バットマンとストⅡ劇場版アニメに見る「社会と我欲」

人間は社会と関わりを持つことで存在価値を見いだそうとする。 人間にとって社会性は不可欠だとも言える。 しかし我欲に生きる人間(求道者、または変態)にとっては、社会性などというものは偽りの正義であり、意志にとって不純な物でしか無い。 物語において登場人物達が我欲を偽るために社会正義を振りかざす時、我欲の権化の登場によってその欺まんは暴かれる。 「おまえは本当は何がしたいのだ」と。 続きを読む
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企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

リターンズはバットマンの世界観をよく表現していて好きだ。映像的にはダークナイトの流れの方が上だろうけれども、意味的にはリターンズは至上の作品。

2012-08-02 01:01:11
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

リターンズはこう示している。バットマンとゴッサムの悪人達に差はないのだ。彼らは互いに共感者であり、等しく狂っている。そして狂人でありながら最も不純なのは、実はバットマンなのである。

2012-08-02 01:03:09
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

バットマンは純粋に狂っていながら、「社会性」というものに囚われている。心の自由を求めて狂人である自己を肯定するためにコウモリに身を委ねたのに、本来同族である狂人を貶めることで、社会における自らの存在意義を保とうとする。しかしそれは欺まんな訳よ。

2012-08-02 01:06:08
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

ペンギンとバットマンに大きな差はない。そのペンギンが不幸な境遇によってマスコミの寵児となり、社会に迎え入れられてゆくと、バットマンはペンギンを「はめる」訳ですよ。そしてペンギン自らに社会性に背を向けさせる。ペンギンは地下下水道へ逆戻りしてゆく。あれは完全にバットマンの嫉妬。

2012-08-02 01:08:39
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

その中にあって、あらゆるしがらみから自由な存在として、リターンズのキャットウーマンは存在している。キャットウーマンは狂人である自分を全面的に肯定している。社会性には興味が無い。それゆえあのストーリー上で彼女は「不死身」なのです。命が九つあるのです。完全な存在だから。

2012-08-02 01:11:04
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

そして二人の狂人もその存在に憧れる。だが、彼らは捨てきれないわけだ。

2012-08-02 01:11:45
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

バットマンにとってゴッサムの狂人達は「必要不可欠な友人」である事は何人かのコミックライターも描いている。ゴッサムシティーから彼らが消えた時、最後の悪はバットマン自身だ。彼は悪と戦い続けるが、それゆえに悪に完全に滅ばれては困るのだ。それが社会性を求めた狂人の欺まんであり、哀しみだ。

2012-08-02 01:16:49
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

バットマンリターンズはそれをうまく映画に落とし込んだ作品なので、別格に傑作であるよ。

2012-08-02 01:18:09
django(中村俊也/RPGシティブックIII発売中!) @django88628676

@yas_kawamura 自らの社会的なアイデンティティを保ったまま、ともすれば反社会的にもなる自由も満喫したい、文字通りのコウモリ野郎なわけですね。担保は「犯罪に対する復讐」という設定でしょうか

2012-08-02 01:18:59
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

@django88628676 復讐の意味は無い(犯罪を憎む?バットマン自身もイリーガルで変態だ。恨みがあるとしたらそれは逆恨みだ)。同じ事をやっているけれど、俺は社会的に役立つから許して欲しい、そのPRの糧でしか無いわけだ。その意味ではレッドドラゴンにおけるグラハム刑事に近い。

2012-08-02 01:26:56
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

自らの破壊衝動を狂った犯罪者に向けていると言うだけであって、変態で凶暴である事には変わりない。デビルマンがデーモンと戦うような物だ。デビルマンは人間では無い。レクター博士は協力的だが、人を殺して食う点において「味方では無い」。グラハム刑事もそう。彼も自己矛盾によって引退する。

2012-08-02 01:30:05
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

刑事グラハムについてはよく知らない人も居るだろうから補足。羊たちの沈黙の前日譚、レッドドラゴンの主人公でプロファイラー。自らも殺人衝動を持ち、殺人鬼と同じ趣味趣向を持つがゆえにレクターを逮捕するが、それを博士に見抜かれて自己崩壊し、レッドドラゴン事件以前に引退していた。

2012-08-02 01:35:44
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

いわば正義の狂人。自分に照らし合わせることで、猟奇殺人鬼を追い詰める唯一無二の才能を持つが、それをやると自身の衝動を抑えがたくなるために精神を病んでしまうというキャラクター。かっこいい。映画はマイケル・マン監督版がお勧めです。

2012-08-02 01:37:46
django(中村俊也/RPGシティブックIII発売中!) @django88628676

@yas_kawamura 犯罪者に同化しうる性向を持つからこそ、優秀な捜査官であるグラハム、言われてみると似ています。グラハムがゴッサムに放り込まれたら、バットマンと敵対するスーパーヴィランの一人になったりして…

2012-08-02 01:57:57
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

ちなみに先ほどのバットマン論は「ストリートファイターⅡ劇場版アニメ」にもまったく同じ構造があって傑作なのですよ。あえてあの映画は杉井監督の最高傑作だといいたい。みんな気づいてないかも知れないけど、すげえいい脚本なんだよ。たまにいうけどさ。本当だよ。

2012-08-02 01:53:22
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

リュウはちょうどキャットウーマン的なポジション。

2012-08-02 01:55:52
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

劇場版アニメにおいて、リュウとケンの戦闘力は同等と評価されるが、「潜在格闘能力が違う」といわれる。それは何故か。リュウは天衣無縫。ただひたすらに強くなることだけを望み、「社会性に囚われない」ぶんケンより強いのだ。そしてケンはリュウに倒されたがっている。

2012-08-02 02:02:59
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

ケンは格闘大会を総なめにし、地位と名誉を得て美人のフィアンセも居る。だが一方で空虚だ。それは何故か。ケンの人生は「リュウはこんなに強いんだ」と世に知らしめたいがために積み上げられた物なのだ。こんなリアル充実な俺が勝てない男が居るんだよ、お前ら知らないだろう、という潜在意識がある。

2012-08-02 02:10:44
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

ケンはそれを最高の状態で世界に示すために自ら地位も名誉も得て準備万端なのに、リュウはそれにまったく興味が無いので戦いに虚しさを覚えているわけです。それを「我欲を肯定する権化」ベガに利用される。

2012-08-02 02:13:04
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

あの物語で我欲を肯定しないで社会的モラルや組織にすがろうとした者はことごとく消えてベガには相手にされません。ベガはガイルにいいます。「ガイルよ、邪悪な精神こそが全ての力の源なのだ」と。これは狂人バットマンに相通じている。

2012-08-02 02:15:29
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

消えてゆく例。ガイル=本心ではナッシュの仇を討ちたい⇒表向きはアメリカ軍は悪党を許さない。だからベガに軽くあしらわれたあげく、説教されて止めも刺されない。

2012-08-02 02:17:56
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

チュンリー=本心では父の敵を討ちたい⇒表向きはインターポールの捜査官としての職務に忠実。だからベガの興味を引かず、バルログの奇襲でストーリーからリタイヤ。

2012-08-02 02:19:45
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

サガット=物語冒頭では賭けもなくランキングも関係ない野試合で、ただ強さを求めてリュウと死闘を繰り広げる。この時点ではリュウと同等。⇒その後リュウとの再戦を望みながベガの配下に就き、ベガにしつけられてしまってストーリーから退場。

2012-08-02 02:23:38
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

ケン⇒同門のリュウに対する深い友情から、最高の舞台で相まみえようと志すが、リュウは興味を示さない。その虚無感をベガに利用されてリュウに戦いを挑むが、後に若き頃のただひたすら強くなりたかった頃を思い起こし、リュウと精神的な同等に戻ってベガに立ち向かう権利を得る。

2012-08-02 02:28:56
企画屋@川村(ゲームデザイナー芸人) @yas_kawamura

ベガ=強く強大で自由なため、自らに真っ向歯向かう者を潜在的には求めている。ライバルはおらず、意識レベルははるかに違うが、ケンと心の渇望は共通する。リュウケンに真っ向歯向かわれた悦びからべつだん武道家でも無いのに「よかろう、武道家として相手してやる」といって戦い、「望み通り」滅ぶ。

2012-08-02 02:35:04