せめて家族には小さな声でお願いしておく。わが子のいじめが発覚したら、まず家族が絶対的に本人の味方であることを宣言してほしい(決して本人の非を問うてはいけない)。その上で学校側との交渉を開始してほしい。粘り強く、徹底的に、そして時には柔軟に、なんらかの「決着」をみるまで。
2012-07-08 00:00:28いじめられた当事者にとっては「そのとき大人が何をしてくれたか」こそが、その後のすべての人生において決定的な意味を持つ。永続するかのような人間不信と自らに巣くう衝動性にさいなまれるか、「少数ながら信頼できる人間もいないわけではない」という思いを残せるか。
2012-07-08 00:00:48現役高校生がケータイで書いた小説として話題になった木堂椎『りはめより100倍恐ろしい』という小説は、要するに「いじり」は「いじめ」よりずっと恐ろしい、の意。
2012-07-08 14:54:40まあいじりも広義のいじめではあるが、表向きは親密さを偽装した共依存関係なのでそれこそ「透明」化しやすい。下手をすると本人すら気付かず、卒業してからふと「あれはいじめではなかったか」と気付くこともある。
2012-07-08 14:54:59いじめ被害はしばしば、人生早期において深刻な人間不信と自尊感情の破壊をもたらすが、加害者もまた、しばしば同様の問題を抱えている。自己のかけがえのなさを信じられない時、人はいじめる側に加担することで一時の安心を得たいという誘惑に抵抗できなくなる。
2012-07-08 14:57:16いじめ加害行為に対しては毅然とした態度とルール、また時には罰(刑事罰含む)をもってのぞむ必要がある。しかしその際、いじめ加害者に対しても彼らの心理的背景や家庭環境などへの配慮も十分になされなければならない。配慮ある処罰によって加害者の自尊心を回復することが不可欠。
2012-07-08 14:57:34中井久夫は集団内で「いじめ」関係が成立する過程を三段階に分けた。被害者の「孤立化」「無力化」「透明化」。「透明化」に至って、いじめの存在は完全に隠蔽される。中井久夫:いじめの政治学.アリアドネからの糸,みすず書房,東京,1997. 戦中体験の分析が今なお通用する凄さと情けなさ。
2012-07-07 23:59:24いじめPTSDに特徴的な「聴覚性フラッシュバック」を発見したのも中井久夫。いじめ加害者の声が10年経っても聞こえてくる。それまでは統合失調症と誤診されていた。僕も何例か経験があるが、最大の特徴は「薬が効かないこと」。いまなら持続曝露療法がたぶん有効だと思うが。
2012-07-08 14:56:17