【ゾンサバ小説】軍人サークと小さな夢【6日目】

診断メーカーのゲーム「ゾンビサバイバル」の結果を元に勢いで書いた小説です。 まだまだソロプレイ。今回は序盤の山場エピソードです。 【履歴】 【最初】1日目~2日目:http://togetter.com/li/330602 続きを読む
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へっぽこぴーすけ @hpsuke

だが今回、一体に二手も使う余裕がない。もっと素早く始末していかなくてはどんどん形勢不利になる一方だ。一体一撃のペースが必要だろう。戦い方を変え、高いリスクを代償に一撃必殺を繰り返していかねば、遠からずゾンビの数に圧し潰される。覚悟を決めろ!150

2012-07-06 23:45:11
へっぽこぴーすけ @hpsuke

正面から、右から、左から、三体のゾンビが同時にサークに襲いかかる!サークはあえて正面のゾンビに向かって走る。その手をスレスレで回避し、カウンターで肘を鼻っ面に叩き込む!だが…効いていない!近付きすぎたサークの体を、ゾンビの手がついに掴んだ。振り切れない!151

2012-07-06 23:46:49
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「うおおお!」サークは渾身の力を込めて、自分に噛り付こうとするゾンビごと体を回転させた。そして、しがみつくゾンビを左右から迫るゾンビ達の前に差し出す!大きく口を開けて飛びかかってきた二体のゾンビは、自身の勢いを殺せず、サークにしがみつくゾンビに噛り付いた。152

2012-07-06 23:48:12
へっぽこぴーすけ @hpsuke

仲間からの攻撃にゾンビが一瞬怯む。その隙にサークは…両手でゾンビの首を締めた!腐敗しぼろぼろになった体組織が、サークの手の中でぶちゅぶちゅと音を立てて握り潰されていく。ぞっとするような不快な感触にサークはとてつもない嫌悪感を覚えるが、決して力を緩めない。153

2012-07-06 23:49:39
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「…ォ…」完全に首を握り潰されたゾンビがついに事切れる。齧る対象を間違えたことに気付いたゾンビ達が顔を上げるが、そこにサークの蹴りが一閃、片方のゾンビの頭蓋骨を粉砕する。もう一匹は怯まず襲いかかってくるが、サークの裂空の気合と共に頭を吹き飛ばされて沈黙した。154

2012-07-06 23:51:14
へっぽこぴーすけ @hpsuke

今のは危なかった…と安堵する間もなく新たなゾンビが正面に迫る!集中を研ぎ澄まし、ここしかないタイミングで鋭く蹴り上げる!と同時に背中に痛み。振り返ると小柄なゾンビが背中に爪を立てている!ソバットを首筋に叩き込み吹き飛ばすが、今度は下から足を掴まれる!ゾンビが多すぎる!155

2012-07-06 23:53:00
へっぽこぴーすけ @hpsuke

這いつくばり足を掴むゾンビの頭を蹴り上げて無力化させ、手を振り払い後ろに下がる。すでに壁際が近い。周囲にはざっと見て五十を超えるゾンビが群がり、こちらにひたひたと迫ってくる。わかってはいたが絶望的だ。せめて何か武器があれば…。このままでは逃げることもままならない! 156

2012-07-06 23:54:35
へっぽこぴーすけ @hpsuke

その頃、ボブは玄関のガラス戸をじっと睨みつつ、走ってくる民間人を横目で数えていた。(23、24…25…)避難所にいた民間人は三十二名。最初に保護したリッカを1とカウントして、32まで数えたら即座にトラックを動かす。ガラス戸には既にあちこちヒビが入っている。長くはもたない。157

2012-07-06 23:56:27
へっぽこぴーすけ @hpsuke

(28…29…早く…!)若者が、続いて老人がトラックに飛び込む! トラックはアイドリング状態でいつでも発車できるように待機している。(30…31…あと一人…!)「最後よ!」小柄な老婆を半ば抱えるようにして、靴屋からエイミが飛び出した。これで全員!ここに到着した瞬間に出発だ!158

2012-07-06 23:58:36
へっぽこぴーすけ @hpsuke

(隊長…ご無事で…)背中越しに感じる乱闘の気配に、ボブは強く祈る。隊長の作戦に乗った以上、自分の役目は民間人を無事なところに逃がすことだ。隊長のことは信じるしかない。その時!ついにガラスが破壊、ゾンビが溢れ出してきた!「このタコ助ェ~!」銃を乱射し攻撃を開始!159

2012-07-07 00:00:22
へっぽこぴーすけ @hpsuke

最前列のゾンビが銃弾を受け倒れる!しかし後ろから後ろから、無数のゾンビが次から次へと湧いて出てくる!掃射が間に合わない!「だらぁ!あの世においでませぇ~い!」ヤケクソになったボブが適当に絶叫!そこに鋭いエイミの声が飛んだ!「乗ったわ!」(32!)「出せぇ!」 160

2012-07-07 00:02:13
へっぽこぴーすけ @hpsuke

ボブは掃射をやめトラックの荷台に飛び込む!途端に二台のトラックは急発進、ゾンビも玄関もバリケードも全てを轢き潰してモールを飛び出した!ボブは荷台から後方に向けて銃を乱射、追いすがるゾンビを威嚇する!もう一台のトラックではエイミが同様に小銃でゾンビを狙う!161

2012-07-07 00:03:52
へっぽこぴーすけ @hpsuke

トラックはモールの駐車場を抜け、廃墟の街を疾走する。ゾンビ達はすでに遥か彼方だ。乱射をやめたボブは大きく息を吐き、その場にぺたんと座り込んだ。「こっちは無事に抜けたッスかね。あとは、隊長が無事に脱出してくれれば…」あの不死身の隊長だ。そう簡単には死なないだろうが… 162

2012-07-07 00:05:35
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「あのう、兵隊さん」一人の老婆がボブに声をかける。振り向くと、彼女はひどく深刻な顔をしていた。「リッカちゃんが…」「…?」「さっき、リッカちゃんがトラックを下りて、どこかに…」「は?」見回す。そしてボブの顔は青褪めた。最初に乗ったはずの少女が、いつの間にか消えていた。163

2012-07-07 00:06:51
へっぽこぴーすけ @hpsuke

サークは既に満身創痍だった。ゾンビの数は今や百を超え、壁際に追い詰められたサークを取り囲む。当然百体すべてが同時に襲ってくるわけではなく、一度に相手にするのは最前列の数体だけだ。それが救いだったが、倒しても倒しても次が補充される。孤軍奮闘のサークに勝ち目はなかった。164

2012-07-07 00:08:19
へっぽこぴーすけ @hpsuke

足元には二十体以上のゾンビの骸が転がっている。素手の人間としては驚異的な戦果だ。だが、それでもこの場のゾンビの総数の五分の一にも満たない。対してサークの体力はすっかり消耗し、今や蹴りを一撃放つのも酷く辛い。全身につけられた傷の痛みもサークの動きを鈍らせる。165

2012-07-07 00:09:48
へっぽこぴーすけ @hpsuke

さっきの激しい衝突音は、脱出用トラックがモールの玄関を突き破って出て行った音だろう。無事に目的は達成したということだ。あとは逃げるだけ…とはいえ、器用にすり抜けて脱出するには、この無数のゾンビの層は少し厚すぎる。サークは呼吸を整えた。最後の一滴まで力を出し尽くすために。166

2012-07-07 00:11:15
へっぽこぴーすけ @hpsuke

目前のゾンビがサークに飛びかかる!サークはゆらりと体をずらし、必要最小限の動きでゾンビの手をかわす。その勢いで背後に回り、首に両腕を絡めた。ごきりと首の骨が外れる音がして、ゾンビは行動を停止。その場に捨て、次のゾンビの動きを――間に合わない!強烈な力で右腕を掴まれる!167

2012-07-07 00:12:50
へっぽこぴーすけ @hpsuke

そのまま体を引き寄せ、ゾンビが噛みつこうとするのを左腕で必死に阻止!先のようにゾンビごと体を振り回そうにも、その体力すら残っていない。均衡状態に入った二人を、周囲のゾンビがじわじわ圧し潰すように迫ってくる。ここまで距離を詰められては立ち回りも難しい。サークは死を覚悟した。168

2012-07-07 00:14:18
へっぽこぴーすけ @hpsuke

その時だった。突如として横殴りの閃光がモール内を照らし、轟音が響き渡る。大型のワゴンがサークに向かって突撃してくる!ワゴンはゾンビを片っ端から撥ね飛ばし、半ば壁に激突する勢いでサークのすぐ横に停止した。衝撃で割れた窓の奥に座っているのは…ゾンビに襲われていた少女だった。169

2012-07-07 00:15:54
へっぽこぴーすけ @hpsuke

「のっ、乗って!の、のっ」極度の興奮と恐怖で少女の声は上ずっている。「はっ早く!」サークはしばし沈黙したのち、最後の力を振り絞ってゾンビを壁に叩き付け、振りほどいて助手席のドアから中に滑り込んだ。「えっと…ギア、リアにして、」ぶつぶつ言いながら、少女は車を操作する。170

2012-07-07 00:17:31
へっぽこぴーすけ @hpsuke

フロントの潰れたワゴンが真後ろに急発進し、何匹かのゾンビを弾き飛ばす。ワゴンは後ろ向きのまま回廊を突き進み、中央で一旦停止。「ターンは…ギアを…えっと」少女のおぼつかない操作で車はのろのろと向きを変え、西口に向かって急加速、勢いよくモールを飛び出す。 171

2012-07-07 00:19:05
へっぽこぴーすけ @hpsuke

助手席のサークは、隣で身を乗り出して車を運転する少女をじっと見つめていた。「確か…リッカ」「はっ話しかけないで!今!喋れない!」サークの言葉にかぶせるように少女が絶叫する。二人を乗せたワゴンはふらふらとおぼつかない足取りで、誰もいない深夜の町の何処かへと消えていった。172

2012-07-07 00:20:45
へっぽこぴーすけ @hpsuke

(アイテムとしての車も拾わずにアレですが、どうせ続きが始まった時点ですでに事故ってぶっ壊れてる予定なので、どうかご了承願います)

2012-07-07 00:23:06
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