内藤朝雄さんの主張に関する考察

いじめ問題の論説での第一人者である内藤朝雄さんの言葉を引用してそこからいろいろなことを考えてみた。
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木下秀明 @khideaki

内藤26:全体主義においては、むしろ真実を語るものが憎まれ迫害される。いじめの状況とよく似ている。岩上安身さんが、自分の身体についての真実を語ったときにものすごい憎悪のバッシングにさらされた。あのときの悪意の渦は、ネット空間に一つの全体主義が蔓延したのではないかと感じた。

2012-07-14 15:05:43
木下秀明 @khideaki

内藤27:中井久夫さんの言葉として紹介されているものも本質を突いている。それは「紹権力者は社会が変わると、別人のように卑屈な人間に生まれ変わった」というものだ。これは卑屈な人間ほど全体主義の中では暴君になると言う真実と全体主義でなくなれば権力をふるうことが出来ないと言う指摘である

2012-07-14 15:17:39
木下秀明 @khideaki

内藤28:全体主義という構造を変えることさえ出来れば、理不尽な権力の濫用を防ぐことが出来る。全体主義の元では出世したような卑屈で妬みの強い人間も、そうでなければ出世できないからだ。権力を正しく用いることの出来ない人間に権力を与えるのが全体主義だ。権力はふさわしい人間が使うべき。

2012-07-14 15:19:34
木下秀明 @khideaki

内藤29:内藤さんの父のエピソードは興味深い。安冨歩さんが語るハラスメントを身につける人格がどのようなものであるかが想像できるような人物に見える。内藤さんの父は出世するために卑屈に有力者に使えたらしい。これは本心では嫌だったと思うのだがそれを認めると自分の卑屈さも認めることになる

2012-07-14 15:35:24
木下秀明 @khideaki

内藤30:そこで内藤さんの父は自分の本心の方を否定した。つまり卑屈に従った行為を自分の心からの誠意のものとして理解することにしたのだ。出世したのも卑屈なごますりが功を奏したと評価したのではなく、誠意が伝わった結果として努力が実ったと評価したらしい。この倒錯がハラスメントにつながる

2012-07-14 15:37:31
木下秀明 @khideaki

内藤31:卑屈さを自分で認めるのは辛いが、それが正しいと思えばつらさが薄まる。しかしその結果として卑屈な努力こそが正しいという道徳観が生まれ、それが子供である内藤朝雄さんに押しつけられた。ハラスメントの始まりだ。内藤朝雄さんが正直に卑屈さを拒否すれば父は自分が汚されたと感じる。

2012-07-14 15:39:39
木下秀明 @khideaki

内藤32:絶対服従をしない息子に憎悪を募らせる父というのは、家庭内の虐待を説明する構造の視点として非常に論理的なものだ。内藤さんと安冨さんが、違うアプローチから似たような結論に至っているのは、真実を突き止めた人は同じ対象について同じように語るということの現れではないだろうか。

2012-07-14 15:41:47
木下秀明 @khideaki

内藤33:山形マット死事件から日本社会を分析した次の論説も見事だ。「私たちは職場・近隣・学校と言ったありとあらゆる生活場面で、その場その場の<みんな>の雰囲気に合った<こころ>でなければならず、そうでない者は何かにつけ有形無形の不利益や迫害を被る。<和>の秩序--①<みんな>…

2012-07-14 23:28:37
木下秀明 @khideaki

内藤34:「…①<みんな>の<こころ>が一つになること、②それを事細かに<かたち>で表すこと、③その<かたち。の現れにおいて各自の分が定まること。④そのような場から独立した<こころ>は存在してはならないこと--とでも言うべきものが、私たちの生活の隅々まで支配している。…(続く)

2012-07-14 23:31:07
木下秀明 @khideaki

内藤35:「…この、<和>の秩序を拠り所にする習性がついた者は、<和>とは独立した自己を生きる個人を身近にすると、根底的な足場をバラバラにされるような不気味さ・不安・恐れを感じ、そこから強烈な憎悪・敵意・破壊性が生じる。これが<和>の<かたち>を事細かに押しつける圧迫・…(続く)

2012-07-14 23:33:40
木下秀明 @khideaki

内藤36:「…圧迫・脅し・強制を「せずにはおれぬ」心理を生む。」心を押しつける全体主義が真実への憎悪を生むという指摘が恐ろしいが真実だと思える。真実に口を閉ざし見て見ぬ振りをするのは勇気がないからではなくそのような弾圧のせいだ。この日本人らしい習性を植え付けているのが学校教育だ。

2012-07-14 23:38:49
木下秀明 @khideaki

内藤37:学校教育に対する次の指摘も僕には真実と思える。「校則・制服・先輩後輩など、日本の学校がなぜこうも執拗に<ひとつのかたち(Uni-form)>を子供たちに強要するのか、よく考えてみると理解しがたい。だがこの奇妙な「押しつけがましさ」は、<和>の神聖さを教え込む…(続く)

2012-07-14 23:42:44
木下秀明 @khideaki

内藤38:「…教え込む「宗教」教育と考えれば完全に理解できる。また、ちょっとしたことで教師が逆上して恣意的な体罰を加えるのも、<和>の秩序に基づく上位者のナルシシズムが汚され、「自己」が脅かされたように感じるからだ。やっている本人たちにも意識できないのかもしれないが…(続く)

2012-07-14 23:44:48
木下秀明 @khideaki

内藤39:「…「実質」的には、日本の学校の教育目標は<和>の秩序を骨の髄までたたき込むこととしか言いようがない」これを極論だと思うだろうか?日本の教育はこれほどひどくないと思いたい人は多いだろうか?しかし実態をこう捉えない限り酷いいじめは無くならないだろう。正しい現状認識だと思う

2012-07-14 23:47:35
木下秀明 @khideaki

内藤40:全体主義で貫かれている論理は理不尽なものだ。だが学校内部にいる人間は、その理不尽を論理的に理解できない。感情的に憤るだけだ。まさに刺激されたナルシシズムに感情的に反応する体罰教師の存在がそれを示している。この非論理性が学校の本質だと言うことがすべての人の認識になるべきだ

2012-07-14 23:50:24
木下秀明 @khideaki

内藤41:内藤さんが山形マット死事件から分析する<みんな>ファシズムについての知見は素晴らしい。これは宮台真司さんが指摘する田吾作のつばぜり合いという現象の理解にも役立つ。田吾作のつばぜり合いは現象的に見られるものだが、それが生まれてくる要因として<みんな>ファシズムが考えられる

2012-07-15 20:41:47
木下秀明 @khideaki

内藤42:いじめられていた有平君は、<和>を乱す個性的な人間と見られていたようだ。だから彼をいじめていたもの達は、彼が<和>に従うように芸の強要をして、おどけた面を見せて屈服する姿を求めたようだ。彼に対するいじめは、<和>を乱す不届き者に対する制裁という正義と捉えられていた。

2012-07-15 20:44:34
木下秀明 @khideaki

内藤43:田吾作のつばぜり合いは最初から高貴だと認められている存在に対しては起こらない。我々の中から誰か一人が突出して立派なことを行ったりすると激しい憎悪の対象になる。自分たちと同じやつなのになぜあいつだけが違う振る舞いをするかという事への憎しみだ。同じでないとならないという空気

2012-07-15 20:48:07
木下秀明 @khideaki

内藤44:他者との比較でしか自分の位置を確認できないのを感じる。しかもその比較は、優れた者をリスペクトするものではなく、劣った者を見て安心するという歪んだものだ。どうしてこのような心性ができあがるのだろうか?それは学校教育の影響が大きいと僕は感じる。学校がそのような心性を作る。

2012-07-15 20:50:48
木下秀明 @khideaki

内藤45:内藤さんはマル激での議論の時に「バカな左翼」という表現を使っていた。宮台さんもよく使う。この印象は、「人権派」弁護士への幻滅と言うことで内藤さんは書いていた。弁護士は確かに依頼主の利益のために働くのだが、人権派なら人権一般を尊重するはずだがそうでなかったことが幻滅だった

2012-07-15 20:57:20
木下秀明 @khideaki

内藤46:内藤さんは次のように書いている。「山形マット死事件への彼らの関わり方を観察したことで、私は日弁連「人権派」への英雄視を一切止めました。面識すらない児玉家を、地元民と一体化して嘲笑するのを見るに至っては、擁護できる余地は皆無だったからです。」ここにも歪んだ社会があった。

2012-07-15 21:00:05
木下秀明 @khideaki

内藤47:僕は尊敬する三浦つとむさんがマルクス主義者だったので、ある意味では左の思想に共感するところがあった。だが、右でも左でも天皇主義が横行しているように見えたのでどちらも信頼が出来なくなった。内藤さんが指摘する全体主義もどちらにも横行しているようだ。右でも左でもないものを探す

2012-07-15 21:01:56
木下秀明 @khideaki

内藤48:内藤さんは、自身を右でも左でもないリベラリストとして孤立的に活動していると語っていた。僕も、もはや既存の右も左もどちらも信用が出来ない。三浦さんは戦後ずっと共産党を批判していた。全体主義を克服できない組織では、どんな運動をしても解放にはならない。組織を超えた運動をしたい

2012-07-15 21:04:31
木下秀明 @khideaki

内藤49:僕が官邸前の講堂に行きたいと思うのもそこに組織を超えた運動の期待をしているからだ。宮台真司さんはただ集まるだけではダメで有効性を持たなければならないと語っていた。安冨歩さんはただ集まるのではなくつながり合わなければと語っていた。集まることを第一歩として発展できるだろうか

2012-07-15 21:07:08
木下秀明 @khideaki

内藤50:内藤さんが指摘する全体主義を離れて、一人一人が自分の感覚を素直に解放できれば、つながり合うことが出来るのではないだろうか。他者を貶めて自分が上昇するという歪んだ心から解放されて、ともに尊重し認め合うことで連帯するという美しい交流が出来るだろうか?期待を持ち続けたい。

2012-07-15 21:09:19