが彼がすると様になる。恋は盲目とはよく云ったものだ。彼が笑う。空が近い。地面は遠いが飛び降りれば一瞬だ。いい場所だろ、なぁ。 #twnovel

2012-06-25 01:29:34
龑村ももか6部2章4話 @mgnstar

市場の片隅に少年がぽつんと座っていました。札には「売り物です」。値段を尋ねてみれば、いくらでも構いませんと答えます。こんなところにいたら人攫いに遭うよ。首を振って、少年は苦笑いを浮かべました。僕の家よりはずっと幸せだと思う。連れて帰ろう。とっさに決めたのです。 #twnovel

2012-06-25 02:40:43
装飾機関 意匠企画創作室 @nontosh

むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おばあさんは川に洗濯に、おじいさんは 布団の中で目をギラギラさせていました。お願いします神様仏様、どうか私を眠らせて下さい。ある日おばあさんは川で赤子を拾って帰ってきました。益々眠れなくなりました。#twnovel

2012-06-25 03:21:38
ぼろいねこ讃 @nekoboro

輝くものには輝く理由があって、想いは様々あれど結局は見つけてほしいんですよ、と「誰か」が言った。けれども見つける側にもいろいろありまして、愛で見つけてもらえたら幸せですが…。「誰か」は悲しげだった。「誰か」は影だった。笑わず泣かないはずなのに、悲しげだった。#twnovel

2012-06-25 04:07:21
岡崎@𝚊𝚔𝚒𝙽‌𝙾𝚔𝚊 @storyram

今日は何の日? と聞くと、ケの日などと返す友人がいた。学校では人を笑わせるのが生きがいのような道化を演じながら、帰る頃にはいつも物思いに沈んだ顔で、寂しそうに口笛を吹いていた。ある日、なぜ人を笑わせるのだと聞くと、「君が笑わないから」そう言って彼は口笛を吹いた。 #twnovel

2012-06-25 04:48:50
おはなし手帖 @ohanasitecho

【魔法使いの告白】 「あなたの悲しみを奪う魔法はすべて失敗しました。ですが、あなたが悲しみと共に生きてゆくための魔法ならばきっと私にもできるのではないかと思うのです。ですから、どうかお側に」 そうして、彼は孤独の女王の左手へキスを落とし、涙を宝石へ変えて捧げた。 #twnovel

2012-06-25 10:45:38
@tofuhamburg

ぼんやりと蛍を眺める彼女の横顔を見ていた。不意に瞳から零れる涙。でも今の僕には何もできない。見かねた友人が「まだ忘れられないの?」「蛍は死んだ人の魂って、だから」「あんなのただの虫よ」指された僕は驚きながらも懸命に点滅して見せる。少しでも彼女の慰めになれたなら。 #twnovel

2012-06-25 11:41:59
くさがみ•R•シン @kusagamirin

#twnovel 夢に天使が出てきた。あなたの学校に成仏できない鯨の魂が迷い込んでいます。どうか助けてあげて。次の日、学校内を散策したけど鯨の痕跡などあるはずもない。溜息をついて空を見上げると飛行船とセスナ機が。その大きな影2つが校庭で重なった時一匹の大きな鯨が姿を現した。

2012-06-25 12:37:26
銭喰 @zeniqui

#twnovel ノートより綺麗に清書された五十音が並ぶ紙を溜め息と一緒に丸め捨て、弁当を広げた。まったく、女子生徒というのは流行りに敏いくせこういう古くさいオマジナイも好きだから分からない。「あら先生、またいなり寿司ですか?」「ええ…こん、こん」咳が出る。風邪を引いたかな #百

2012-06-25 13:28:13
Hiroyuki inoue @hiro_kinako

#twnovel 同窓会を前に、微かな青春の記憶を修復屋に持ち込んだ。断片をクリーニングし、欠落箇所を一般的な記憶で曖昧に埋めるのだという。化石の修復じゃあるまいし、そんな出来合いの記憶なんて御免だ。憤慨する私を店員が諭す。「だから笑い合えるんです。記憶なんてそんなものですよ」

2012-06-25 16:56:39
七歩 @naholograph

僕に顧問弁護士がついた。「貴方を守ります」僕の胸ポケットに入り込み心臓に耳を押し当てる。僕の事情はこれで大体解るらしい。「うんうんそうなの大変ね」花弁のような唇が紡ぐアドバイス。「だけど私は貴方の味方よ」どんな難題も、その一言で九割方解決してしまう優秀すぎる彼女。#twnovel

2012-06-25 17:07:15
竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel 俺はナメクジ。遥か昔、陸に取り残された。でも、蝸牛みたいに未練がましくない。重荷を捨てて気儘に生きてる。待て!その白い粉は!意識も体も溶けていく。この香り・・・懐かしい香り・・・母なる海を思い出す。墓碑銘には、こう刻んでくれ。「潮風に抱かれて海に帰る」

2012-06-25 20:30:05
あまね @gyakumei

#twnovel 「コピーのコピーのコピーのわたしと本当のわたしとどっちを選ぶの⁉」「選ぶっていうか、きみとコピーのコピーのコピーと何が違うの?」「劣化してる!」「劣化してるけど、コピーのコピーのコピーはコピーして増やせるし好きに消せるし、便利だよ?」「偽物よ」「中身は同じさ」

2012-06-25 20:40:54
すわぞ @suwazo

#twnovel ママが出ていってから、あたしは地下室を貰った。お兄ちゃんは屋根裏を。パパはときどき地下に降りてきて泣いた。たぶん屋根裏でも泣いていたのだろう。ある日、FBIの文字の付いたジャケットを着た人達がやってきて、パパを銃で撃った。そしてあたしの骨を土から掘り起こした。

2012-06-25 21:28:11
Takao Rival @takao_rival

#twnovel 実用化の暁には世界を破滅に導く兵器として瞬間転送装置の開発禁止条約が国連で可決された。国境も障壁も無効化する為に疑心暗鬼が増大され、全世界が無政府暴力状態になるのが明白な為だ。別名どこにでもドア開発禁止条例の採決において、某国代表のみが複雑な表情を浮かべていた。

2012-06-25 21:28:47
@mimimdr

お向かいの家の二階は決まって夜七時に明かりがつく。窓際に綺麗なお姉さんが見える。僕が手を振ると静かに笑って、障子の戸を閉める。蝶々の影絵が映る。ひらひらと黒い蝶々の影が舞う。その事を話した時、両親は青ざめていた。大人になって知ったが、お向かいはずっと空き家だった。#twnovel

2012-06-25 21:28:58
日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel 審査の結果、5年延長だった。私は安堵したが、体の問題で最長の10年ではなかったことは不安だ。振り返るといつもの嫌な行列が目に入る。泣きながら地下に下りる人々、多くは障害や難病や貧困にある彼らは国の役に立たないため生存の延長が許可されず、安楽死させられるのだ。

2012-06-25 22:10:53
@tofuhamburg

写真が趣味の友人に古いカメラを貰った。「ここ押すだけだから簡単だろ?とりあえず好きなもの撮ってみろよ」好きなもの?目の前の友人を撮ってみた。「ちょ、なんで俺っ」好きなものっていったじゃん。「な、なに言ってっ」真っ赤になってますます私好みになる友人を撮りまくった。 #twnovel

2012-06-25 22:25:48
竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel 火山ガスが近づいている。逃げている時間はない。「最期の瞬間に君といられるなんて、こんな幸せな生涯はない」「私達が愛し合っていたこと、誰か知ってくれるかしら?」「気になるの?」「だって、こんなに愛し合っているんですもの。勿体ないわ」そして、2人は化石になった。

2012-06-25 22:25:49
layback @laybacks

昏睡状態の夫に読み聞かせをしていた。倒れてから約一ヶ月、反応はまだ何もない。今日も一冊と思い、本を開くと、突然夫は目を覚ました。「あなた」「よく寝た。たくさん夢を見た。君の好きそうな話ばかりだ。一つずつ話してやるからな」私はベッドの下で本を閉じる。「ありがとう」 #twnovel

2012-06-25 23:04:13
@K20M

友人と訪れた伯爵の屋敷の書斎には、壁に白黒の図像の描かれた布が掛かっていた。聞くと著名な霊媒による自動筆記で、この世の真実を記した心霊言語なのだという。複雑な線の交差からなるそれは、まるで柔らかな人の表皮のようで、私は何やら酷く猥褻なものを見せられた気がした。 #twnovel

2012-06-25 23:46:56
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 広いベッドの枕元、羊がたくさん待機中。しかしベッドの主人は帰って来ない。ひまな羊たちは、みんなで楽しく運動会。徒競走、玉入れ、借り物競走に、ダンス合戦。主人が戻った明け方ごろには、羊たちはぐったりぐっすり夢の国。そうしてまた人間は寝不足になったとさ。

2012-06-25 23:55:13