開沼博プレイボーイ誌インタビュー批判

開沼博のプレイボーイ誌上でのインタビュー記事(たとえば、http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120719-00000732-playboyz-soci)の内容を批判したもの。
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@taketake_bon

開沼批判1-林様。まず、申し上げておくのですが、先日も申しあげました通り、私は開沼博のことをあまり知りませんし、このプレイボーイ誌記事のことに話をかぎらせていただきます。また、この記事は全く興味深くもないし、わかりにくいです。逆の感想をツイートしている人がいますが理解不能です。

2012-07-22 15:31:41
@taketake_bon

開沼批判2-開沼記事の不毛さゆえ、私は私なりの考えを述べました上で、改めて最後に開沼博の「バカさ」をきちんと説明しようと思います。開沼は「歴史を学ぶ」べき、といいますので、私は反原発運動を原発立地の訴訟の歴史をたどることでこれをしましょう。

2012-07-22 15:32:02
@taketake_bon

開沼批判3-20件余り原発訴訟を担当した河合弘行弁護士は反原発に関して訴訟のみやってもしょうがないという批判を受けて社会運動を始めたそうですが、「裁判闘争とデモや集会は運動の両輪である」http://t.co/T5SNiPcMというのです。相互に連関があることは確かでしょう。

2012-07-22 15:32:20
@taketake_bon

開沼批判4-原発訴訟は’73伊方1号原審~’10島根1,2号原審まで、’03もんじゅ、’06志賀の2つの住民原告勝訴を除けば、すべて住民側敗訴となっているのです。原発事故・不祥事が多発する今日、約30の審級で裁判所の判例が出ているのに、住民側敗訴のみが連続しているのです。

2012-07-22 15:32:42
@taketake_bon

開沼批判5-原発訴訟で住民敗訴が連続していること一事をもって異常となすのはフェアではないので、その理由を示します。ここで私は水害訴訟についてもところどころからめて論じます。話しの補助線を入れるためで、大幅に話題が変わることにご注意ください。

2012-07-22 15:33:05
@taketake_bon

開沼批判6-水害訴訟ですが、’75新潟加治川水害原審~’96日置川和歌山原審まで(これ以降は押さえておりません)24の審級がありますが、1975~1982まではすべて原告住民勝訴なのに、1984~1996は’87平野川大阪原審、’90多摩川最高裁以外はすべて住民敗訴なのです。

2012-07-22 15:33:19
@taketake_bon

開沼批判7-住民勝訴/国・企業勝訴を分けるこの明瞭な分水嶺は’84大東水害訴訟上告審判決(昭和五三年(オ)第四九二号、第四九三号、第四九四号)にあります。詳細は省略しますが、ここで著しく原告住民側に不利な、それでいて住民側に膨大な挙証責任を負わせるいわゆる「大東判例」が出ました。

2012-07-22 15:33:44
@taketake_bon

開沼批判8-私は自著『科学技術とリスクの社会学』http://t.co/T5SNiPcM 9章で大東水害訴訟について詳細に論じました。295頁に写真があるのですが、よく見ると現場の計測をしている者がタスキをかけています。当時の社会運動文化でしょう。訴訟と運動の関連がわかります。

2012-07-22 15:34:01
@taketake_bon

開沼批判9-こうした極端な勝敗の偏りには理由があり、それが1986年末の朝日新聞の報道により暴露されます。11/8朝日新聞は1面トップで、「最高裁/判決前に民事局見解/河川管理責任めぐり下級審の判事に」の見出しで、最高裁事務総局民事局が「大東判例」を下級審に示し、(後続)

2012-07-22 15:34:44
@taketake_bon

開沼批判10-(承前)それにならってこれからは水害訴訟に関する判決を出すよう事前に指示していたということなのです。つまり、最高裁は判決を出す前に事前に「秘密会議」(普通「会同」という)「を開いて、下級審判事たちに「命令」をだし、国側を勝たせるよう指示していたということなのです。

2012-07-22 15:35:02
@taketake_bon

開沼批判11-最高裁事務総局について説明しておきます。ここはもともとは字面通り裁判所事務をつかさどる部署なのですが、和田英夫『最高裁判所論』http://t.co/YTzAOdzlにある通り、「裁判官の人事行政・事務一般」を扱っており、この人事権掌握という点が重要になっています。

2012-07-22 15:35:49
@taketake_bon

開沼批判12-裁判官はしょせん法務官僚ですから、出世と保身に全身全霊をかけています。事務総局が事務をつかさどる部署にすぎないとしても、人事権を掌握しているとなるとどうなるでしょうか?裁判官はその見解に従わざるを得ないのです。

2012-07-22 15:38:29
@taketake_bon

開沼批判13-現に事務総局に逆らうとどうなるかが、安倍晴彦『犬になれなかった裁判官』に書かれています。安倍は昇給も遅かったし、勤務地も支部ばかりで、さらに裁判の結果を事実上掌握しているとされる総括判事になることができなかったのです。そこまで事務総局は干渉するのです。

2012-07-22 15:39:16
@taketake_bon

開沼批判(重要)14-話を原発に戻します。ここがきわめて重要なのですが原発訴訟を巡ってもこの最高裁事務総局見解が出されていたということが1987年12月3日朝日新聞に掲載されます。しかし今度はそのニュースの重要性に比して、紙面が異様に小さい。原子力ムラの圧力とみるのは邪推?

2012-07-22 15:40:25
@taketake_bon

開沼批判(重要)15-1987年12月3日朝日新聞記事によりますと最高裁事務総局による、原子力ムラを勝たせよという「命令」は1976年10月に出されています。(後続)

2012-07-22 15:41:45
@taketake_bon

開沼批判(重要)16-伊方1号・東海大二・福島第二訴訟の提起がそれぞれ’73,’73,’75、それぞれの第一審判決が’78,’85,’84であることを考えますと辻褄が合いますし、(後続)

2012-07-22 15:42:37
@taketake_bon

開沼批判18-(承前) 松山、水戸、福島地裁判事がこの会議に呼ばれていることも大阪青年法律家協会の調べでわかっていることなのです。ですから、ですから、河合弘行弁護士が言うように裁判闘争とデモや集会は運動の両輪であるとするならば、いつも運動は後退を余儀なくされざるを得ないわけです。

2012-07-22 15:43:14
@taketake_bon

開沼批判19-1986年にはチェルノブイリ事故があり、また、水害では不当判決として有名な多摩川水害訴訟控訴審判決が出され、ともに運動が盛り上がります。

2012-07-22 15:44:07
@taketake_bon

開沼批判20- 原発については開沼のプレイボーイ誌記事で言われている通りですが、水害でも、日本各地の水害やその他の災害を巡っての全国災害問題交流会という会がもたれ、これには延べ80以上の被災者団体が参加していたのです。

2012-07-22 15:44:58
@taketake_bon

開沼批判21-開沼のプレイボーイ誌でのインタビュー記事に戻りましょう。開沼は、愚かにも「”代替案“をいかに提示するか」「政治家や行政関係者、原発立地地域の住民」に話を聞いてもらうかと言っているのですが、そもそも聞くわけがない。原発・河川改修も大工事が必要で巨額の利権が絡みます。

2012-07-22 15:46:39
@taketake_bon

開沼批判22-先述の河合弘行弁護士も「ゼネコン、原発を作るメーカー、広告会社、メディア、金融機関も金を貸し付けて利益を得る。そうやって見ていくと、本当に巨大な利権構造なんです」と言っています。企業がドル箱を手放すはずはなく、ゼネコンへのカネは票になる。

2012-07-22 15:47:22
@taketake_bon

開沼批判23-先に述べました大東判例についても、出た直後から建設省サイドからの圧力が推測されていました(『判例タイムズ』誌、526号20-71頁)し、今日では多数の裁判官が原発関連企業に天下っていたことがわかっているわけです。

2012-07-22 15:47:59
@taketake_bon

開沼批判24-また開沼は愚かにも“代替案”をデモ参加者などの一般市民に出せというのですが、そもそも行政の部局が本来それをすべきでは?今日では、原子力委員会があれば原子力安全委員会がありますし、経産省があれば厚労省がある。国民の健康や原発の安全を考える部署は行政が持っているのです。

2012-07-22 15:48:56
@taketake_bon

開沼批判25-あるいは、民主党が原発推進と考えるのなら、野党が代案を作って国会で議論をしてもいいはず。また学界がそれをやってもいい。ですがこれらはいずれも期待できないことは我々が実際にこの一年半余りの間に見てきたとおりです。原子力安全委員会や厚労省の名をあげること自体バカらしい。

2012-07-22 15:52:08
@taketake_bon

開沼批判26-チェルノブイリの運動も全国災害問題交流会のような運動も90年代初頭には挫折していきます。それには行政部署や野党、財界、司法に至るまであらゆる原子力利権・河川改修利権等に侵された組織が不当なスクラムを組んで、市民の声に対する非応答性を示したがためなのです。

2012-07-22 15:52:54