2012年7月7日

【ゾンサバ小説】軍人サークと小さな夢【6日目】

診断メーカーのゲーム「ゾンビサバイバル」の結果を元に勢いで書いた小説です。 まだまだソロプレイ。今回は序盤の山場エピソードです。 【履歴】 【最初】1日目~2日目:http://togetter.com/li/330602 続きを読む
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へっぽこぴーすけ @hpsuke

(前回までのあらすじ:軍人サークは生存者を求めて彷徨っていた。無人の廃墟と化した基地を脱出した彼は、ゾンビを倒しながら街を徘徊、発見した屋敷で一晩を明かす。そこで再会した部下のボブと合流し、生存者達の避難所を目指すことになった)

2012-07-04 23:56:30
へっぽこぴーすけ @hpsuke

【6日目】今日のhpsuke:【アクシデント】生存者たちとショッピングモールにバリケードを築き立てこもるが、一人のミスでゾンビたちが侵入! 大混乱の中、命からがら逃げ出した。8のダメージ、食糧:-6 http://t.co/Tpp89I0U 【体83食84】

2012-07-04 23:54:24

6日目(前半)

へっぽこぴーすけ @hpsuke

「野菜と果物(ただしバナナは除く)とピザをある一定の状況下で混ぜ合わせる。何の味?」「バナナ」「アイアイ。3分後から10秒だけ西裏口を開錠するわ」「アイアイ」ボブは通信を切り、サークを振り返った。「西裏口はあっちスね。行きましょか」サークは頷き、小走りで駐車場を駆け抜ける。81

2012-07-04 23:57:59
へっぽこぴーすけ @hpsuke

エイミ達の隠れている避難所は中規模のショッピングモールだった。確かにここなら大勢の人間を匿うことも可能だろう。しかし地上階の出入り口の大半がガラス張りになっているのが気がかりだった。荷物や車で可能な限り塞いではいるが、その気になれば簡単に突破されてしまうことは間違いない。82

2012-07-04 23:59:34
へっぽこぴーすけ @hpsuke

今この建物が避難所として機能しているのは、建物が堅牢だからではなく、ゾンビ達に居場所を嗅ぎ付けられていないからだ。サークはそこまで思考して、その危うさに怖気を覚える。現状のバリケードだけでは足りない。対策を練っておく必要がある。既にエイミが手を打っている可能性もあるが…。83

2012-07-05 00:01:06
へっぽこぴーすけ @hpsuke

通信からきっかり3分後。かちんと音がして西裏口の施錠が外れ、サークとボブはモールの中に滑り込んだ。二人が中に入ると、眼鏡の女が素早く鍵をかけ、それからサークを振り返った。「隊長。ご無事でしたか」「心配をかけた。すまない」「本当ですよ」眼鏡の女…エイミは悪戯っぽく笑った。84

2012-07-05 00:02:57
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「話はおいおい。お茶でも出しますから、こちらへ」エイミを先頭に、三人は歩き始める。店員用の通路を抜け、両開きの扉を開けるとモールの中心部だ。遠目にトラックが2台、ガラス側を向いて停まっているのが見えた。「やはり抜け目がないな」「物資もあそこにあります」エイミの声は明るい。85

2012-07-05 00:04:27
へっぽこぴーすけ @hpsuke

角にある靴屋の通用口を潜り、階段を上るとまた通路がある。奥に会議室があるらしい。サークは歩きながら、ボブにちらりと目を向けた。ボブが頷き、エイミの背中を指差してやれやれのポーズを取る。二人はわかっている、エイミが酷く浮かれていることを。本来は表情一つ変えない女なのだ。86

2012-07-05 00:06:06
へっぽこぴーすけ @hpsuke

会議室に入った瞬間、大勢の目線が一様にサークに集まった。膝を抱えた少女、背広姿の男、ラフな格好の若者、幼い子供を抱えた女性、痩せた老人、太った老婆…様々な人間が集まっていたが、彼らには共通点があった。見知らぬ闖入者に、全員が酷く驚き、怯えていた。子供がぐずり出しつつある。87

2012-07-05 00:07:51
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「皆さん、落ち着いて。彼は私達の部隊のリーダーです。皆さんに危害を加えることはありません」「そうそう!つーか俺達二人足しても勝てないくらい強いから安心ッス!」部下二人のフォローを受け、サークはおもむろに頭を下げる。「サークという。彼らの上司を務めていた。怖がらせて済まない」88

2012-07-05 00:09:31
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「じゃあ、あんたが例の隊長さん…って人か?」背広の男が尋ねる。「そうだ。部下が迷惑をかけたなら申し訳ない」「迷惑なんてとんでもない!」「この人達がいなかったらみんな死んでたんだ!」「そう、あんたが…」人々が口々に言う。急に空気が変わり、サークは困惑した。 89

2012-07-05 00:11:14
へっぽこぴーすけ @hpsuke

ボブを見ると、横を向いて口笛を吹く。次にエイミを見ると、彼女は真顔でどこか誇らしげに答えた。「隊長の口癖を実践しただけです。『軍人たるもの民間人の盾になって死ぬべし』」民間人を殺めるなとは言ったが、そこまで言った覚えはない。サークはさらに困惑した。90

2012-07-05 00:13:27
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「エイミは隊長大好きッスから」ボブが小声で囁く。「意外と可愛いとこがあるんスよ」エイミが睨むがボブは知らん顔だ。「ボブさんもエイミさんも、あんたに教えられたと言っていたよ」「できれば一度、礼を言いたいと思ってたんだ…」老婆や若者の言葉を聞き、サークはようやく納得した。91

2012-07-05 00:15:11
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「ねえ、サークって言ったっけ、あんた」緩み始めた場の空気を突き刺すように剣呑とした鋭い声が飛んだ。隅で膝を抱えていた少女だ。「あんた強いんだって?だったら今までどこで何してたの?なんで誰も連れてないの?誰かを助けようとか思わなかったの?ねえ、なんで?」 92

2012-07-05 00:16:41
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「暴徒以外の生存者に会ったのは、これが初めてだ」「暴徒には会ったことがあるんだね。へえ、暴徒は死んでもいいと思ってるんだ。民間人じゃないの?」少女は立ち上がり、一歩サークに歩み寄った。怒っている。サークのせいとは思えないが、彼女は何かに対して強い憤りを感じている。 93

2012-07-05 00:18:15
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「口ばっかで何もしないってどういうことだよ!」少女が叫び、サークに詰め寄った。ボブとエイミが動こうとするが、サークは手で制止した。少女はサークの胸ぐらを掴み、悲鳴に似た絶叫を上げた。「なんでだよ!言ったことなら実行しろよ!あんたが口だけで動かないから、母さんも親父も…」94

2012-07-05 00:20:05
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「やめなさい、リッカちゃん!」何人かの民間人が少女を掴み、サークから引きはがす。リッカと呼ばれた少女はまだ鼻息荒く暴れていたが、やがて大人しくなると、周囲の手を振り切り、部屋から飛び出していった。「…彼女の両親は救出が間に合いませんでした」エイミが静かに告げる。95

2012-07-05 00:21:32
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「…俺達は、あんたを歓迎するよ」やがて荒れた空気を落ち着けるように背広の男が言った。「あの子はちょっと…今は辛い時期なんだ。みんながああ思ってる訳じゃないことはわかってほしい」「助かる。できるだけのことはしよう」サークは彼らを見回し、改めて目礼を返した。96

2012-07-05 00:23:20
へっぽこぴーすけ @hpsuke

その夜。ボブやエイミ、民間人数人を交えた作戦会議を終え、サークは通路に椅子を持ち込んで腰を下ろした。憔悴した人で溢れかえっている会議室に戻るのは憚られた。それに、ここならリッカが戻ってくればすぐわかる。リッカはモールのどこかに消えたまま、まだ戻っていなかった。

2012-07-05 00:25:15
へっぽこぴーすけ @hpsuke

初めての腰を落ち着けた情報交換の場だったが、得られた成果は乏しい。エイミの語った基地の状況はボブから聞いた通りだった。民間人目線の証言でも、「気が付いたら街がゾンビで溢れていた」としかわからないそうだ。こうなった原因はわからず仕舞いだ。 98

2012-07-05 00:26:59
へっぽこぴーすけ @hpsuke

だが、特筆すべき情報が三つあった。一つは、銃を持った大人の女性が十代後半くらいの少年と幼い少女2人を連れて移動しているのを見かけたという証言。この避難所以外にも、生き残っているグループがいる。その事実は少なからずサーク達を勇気付けた。当然この状況下では安否が心配されるが…。 99

2012-07-05 00:28:54
へっぽこぴーすけ @hpsuke

二つ目は、民間人ともゾンビとも違う、深くフードをかぶった人影だ。人影は武器を持つそぶりもなく銃器を乱射し、ちらりと見えた腕は機械のように金属で覆われていた。その人影はゾンビの群れを薙ぎ倒し、素早く消えたという。軍の生き残りかもしれないが、どうにも得体が知れない。100

2012-07-05 00:30:22
へっぽこぴーすけ @hpsuke

そして三つ目。大きな地響きがして、振り向いたら家より巨大なゾンビがいたという信じがたい証言が飛び出した。ゾンビというのは人が変わってしまうものではなかったのか。そこでサークは屋敷で見つけた手紙のことを告げた。「研究」。その言葉から嫌な予感がひしひしと伝わってくる。101

2012-07-05 00:31:45
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「つまり誰かがゾンビの研究をしてて、失敗してこんなんなっちゃったってことスかね~」ボブが気楽な口調でぼやく。「で、ついでに巨大ゾンビが研究所から逃げ出したとか。B級映画ッスか!」「あなたの軽口は妙に当たるんだから、あまり適当なことを言わないで」エイミが無表情で釘を刺す。102

2012-07-05 00:33:20
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