まずは、ヤーキーズ・ドットソンの法則です。ほとんどの教育心理の参考書に載っている法則ですね。ヤーキーズ・ドットソンの法則の内容を簡単に言えば、「易しい課題は強い動機づけが効果的だが、難しい課題はあまり強くない動機づけの方がよい」ということでしたよね。
2012-04-16 13:40:57ヤーキーズ・ドットソンの法則は私たち大人でも自然に理解できます。知恵の輪とかパズルといった頭を使う必要がある(難しい)課題は、別に報酬とかをもらえなくても夢中になりますよね。解くこと自体が楽しいのです。難しい課題は、別に動機づけをしてもらわなくても、課題自体に取り組みやすい。
2012-04-16 13:43:34でも例えば、1から1000まで順番に数えろと言われると、数えたら何をくれる?と言いたくなりますよね。1000まで数えるのは簡単なことです。でも、何でそんなことしなきゃいけないの?と思いますよね。しかし、1から1000まで順番に数えたら1万円もらえるのなら、「数える!」となる(笑)
2012-04-16 13:45:53子どもと向き合う教室でも同じこと。子どもも頭をフル回転させる課題では、課題そのものが取り組む動機となる。でも、単純作業は別に動機づけが必要。例えば、「この図形とこの図形には3か所違うところがあります。どこが違うでしょう。」なら、子どもはそれだけで一生懸命探します。頭を使うからです
2012-04-16 13:48:38でも、「教科書のXXページを読んでください」なら、あまり頭を使う課題ではない。だから、教科書の「XXページを読んでください。読みながら、何人の登場人物が出てくるか数えてくださいね。見落としがちな登場人物、名前が出てこない人物もいますから、見落とさずに数えてね」と動機づけをします
2012-04-16 13:52:01子どもに課題を与えるとき、どのくらいの動機づけをするべきなのかを教えてくれるのがヤーキーズ・ドットソンの法則です。
2012-04-16 13:53:13これってね、私たち大人にも如実に現れることがあるんですよ。例えばね、知恵の輪をするとき。知恵の輪は難しい課題ですから、「これやってみて」と渡されると、時間さえあれば何時間でもやってみますよね。徹夜してでもする人もいるでしょう(笑)。でも余計な動機づけをされると困ったことになる(続
2012-04-16 13:56:05続き)知恵の輪をするときに、「1時間以内にできたら1万円あげるよ」と言われると、55分経ってもできなかったら、「もういいや、諦めた。できるわけないし」なんて思ってしまいがちですよね。そうなのです。知恵の輪なら「やってみて」とだけ言って渡す方が一生懸命できるまで取り組むのです。
2012-04-16 13:58:06バンデューラのモデリングも教育心理の参考書に頻出ですね。モデリングとは、「学習は他者が何かを行うのを観察しているだけでも成立する」というものでしたね。
2012-04-16 14:01:09これは生徒指導の鉄則です。経験のない教師(教師志望者を含む)は、生徒指導は個人指導だと勘違いしがちです。もちろん、個人指導が必要な場合もありますが、学校教育では生徒指導も集団指導が原則です。例えば、授業中に寝ている子どもがいたとか、不規則発言をした子どもがいたという場合、(続く
2012-04-16 14:03:27その子どもだけに話して、その子どもの行動だけを変えたとしたら、授業中という全員への指導時間をある子どもだけの指導のために流用したことになりますよね。一人の子どもへの指導として行うのではなく、全体に還元できる、生徒全員に役立つ指導にしていかなければなりませんよね。
2012-04-16 14:05:39特に不規則発言の場合は、その子の発言を拾いながらも、教室全体に返していくという対応の仕方が必須です。これができなければ、教室での場面指導はできない。教採での場面指導の課題の答えとしても不合格水準となります。
2012-04-16 14:07:04授業中の一人の子どもの不規則発言に対応しながらも、それが他の生徒の学び・気付きになるように応対していく、そこには、モデリングの考え方が必要です。教室での場面指導の基礎にはモデリング理論があります。
2012-04-16 14:08:42次はミラーのマジックナンバー7です。短期記憶の記憶量は7プラスマイナス2チャンクというものでしたね。ちなみにマジックナンバー7というのは、ミラーがこの理論を発表したときの論文のタイトルなんですよ。この理論が教育の現場にどう関係があるのか?それはあなた(教師)の話し方についてです。
2012-04-16 14:13:31人が話す語りとは音声言語です。音声は発せられたら順に消えていきます。文字で書かれた文章は読み返せますが、音声で聞くときにはその場ではプレイバックできない。だから、音声言語は必然的に短期記憶に関わります。だから、分かりやすく話すためには短く、インパクトを持たせることが必要です。
2012-04-16 14:15:22面接でも同じこと。だから、少ないチャンクでインパクトを持って話すのです。「私の強みは、元気、勇気、やる気です!」なんて言えば、聞く人はメモするまでもなく覚えてくれます。これを、「私は小さいころから健康には留意していて、何事にも積極的に取り組むことを恐れずに、いろんなことを・・・」
2012-04-16 14:18:05なんて言っていると、文字で見るのなら読み返せますが、音声で聞いていると何を言っているのか覚えられなくなる。だから「元気、勇気、やる気」といって瞬時に記憶してもらう。これは、教室で子どもたちに話す時も同じです。子どもたちに教師の話すことを瞬時に理解してもらうためには短く話すことです
2012-04-16 14:19:557チャンクプラスマイナス2というのは、興味深いですね。日本の和歌や俳句が5・7・5を基本としていて、沖縄の琉歌が8という数を基本としているのも、覚えやすいということに関係があるのかもしれませんね。
2012-04-16 14:22:16ワイナーの原因帰属の理論もよく見かけますよね。これは、ものすごく示唆に富む理論です。単純に「子どもはほめて伸ばす」なんて浮かれたことを考えている未経験な教師志望者に警鐘を与える理論でもあります。少し説明してみましょう。
2012-04-16 14:25:45非常に習熟度が高い子どもA君がいるとします。A君は学校のテストではいつも100点近い点数を取っています。習熟度が低いB君という子どももいるとします。B君は学校のテストではいつも40点くらいしか取れていません。ある時あるテストをして、そのテストではA君もB君も100点を取りました。
2012-04-16 14:28:38このとき、A君とB君に100点を取ったという「成功」の原因帰属をどうとらえているかの聞き取りをします。すると習熟度の高いA君は、自分の勉強の仕方がよかった、試験の前日に教科書を読んだのがよかった、ノートをきちんと取っていたのがよかった等と、成功の原因を自分に帰属させます。
2012-04-16 14:30:55ところが、B君の場合は、テストの問題が偶然簡単だった、ラッキーだった、先生がやさしく採点してくれた等と、成功の原因を自分以外の外に帰属させます。つまり、B君は100点を取ったにも関わらず、その成功を自分の達成感や満足感にできない可能性が高いのです。
2012-04-16 14:32:56だから、単純に自己達成感とか自己肯定感を持たせることが必要などといいますが、習熟度が高い子が自己肯定感を持つのは比較的簡単です。成功体験が多いだけではありません。成功の原因を自分に帰属させることができるからです。習熟度が低い子どもは、成功体験が少ないだけでなく、仮に成功しても(続
2012-04-16 14:34:39その成功体験を自己達成感に結び付けられない可能性が高いのです。成功の原因を自分に帰属させることをしない傾向があるのですから。
2012-04-16 14:35:28