小説用突発文章術講座5
余談はさておき本題へ。まずは括弧の扱いについて。一般的に括弧で括ることによる効果は大きく分けて二つ。一つは文脈において重要な用語であることを示す強調。もう一つは括った内容に文脈上字義から外れた含意を付与したい場合だ。
2010-07-09 11:31:48前者について注意すべきは一つ。重要語を強調するための記号であるので、重要でない単語に括弧を無闇につけるのは控えよう。また、後者の用法とよく混同しがちなので、最低でも場面単位では統一するか違う括弧を使うべきだろう。
2010-07-09 11:39:55雰囲気程度は掴んでもらえたと思う。つまりこの文脈では、「友達」とは単なる友達ではない何か別の関係のことを示している訳である。小説に限って言えば、主だった使い道は二つ考えられる。一つ目は伏線としての用法。二つ目は、暗黙の了解を示す用法。
2010-07-09 11:50:43伏線としての用法は、要するに「含意はあるよ、でもどういう含意かは今は教えないよ」という読者へのアピールである。料理で言うなら、匂いに相当するだろうか。
2010-07-09 11:58:41但し、文体などから発せられる匂いに比べて相当強烈なので、使いどころは気をつけたい。使いすぎれば「で、どれが本当の伏線なの?」となってしまうし、或いは「単に括弧を乱舞させるのが大好きな衒学家な作者の文章」という印象を与えてしまうかもしれないのだ。
2010-07-09 12:06:00態々括弧書きまでしているのだから、これは何かあるのだろう という読者の期待感を挫かないためにも、この手の伏線の回収は早急に行うべきだろう。
2010-07-09 12:08:24このような用法では、前後の文脈から含意の意図するところがある程度明白になることが望ましい。そうでなくては、読者に置き去り感を与えてしまう。
2010-07-09 12:17:10必ずしも置き去り感がマイナスに作用する訳ではないが、意図せず置き去り感を演出してしまうことは、概ね読者の興味を失わせる要因にしかならない場合が多いのである。
2010-07-09 12:18:17含意が共有できている、という実感を読者に与えることが出来れば、より読者に物語への没入感を与えることになる。そんな訳で、特に意図しない限りは含意は読者にも判るような表現を試みるといいだろう。
2010-07-09 12:21:50どちらも間の表現に使うものだが、三点リーダはより連続的で緩い間を表現し、ダッシュ記号は鋭利でやや不連続な間を表現しているのではないかと思う。
2010-07-09 12:27:28このことは、ダッシュ記号を単語の補足――例えばこのように――といった使い方に用いる理由のいくらかを占めているのではないかと考える。つまり、不連続性を示すことで、瞬間的な直前の補足を示しているのではなかろうか。
2010-07-09 12:30:23