トイレの怪談に関する雑多メモ

うー、トイレトイレ!
1
アルム=バンド @Bredtn_1et

さて、今日は『ほうかご百物語』9巻より、「細手長手」。参考文献は[1]『遠野のザシキワラシとオシラサマ』(佐々木 喜善著、山田 野理夫編、宝文館出版株式会社、S.52)、[2]『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、

2012-06-30 22:55:06
アルム=バンド @Bredtn_1et

[3]「全国妖怪語辞典」『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(谷川 健一編纂、三一書房、1988)。

2012-06-30 22:55:08
アルム=バンド @Bredtn_1et

細手長手は佐々木喜善『遠野のザシキワラシとオシラサマ』や『奥州のザシキワラシの話』にある怪異。細手の怪ともいう[2][3]。岩手県遠野地方に伝わるもの。

2012-06-30 22:55:25
アルム=バンド @Bredtn_1et

土淵村字火石の某家の奥座敷に客人が泊まったところ、神仏を祭ってある次の室の襖の隙間から細い長い手が出て客人を招くような仕草をした。その後、この人は津波に遭って家財と家族を失ってしまったといい、このときの手はその前兆だったのだろうか[1][2][3]。

2012-06-30 22:55:43
アルム=バンド @Bredtn_1et

この細手長手はザシキワラシの一種だと佐々木喜善は記している[1]。

2012-06-30 22:55:45
アルム=バンド @Bredtn_1et

また、同村字同の別の家では子供達が座敷の長押から細い赤い手が一本垂れ下がっているのを見たという。その手はちょうど二、三歳程度の子供の手のようであったが、腕は二尺(約六十六センチメートル)ほども長く、またきわめて細く。蔦のようだったという。

2012-06-30 22:56:04
アルム=バンド @Bredtn_1et

この家はそれから間もなく大洪水で土蔵や長屋などを失ったという[1][2][3]。これは細手というものだという[1]。

2012-06-30 22:56:06
アルム=バンド @Bredtn_1et

なお、細手長手ではないが、手に関する怪異が[1]には記されている。例えば、土淵村字飯豊(いいで)の某旧家の奥と表の間の十畳ばかりの座敷に客人が泊まると、夜半に奥座敷から何かが歩いてきたと思うと、懐に冷たい手を入れられた。

2012-06-30 22:56:24
アルム=バンド @Bredtn_1et

体を縮めていると腋の下を擽られたり腹の辺りを撫でられたりすらされる始末で、翌朝には汗びっしょりになっていた。家の者からは昨晩は逆夜這に来られて面白いことをされただろう、とからかわれてしまった。この家にはザシキワラシがいるといい、家の者はわざと先の座敷に客人を寝かせるという[1]。

2012-06-30 22:56:54
アルム=バンド @Bredtn_1et

または、六日町の某家には、その六、七年前に不幸があり、二階の一室に仏壇を設けていた。その仏壇の前に身内の者が寝ると、夜中頃に冷たい手で寝顔を撫で回す者がいた。驚いて起き上がると、河童に似た者が逃げていくところだった[1]。

2012-06-30 22:57:04
アルム=バンド @Bredtn_1et

陸中国紫波郡彦部村の某家では、二十年以上前からザシキワラシが出るという話があり、家の近くには千手観音を祭った千手堂があった。そこには太神楽の稽古をするために毎夜村の若衆達がたくさん集まって笛太古で大騒ぎして遊んでいた。

2012-06-30 22:57:19
アルム=バンド @Bredtn_1et

あるとき、話し手の父親とある兄弟が三人、当番制で千手堂に寝ていると兄弟のどちらかが悪戯をされた。子供がやって来ては小さい手を懐に入れて撫で回したり擽ったりしたので、驚いて目を覚ますと子供が蹲ってニコニコと笑っていた。

2012-06-30 22:57:36
アルム=バンド @Bredtn_1et

また、その手は氷のように冷たかったという。これはこの三人に限った話ではなく、某家の座敷や千手堂に寝たら誰もがやられたという[1]。

2012-06-30 22:57:39
アルム=バンド @Bredtn_1et

ということで[1]の中で手に関する怪異を集めたところで概説メモとしたく。以下、『ほうかご百物語9巻』9巻作中との比較。

2012-06-30 22:57:56
アルム=バンド @Bredtn_1et

作中では肘や手首の関節がない青白く細長い手として描写されていたが、伝承の中ではまず色は赤い。しかも撫でたりせず、大きな水難の前兆、つまり凶兆になっただけで直接何かをしたわけではない。

2012-06-30 22:58:05
アルム=バンド @Bredtn_1et

しかしながら、同じようにザシキワラシの一種の話として採集された中に、後半に記したように冷たい手で人を撫で回す怪異が存在しているので、作中の細手長手は、伝承の細手長手(名前と蔦のように細長いという特徴)と、

2012-06-30 22:58:27
アルム=バンド @Bredtn_1et

ザシキワラシが冷たい手で人を撫で回したり擽ったりする怪異の融合バージョン、と捉えた方が妥当かもしれない。

2012-06-30 22:58:28
アルム=バンド @Bredtn_1et

ちなみに、どちらも天井裏に何かが仕掛けられているという話はないので、この点も別のネタを調査しなければならないようだ。

2012-06-30 22:58:51
アルム=バンド @Bredtn_1et

先日行った天吊るしや天井下のように天井は妖怪が出現する場所、つまり家の中でも異界に通じている(天井裏は特に)と考えられていた場所の一つであることは押さえておくべきだと思われる。

2012-06-30 22:59:04
アルム=バンド @Bredtn_1et

それと、遠野で人形というとオシラサマが連想されるけど、今回は直接関係はないかな…?といった辺りで宿題は残っているけど以上。

2012-06-30 22:59:13
アルム=バンド @Bredtn_1et

ちなみに童が手で撫で回す、というファクターだけに注目するならばかなりバリエーションが広がってしまうのでかなり厄介。

2012-06-30 23:05:41
アルム=バンド @Bredtn_1et

一番有名なのは多分河童。便所で用を足していると河童が手を伸ばしてきて臀部を撫でる、というパターン。

2012-06-30 23:06:17
アルム=バンド @Bredtn_1et

岩手県でいえばシタガラボンボゴ(正体は狸)もこれに該当するかね。狸は腕を切られて詫状を書いて秘伝の薬も授けたっけ、確か。詫び状にせよ薬にせよ話自体は駒引きやら何か悪さをして腕を切られる河童と同じパターン。

2012-06-30 23:07:55
アルム=バンド @Bredtn_1et

あとはカイナデ。こっちも便器の中から撫でてくる。

2012-06-30 23:08:39