安全・安心論を検討する①中谷内一也氏『リスクのモノサシ―安全・安心生活はありうるか』
- karitoshi2011
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1安全・安心論を検討する①中谷内一也氏『リスクのモノサシ―安全・安心生活はありうるか』(NHKブックス)。いくつか理解しにくいところがある。まず、リスク管理者がリスク情報をうまく伝え社会に受け入れられるにはどうすればよいかという問の立て方の妥当性。管理者側の視線が優位。
2012-07-14 17:30:092安全・安心論を検討する①中谷内氏『リスクのモノサシ』。本来リスク情報は適切であるのに、受け手が過剰に不安をもつ理由を問うという姿勢。「不必要なリスク情報影響をできるだけ抑える」事が課題「人びとの不安を取り除くことが政策目標の柱」p31,33その立場からの叙述。
2012-07-14 17:30:423安全・安心論を検討する①中谷内氏『リスクのモノサシ』。「本書はリスク情報に過剰に反応し、個人や社会がひどく混乱することを問題視するものである」。なぜこういう問題を立てるかというと「場当たり的に過剰な対策を立て、その対策を拙速に実施することが必ずしも社会全体に」
2012-07-14 17:31:074安全・安心論を検討する①中谷内氏『リスクのモノサシ』「とって得策とはいえないからである」「たまたま光を当てられたからといって小さなリスクに過大な資源を投入することは税金の無駄遣いであり、その結果、光を当てられにくいが、しかし多くの被害者が想定されるリスクに」p31-2。
2012-07-14 17:31:265安全・安心論を検討する①中谷内氏「対して十分な対応ができなくなるおそれがある」要するに適切なリスク管理者の立場からリスク対策を低コストで行うには過剰なリスク反応を削減する必要ありとの論。政府側の適切なリスク評価に反する不安を抑制するのが研究・著作の目的?
2012-07-14 17:31:556安全・安心論を検討する①中谷内氏『リスクのモノサシ』。リスク情報の作り手が誰でその妥当性は?リスク情報形成自身が問われてるという観点、またリスク情報そのものに混乱の原因がある可能性についての検討がない。リスクの過大視を問うが過少視は問わないという前提でよいか?(①了)
2012-07-14 17:32:31御意。この種のリスコミ論にこれまで批判論は?@SciCom_hayashi 専門家や専門家による予測,リスク評価に誤差や仮定やまちがいがいっさいないのが前提のようで,現実とは乖離していると受け止めています @私 中谷内氏『リスクのモノサシ』…人びとの不安を取り除く…立場からの叙述
2012-07-14 18:02:35①欧米のリスコミ論と関係づけた批判がほしいところ、②安全・安心論は日本独自ではないかと…@SciCom_hayashi …「トランス・サイエンス論」…納得させる・信頼される説得はリスクコミュニケーションではないとの意見も…中谷内さん著書へのダイレクトな批判…ぱっとでてきません。
2012-07-14 19:41:581科学とリスクコミュニケーションの組み合わせの論理構成が問題 @taketake_bon @SciCom_hayashi @SatoshiMasutani …科学の力では現代の…リスクのはらむ不確実性に対処できない。そこで…関係者のコミュニケーションによる政治的決定を、というもの
2012-07-14 22:13:172中谷内氏のリスコミ論の論理構成―①定量的な科学で客観的に表現できる「安全」(確率で示せるリスク)と②主観的な反応によってひきおこされる非合理な「不安」が明確に分けられるとし、③非合理な「不安」をどう縮減するかが問題とする。しかし実際は①の前提が危ういので論議されている。
2012-07-14 22:14:273それに対して、特定専門家の側に「科学」と客観的知があるとの前提を守るために②「安心」論が持ち出される。②「安心」を持ち出し①を「安全」確からしく見せようとする。そこで第2の前提が持ちこまれる。非合理な不安に囚われる人がおり、マスコミがそれをあおり、不利益をもたらすとの前提。
2012-07-14 22:15:414実際は①が不確かであり容易に「安心」は得られず「不安」は正当な対処法。中谷内さんの議論では、まだ科学的に明らかにできていないリスクがあるということが忘れられている。科学技術がもたらした未知で不可測の事態があり、「分かっていない」ために評価が分かれることを否認するかのような議論。
2012-07-14 22:17:305なお中谷内氏の議論はさまざまなリスク問題を取り扱っており、少なくとも放射線被害の問題については上記の批判が妥当。BSE問題、環境ホルモン、遺伝子組み換え植物の問題、タミフルの副作用などへの言及があり個別に検討が必要。中谷内氏は一律の議論ができると考えている。これも信頼性を欠く。
2012-07-14 22:35:266中谷内氏が扱っている問題の多くは環境汚染に関わるリスクの評価。「公害」問題として論じられてきたものも関連。水俣病の有機水銀やイタイタイ病のカドミウムの例にあてはめてみれば、政府よりの科学者がリスク評価を誤り、「安心」しなかった側に妥当性があった例がいくらも見いだせるはずでは?
2012-07-14 22:51:15