- HayakawaYukio
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リスクコミュニケーションの目的は何か、という他のシンポジストの問いに対して、吉川先生からは明瞭な返答はなかったように思う。情報を求める市民の側に立って発想するなら、市民が情報を入手できない状況に対する問題意識が吉川先生にももっと共有されていただろうと思うのだが。
2012-07-23 14:37:24リスクコミュニケーションの目的はコミュニケーションだったのか。そういうえば「リスク削減できたらナイス」と吉川さんゆってた。
2012-07-24 11:06:40吉川1-1:【東日本大震災以降に、リスク・コミュニケーションの問題が指摘されている。その多くが、「正確な」情報が伝わっていないとか、「わかりやすい」情報提供が相互理解につながると主張しているが、筆者からすると奇妙である。】p.48
2012-07-24 12:52:09吉川1-2:【わかりやすいことは重要だし、不正確であるよりも正確な情報であったほうがよいけれど、それだけのことならばリスク・コミュニケーションという用語を使う必要はまったくない。】p.48
2012-07-24 12:52:16吉川1-4:【それは、リスクについて多くの情報をもっている科学者や行政などの専門家だけが、情報や意思決定を独占するのではなく、非専門家である市民を含めた社会全体として、意思決定していこうとする民主的な考え方が反映されたものである。】p.48
2012-07-24 12:52:29吉川2-1:【リスク・コミュニケーションの定義は・・「個人、機関、集団間での情報や意見のやりとりの相互作用的過程」となる。この定義で重要なのは、リスク・コミュニケーションを送り手と受け手との相互作用過程であるとしているところである。】p.49
2012-07-24 12:52:37吉川3-1:【リスク・コミュニケーションの領域は、2つに区分することが提唱されている。1つは社会的論争(public debate)の領域であり、もう1つは個人的選択(personal choice)の領域である。】p.49
2012-07-24 12:53:29吉川3-2:【個人的選択とは、リスクについての情報を知らされた上で、個人個人がリスク回避行動をとるかどうかを判断するものである。医療における治療法の選択や、災害時に避難をするかどうかの意思決定はこの代表的な事例である。】p.49
2012-07-24 12:53:39吉川3-3:【この(個人的選択の)領域でのリスク・コミュニケーションの目標は、その個人が、よりよい意思決定をすることができるための有意義な情報が個人に与えられることである。】p.49
2012-07-24 12:53:48吉川3-4:【社会的論争とは、多くの人々の関心を喚起し、その問題をなんらかの公式なルートを経て解決することが求められる問題の領域を指す。原子力発電や環境問題は、その代表的なものである。】p.49
2012-07-24 12:53:55吉川3-5:【この(社会的論争の)領域でのリスク・コミュニケーションの目標は、関係者が問題に関する理解の水準を上げ、利用できる知識の範囲内で適切に情報を得ていることである。】p.49
2012-07-24 12:54:02(「個人的選択」の領域では、リスク・コミュニケーションの目標は、例えば避難をするかどうかといった判断が迫られる中で、よりよい意思決定をすることができるための有意義な情報が個人に与えられることであるらしい。)
2012-07-24 12:54:25(他方で「社会的論争」の領域では、リスク・コミュニケーションの目標は「理解の水準を上げ」「適切に情報を得ていること」であり、「社会全体として、意思決定」することや、「その問題をなんらかの公式なルートを経て解決すること」ではないらしい。)
2012-07-24 12:54:31(専門家集団に任せても「集団浅慮」によっておろかな意思決定がされる危険があることが指摘されている(p.53)。また、「低線量放射線の版発的影響については、現状で正解が得られているとはいいがたい」という指摘もある(p.50)。)
2012-07-24 12:55:04(正確には理解できていないが、これらから類推すると、「社会的論争」の領域におけるリスク・コミュニケーションの目標とは、意思決定や問題解決ではなく、コミュニケーションそのもの、であるように思える。)
2012-07-24 12:55:18吉川4-1:【再度強調したいのは、リスク・コミュニケーションは、専門家と非専門家(市民)のどちらが正しいかを議論することでもなければ、専門家に意思決定を任せ、その結果を一方的に広報することでもないということである。】(p.55)
2012-07-24 12:55:28吉川4-2:【社会の成員ひとりひとりがどのように協調して問題解決をしていくのかを、リスク・コミュニケーションを通して考えていくことが重要なのである。】(p.55)
2012-07-24 12:55:36「リスクコミュニケーションの目的はコミュニケーションだったのか」という早川先生の指摘は、的確な指摘であるように思える。言い換えれば、「リスク・コミュニケーションの目的とは、リスクに関するより適切な相互作用的なコミュニケーションを行うことである」と言えようか。
2012-07-24 12:56:04吉川4-3:【(「測ってガイガー」の取り組み紹介後に)最初に述べたように、専門家だけではなく、市民が意思決定に参加することがリスク・コミュニケーションでは求められているのであり、またそのためにこそ、この用語がうまれてきたのである。】p.55
2012-07-24 12:56:15吉川4-4:【多くの人が非公式なつながりの中で知恵を結集していく方法は、リスク・コミュニケーションにおける市民参加の新しい形を予感させる。】p.55
2012-07-24 12:56:22吉川先生は市民の測定によって高濃度汚染地点が発見された事例も紹介しているが、市民が意思決定に参加していくことが、社会的に見てより望ましい意思決定につながる、といった論述は、慎重に避けておられるように見える。
2012-07-24 12:56:30