#僕の廃墟体験記 2(ゾンビサバイバル、体験記風まとめ。)

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@n_kano_mywords

「もしか…」「ゾンビと戦って何が悪い!」僕の脳内を過ぎる先ほどの写真、少年の笑顔…。「それは…」ぶつけたいものは山ほどあるが、言葉が咽につかえてでてこない…。「た…たかいじゃなくてそれ…は…」笑顔だった少年の形相が、苦痛に歪んでいく様がありありと思い浮かばれる。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 14:27:44
@n_kano_mywords

僕は、自分の想像力を恥じた。気づかなければよかった…。そうしたら、平穏に居られたのに…。気づいたら、僕の喉元にナイフが突き付けられていた。 ゾンビの死骸なんかに哀れみなんか感じるんじゃなかった。男の粗い吐息、血走った目に耐えられなくなり、僕は視線を隅にずらした。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 14:41:35
@n_kano_mywords

視界の片隅に猫の遺骸が入った。もう、頭部だけ、上腕の一部だけ袋の外から顔をだしている猫の目は、しかし、死んだものとは思えないほど力強かった。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 14:57:44
@n_kano_mywords

「おまえもそいつに「頼ろうと」するんだな」「たよ…る?…」「あのゾンビもな、猫とかばい合ったりして、なかなか手に余ったんだよ。畜生が」男が詰め寄る。「お前もあ…」僕にはそれ以降のことは聞こえなかった。かばい合った…ということは、本当は男児は完全なゾンビではな…。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 15:14:05
@n_kano_mywords

恐怖と悔しさとどす黒いもので入り混じったなにかを噛み締めながら、僕はただ無念だった。人であろうとも無かろうとも、もうこの男を説得する理屈は存在しない。もうだめだ、目をつむったその時、「パパぁ。まだぁ?」門から幼すぎる声がして、ひょっこり小さな女の子が顔をみせた。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 15:21:26
@n_kano_mywords

すると、男は、僕を猫のもとへ追いやるように突き倒し、鬼のような形相だったものを、くるりとおたふくのような笑みに変化させ、幼女の方へ180度振り向いた。「なあに?○○ちゃん」猫すらもなでられないような声でいう。幼女はけろりとした声で言う。「今日みっくんこないのぉ?」#僕の廃墟体験記

2012-07-21 15:29:36
@n_kano_mywords

幼女からはちょうど、僕の背後にある猫の遺骸は見えなかったようだ。すると、彼女が見るものは、大きな黒いビニール袋 だけになる。総合を崩したままの男は言う。「みっくんはね、この街からさようならしちゃったんだよ。」「えー!!あたしみっくんとしょうらいけっこんするのにぃ」#僕の廃墟体験記

2012-07-21 15:35:14
@n_kano_mywords

駄々をこねて喚き散らす女の子。男は必死でなだめていたが、女の子は一向に泣きやまない。そのうち、男は「花火」という単語を発しはじめ、何やら、女の子もそれで納得したようだった。そして、彼らは大きな黒い袋=おそらく「みっくん」を、ひっさげて、敷地の中に入っていった。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 15:40:08
@n_kano_mywords

僕はその場に取り残された。立て続けにあまりにも不可解なことが起こり続けたので、僕の理解はしばらく停止していた。苦しい。わけも分からずそう思った。僕は解放されたのに。まだ昼だったが塀の向こうで爆竹の音がした。盛大なロケット花火が打ち上げられ、何か肉が焦げる音がした。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 15:45:00
@n_kano_mywords

僕がの傍ら、には猫の遺骸。壁の向こうでは焚火と花火、そして感極まる幼女の声。吐き気を催すような(優しさ)をたたえた濁声。 …僕は、はっとした。狂ってる。この世の中は狂ってる。どうせ救いのない廃墟の街だ。みーんな狂ってしまえばいい、皆で壊れれはそれは多分、天国だ。#僕の廃墟体験記 

2012-07-21 15:54:39
@n_kano_mywords

しかし、僕はまだ案外なんとかなった。ふあと一息いてから、僕はよろよろと立ち上がる。猫の遺骸を袋にしまって口を縛り、それを背負う。供養してやりたいと思った。生きのびたいと純粋に願った少年、それを守ろうとした朋友。なんの落ち度もない彼らを、解放してあげたいと思った。#僕の廃墟体験記

2012-07-21 16:11:37
@n_kano_mywords

そうして僕は歩きだした。猫はずっしり重い。行くあては…神社か。赤い鳥居を目指していけばよい。目印を見つけ、その位置を把握し、「よし」と、僕は小さくつぶやいた。 そのとき、僕の緊張が途切れた。糸がはじけるように、僕の記憶もぷつんと飛んでしまった。 #僕の廃墟体験記

2012-07-21 16:19:38
@n_kano_mywords

それでも僕はよろよろと、遠くの赤いものを目指して、歩いていった。わけもわからず。無意識の方向感覚だけを頼りきって。(これで6日目今日の冒頭に至る。) 【6日目/前半終了 】HP87/食糧93 アイテム:治療薬 #僕の廃墟体験記 #ゾンビサバイバル 

2012-07-21 16:23:53

6日目。 後半

@n_kano_mywords

【6日目/後半】HP87/食糧93 アイテム:治療薬(僕はふらふらと神社を求めて廃墟と化した街をふらつく。ショックのあまり何を求めているか、どうして神社に行こうとしているのか、はもう記憶のかなたに。) #ゾンビサバイバル #僕の廃墟体験記

2012-07-22 12:01:06
@n_kano_mywords

赤いもの=神社の鳥居が大きく見えるようになった。重い空気、泥のように感じられる世界を一歩一歩踏みしめ、ゆっくり、でも僕は着実にその『何か』を果たしに、そこ へ向かう。なんとなくだけど、そこ に行けば、少しでも「救える」気がした。もう僕にはそこへ行く気力しかない。#僕の廃墟体験記

2012-07-22 12:06:54
@n_kano_mywords

鞄の中から妙に重量を感じる。…僕の荷物ってそんなに多かったっけな、という疑問が漠然とした頭をかすめたが、僕の記憶は「それ」を認知することをシャットアウトするかのようだった。まあいい、僕は、近いうちゾンビに襲われて、自分もゾンビになる夢を想像した。案外悪くない。#僕の廃墟体験記

2012-07-22 12:12:19
@n_kano_mywords

(後から考えてみれば、理性を失い、暴れ狂う肉塊になり下がるのを「楽しそう」と思えるほど、その時の僕は…疲れていたのだ。え、どうして、こう他人事のように今は内省できているかって?それは、この日、夕暮れに出会ったある人によって僕は 恥ずかしながら…ね。) #僕の廃墟体験記

2012-07-22 12:14:39
@n_kano_mywords

神社の境内に踏み入れる。実はあまり大きくなかった鳥居の門をくぐるとそこは、静謐の地だった。しんしんとする静寂、立ち並ぶ灯篭の灯。たそがれ時の薄明かりの中、冷たい風が僕の頬に吹き付けたが、なぜかそれを温かく感じた。 #ゾンビサバイバル #僕の廃墟体験記

2012-07-22 14:30:09
@n_kano_mywords

薄暗がりに踏み入れていく。狐でも出そうだと思った。伝承であったろう?化け狐で、ニヤニヤと人をからかってゆくような… 敷き詰められた砂利と綺麗に整地された石畳の道。神社の奥へと向かいながら子供の頃のような無邪気な夢想にふける。…いや。僕はあたりの景色を見渡す。 #僕の廃墟体験記

2012-07-22 14:36:48
@n_kano_mywords

漆黒の闇が迫るのを和らげてくれるような濃い緑の林に包まれて思った。ここに狐がいるとしたら、もっと清らかで…温かいに違いない。そう感じた。『温かい?』僕はその語句をここ久しぶりに脳内で感じた気分がした。殺伐とした廃墟の中では、そんな事を「想う」余裕すらなかったのだ。#僕の廃墟体験記

2012-07-22 14:42:52
@n_kano_mywords

そういえば。僕は思った。『僕は何をしにここへ来たんだっけ。』何か強い気持ちに引かれてここへ来たが、僕は鳥居の先には「何を求めて」来てたんだろう… 僕の歩調が緩んだ。もし、ここで歩むのを辞めたら…僕は見失って「しんでしまう」かもしれない…とひしひしと感じながら。 #僕の廃墟体験記

2012-07-22 14:46:16
@n_kano_mywords

僕は俯いた。歩くペースはどんどん鈍る。…反対に、背中の『荷物』はどんどん重くなってくるように感じて…これはまたそと世界と同じに引き戻されてしまう…いや、もっと苦しい世界へ…。ふわりとした感触の物が――上質のモップ…いや、狐のしっぽ?――僕の背中をなでた気がした。 #僕の廃墟体験記

2012-07-22 14:53:56
@n_kano_mywords

驚いて横を向くと、僕のすぐ隣で、別の青年が歩いていた。銀色の長い髪。カジュアルないでたち。顔を隠すような大きな帽子を目深にかぶっていたが、それは陰鬱な感じじゃなく、温かみを感じさせる雰囲気だった。この美しいたそがれ時の境内ににふさわしいような。「いつの間に…」 #僕の廃墟体験記

2012-07-22 15:03:39
@n_kano_mywords

「あ、お気づきで。」銀髪の青年が言った。僕の足取りを気遣って、歩調を合わせてくれているようだった。「ずっと前から、さっき境内に踏みいれられた辺りからですね。」僕は、言葉が出ない、全く気付かなかった…。青年がほほ笑む。「大丈夫ですよ。気付かないのが普通ですから。」#僕の廃墟体験記

2012-07-22 15:08:13
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