跡もえ【別れました騒動】

@k5xm0e

「先生、わたし、どうしよう。ひどいこと、ゆった。けーご、わたしのために、どうしようっ」「あーもう、泣くな！お前は跡部が好きか？」　そんなの当たり前だ。見失っていたものが再びはっきり見える。　「うん」「なら、謝ってこい。ちゃんと話し合ってこい」「ありがとう、先生」　#跡もえ

@k5xm0e

それからわたしはたくさん考えた。確かにわたしに悪いとこがあった。わたしはいつもいつもけーごに甘えてばかりで頼りっぱなし。けーごは生きる世界が違う人。そんなけーごと一緒にいたいなら、わたしはもっとしっかりしなくちゃいけないんだ。我が儘ばっかり言ってたらいけない。　#跡もえ

@k5xm0e

「跡部と話したい？」「うん。わたし、やっぱりけーごが好き。だから、ちゃんと謝って仲直りしたいの」「本気なんやな？」「うん」「それなら俺に考えがあるわ」「考え？」「そうや」　わたしはよく解らないけどおったりの作戦とやらでおったりの知り合いと食事をする事になった。　#跡もえ

@k5xm0e

おったりの知り合いの人はお医者さん。けーごに負けず劣らずの豪華な食事だった。　「ねえ、七瀬さん」「はい」「ホテル行こうか」「え？ちょっと、待ってください」「そのつもりでここに来たんだろう？」「違います！離して、やめて」「ッチ」「やめて！けーご！！助けてよ、けーご！！！」　#跡もえ

@k5xm0e

ぐいっバキッ　「誰の許可取って俺様の女に手を出してるんだ、あーん？」「なんだよ、お前。ふざけんなよ」　去っていくおったりの知り合い。突然現れたけーご。わたしはへたり込む。　「何やってんだお前は！！！」　けーごの怒鳴り声に俯いた。　ぎゅう　「良かった、ほんとに、良かった」　#跡もえ

@k5xm0e

「ごめん、なさい。ほんとに、ごめんなさい」　けーごの温もりだ。けーごの匂いだ。けーごに会ったら話す事を考えてたのに、一瞬で消え去った。　「泣くな」「けーご、けーごっ」「安心しろ、どこも、行かねえから」　けーごは泣くわたしを抱き上げると車に乗り込んだ。　#跡もえ

@k5xm0e

「泣きやんだか」「うん。あのねけーご」「ん？」「まずはごめんなさい。わたし、けーごの気持ち全く考えてなかった。だからごめんなさい。わたし、寂しかった。でも寂しいって言えなくて、仕事ばっかなけーごに八つ当たりしたの」「俺も悪かった。寂しい思いをさせるつもりはなかったんだ」　#跡もえ

@k5xm0e

「それから、けーごが違う世界の人だって改めて解って。わたし、好きかどうか解らなくなって。わたしが、子供だったの。離れて解ったよ。わたし、けーごが好き。けーごがいないのは、無理。やっぱり離れたくない」　続く沈黙に耐えきれず口を開く。　「そうだよ、ね」　#跡もえ　　

@k5xm0e

「今更、だよね。自分、勝手だよね。困らせてご「もう黙れ」　わたしを抱き締めたけーごの腕が震えていた。　「俺が仕事始めたのは、お前を一刻も早く養えるようになりたかったからだ。けど、それでお前をおろそかにするのは、間違いだった。悪かった。お前は、今のままで構わねえ」　#跡もえ

@k5xm0e

「俺が守るから、何も気にしなくていい。この１ヶ月、もえがそばにいなくて苦しかった。世界に色が無かった。お前が居なきゃ無理なのは、俺だ。謝るから、お前が戻ってくるなら何度だって謝るから。だから、戻って、来い」　泣いているの？そうとは聞けなかった。だけどけーごは、確かに。　#跡もえ

@k5xm0e

「ふふ、わたしたち馬鹿みたいだね」　けーごの薬指とわたしの薬指を絡め合わせる。　「指切りしよう？わたしは、けーごを幸せにする。けーごがわたしを必要としている限り、ずっと側にいるよ」「じゃあ一生、だな。死んだ後も離さねえ。俺はお前を一生守る」「ん。約束ね」「ああ、約束だ」　#跡もえ

@k5xm0e

「寄りたいとこがある」　仲直りして、けーごの家に帰る途中けーごがいきなりそう言った。車は暫くすると止まって、けーごに引っ張られるまま車を降りる。　「区役所…？」「サイン、してくれるだろう？」　渡されたのは婚姻届。　「わたし、でいいの？」「お前が、いいんだ」　#跡もえ　

@k5xm0e

「これにサインしたらお前はもう跡部もえで俺の妻だ。一生、逃げられねえ。それでもいいか？」「当たり前、だよ。逃げたりなんか、しない」「胸を張れ。誰がなんと言おうとお前は今日から俺様のだ」「うん……！」　#跡もえ