ビッグバン理論とカバラ

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アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

この世界の宇宙誕生の謎について、これまで様々な天文学者が論を挙げてきた。今現在ではビッグバン理論が、一般にもよく知られるようになったということは、皆さんも存じていると思う。

2010-07-06 18:32:12
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

実はこのビッグバンの宇宙誕生論は、ユダヤ神秘主義のカバラにも似たような考え方が見られ、また、神学大全を記して神学と哲学の融合、つまりスコラ哲学を完成させたトマス・アクィナスのキリスト教的解釈の中にて、類似した概念が見受けられる。

2010-07-06 18:33:00
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

エドウィン・ハッブルの膨張宇宙の発見は、トマス・アクィナスによって導入された宇宙創造の概念に、思いがけず科学的な基盤を得ることになった(ゴッツォーリの油彩に『聖トマス・アクィナスの勝利』というものがあったりする)。

2010-07-06 18:33:59
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

トマス・アクィナスは、地球の周りをまわる月天球、太陽天球、惑星天球、恒星天球の外に、最外殻の天球を付け加えている。そして神は、この天球の外に広がる「永遠の火」の領域に住んでいるとしている。すべての天球には天使がいて、機械工のようにそれぞれの球を押し転がしているんだとか。

2010-07-06 18:35:47
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

トマス・アクィナスはキリスト教の神学者でありながら、ユダヤ神秘主義カバラの、生命の木の概念を取り込んでいることはご存知だろうか。彼の宇宙論には、大本にアリストテレスの宇宙観がありますが、カバラの宇宙観も少なからず影響を与えているのである。

2010-07-06 18:37:03
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

とりあえず、このカバラの宇宙観との類似性に触れる前に、ビッグバン理論の起源について触れてみよう。

2010-07-06 18:39:22
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ハッブルの膨張宇宙の発見はある法則を導き出している。即ち世に言う「ハッブルの法則」。ほとんどの銀河が、我々の住んでいる銀河系から遠ざかっていることに気がついたハッブル。この運動には、銀河の後退速度が距離に比例している、という法則がある。

2010-07-06 18:41:06
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

二倍離れた銀河は二倍の速さで遠のき、10倍離れた銀河は10倍の速さで遠のいていく。この速度と距離の比例関係から導き出される、重要な結論は、どの銀河も最初の位置から現在の位置に至るまで、きっちり同じ時間を要しているということ。

2010-07-06 18:45:42
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

これを逆に遡れば、とある重要な結論が導き出されることになる。最近の研究では緻密な計算結果の元、今から137億年ほど前に全ての銀河が同じ瞬間、同じ場所に集まっていたということがはじき出された。ここからビッグバン、つまり大爆発によって宇宙の膨張が引き起こされたという理論が生まれた。

2010-07-06 18:48:07
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

このビッグバン理論は宇宙を歴史的存在とし、宇宙は、有限な時間でさかのぼれる過去のある時点に始まったとした。即ち、宇宙の誕生は、時と空間、形質、実質、存在ありきの相対的世界の始まり、というわけだ。この点を踏まえたうえで、カバラの思想との類似点を、そのつど挙げてみる。

2010-07-06 18:52:42
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

古生物学者が人間や動物、そして生命の起源や地球の歴史などを知る上で、化石などの遺物を探すように、天文学者は、宇宙の歴史をたどるために、望遠鏡というタイムマシンを点に向け、宇宙の「化石」を探す。なぜ望遠鏡がタイムマシンといえるのか。地球に届いている星々の光は過去のものだからだ。

2010-07-06 18:55:03
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

この「地球に届いている星々の光が過去のものである」という話は、エドガー・アラン・ポーも既に述べていたりするという。

2010-07-06 18:56:07
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

光の速さは非常に高速であるとはいえ、秒速約30万kmという有限なものである。よって遠くを見るということは、過去を見ることにほかならない。光の速さでどれだけの時間が要するかということを指し示す「光年」という単位はご存知だと思う。

2010-07-06 19:00:18
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

宇宙には、幼年期(誕生からせいぜい30万年後)に生じた光(放射)の名残が満ち満ちているんだとか。この光は宇宙背景放射と呼ばれ、宇宙の化石というべきものである。この発見が、大半の物理学者をビッグバン理論になびかせることになった。

2010-07-06 19:01:36
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

しかしこの「宇宙の化石」の存在は、戦後直後の1946年において、ジョージ・ガモフによって予言されていた。ガモフの考えは以下の通り。

2010-07-06 19:02:51
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

・初期の宇宙は、今よりずっと高温・高密度で、宇宙の二大構成要素である物質(すなわち原子・人間・星・銀河・超銀河など。ダークマターも含まれる)と光の力関係は、今現在の宇宙とは逆転していた。

2010-07-06 19:03:34
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

・アインシュタインによれば物質とはエネルギーの一形態にほかならず、今現在の宇宙は物質のエネルギーが光のエネルギーより圧倒的に大きい。

2010-07-06 19:04:38
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

・しかしビッグバンの一秒後から30万年後までの初期の宇宙では、光のエネルギーが支配的だった。

2010-07-06 19:05:15
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

・当時の光は非常に高エネルギーで、温度も一万度と高かったが、今ではすっかり冷え切って我々の世界に届いている。

2010-07-06 19:06:12
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

宇宙の化石である宇宙背景放射の温度は、今では摂氏-270度、つまり絶対温度3Kにまで下がっているんだとか。

2010-07-06 19:07:15
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

ところがこの考えは、ガモフの予言から20年間、この創造の痕跡を探そうとする者はいなかったとされる。ビッグバンの理論に神の概念、あるいは創造主の介入が入り込みかねないということを恐れたためであるという。

2010-07-06 19:10:17
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

しかし、この宇宙背景放射は、電波天文学者ペンジアスとウィルソンによって偶然その存在が発見されたことにより、立証されることになる。では次に、ビッグバン理論に従って初期宇宙の歴史を追ってみることにしよう。

2010-07-06 19:12:49
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

宇宙の歴史は、最初の大爆発からわずかに時間がたった頃。正確に言うと10^-43秒から始まるとされる。それ以前のことは誰にもわからない。それ以前は、究極の「無」であるとか言われるが、どれも想像の域を超えることはできない。それがいかなるものなのかは立証できない状態なのである。

2010-07-06 19:17:31
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

宇宙は10^32℃という超高温だったと考えられている。全ては針の先ほどの大きさの球に含まれており、そこには「何もない」。原子すら生まれてはいない。いわゆる「無」であるが、静けさに満ちた闇のような「無」ではなく、大爆発のエネルギーに満ちた力溢れる「無」なのだ。

2010-07-06 19:20:28
アブラクサス・アイオーン @Abraxas_Aeon

宇宙は「はじめにビッグバンありき」ではない。「無」から量子論的効果が生まれ、誕生の「10のマイナス43乗」秒後から、「真空の相転移」が始まり、それによって開放されるエネルギーによって、宇宙が超高温の火の玉になったとされ、それがビッグバンであるというわけだ。

2010-07-06 19:21:13