ガルブレイス『バブルの物語』まとめ

3
H.Takano @midwhite

私は市場の崩壊が避けられないと明言する論説を発表したが反応は少なく、あっても不利なものであった。しかし同年十月十九日に暴落が起きると、その日だけでも全米各地、東京、パリ、ミラノから四十人ほどが私のコメントを求める電話をかけてきた。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 00:56:01
H.Takano @midwhite

陶酔的熱病のエピソードは、それに参加している人々の意思によって、彼らを富ましている状況を正当化するために、守られ、支えられる。また、それに対して疑いを表明する人を無視し、厄介払いし、非難する意思によっても、同様に防衛されている。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 01:06:46
H.Takano @midwhite

陶酔的熱病に寄与する第一の要因は、金融に関する記憶は極度に短いことである。その結果、金融上の大失態は素早く忘れられ、さらに同様の状況が再現すると、新しい世代の人からは、金融及び経済界における輝かしい革新的な発見であるとして大喝采を受ける。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 12:30:02
H.Takano @midwhite

新しい世代の人というのは概ね若者であり、常に極度の自信に満ちている。人間の仕事の諸分野のうち、金融の世界ほど歴史が無視されるものは殆どない。過去の経験は、現在の素晴らしい脅威を正しく評価する洞察力に欠けた人間の無知な逃げ口上と見なされてしまう。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 12:33:24
H.Takano @midwhite

第二の要因は、金と知性が密接に関連しているという錯覚である。自由企業制においては、個人が所有する所得や資産が多いほど彼の経済・社会観は深く、頭脳は機敏で鋭いと考えられる。金こそ資本主義的成功の尺度であり、それが多いほど知性が優れているというわけだ。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 12:39:16
H.Takano @midwhite

多くの人にとって金の獲得が難しい世界において、高所得は特別な才能のせいに違いないと見なされ、それは金持ちの自信に満ちた態度により強められる。しかし金持ちに対するこうした敬意は、記憶の短さ、歴史の無知、個人的・大衆的な錯覚に陥る能力を示唆している。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 12:45:38
H.Takano @midwhite

我々は、大きな金融機関――大きな銀行、投資銀行、保険、証券会社――のトップにある人たちは並々ならぬ知性の持ち主であると考える傾向がある。彼らが支配する資本資産や所得の流れが大きいほど、金融・経済・社会に対する彼らの見方も深いはずと考えてしまう。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 12:53:21
H.Takano @midwhite

しかし実際の、彼らが大金融機関のトップに立つ理由は彼らが競争者の中で最も言動に安心感があり、従って官僚機構において最も無害な人たちであるからである。その場合、彼らは反対意見や批判の出る余地が無いよう、追随者が彼を称賛するような権威を付与される。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-08-04 12:58:40
H.Takano @midwhite

投機が崩壊するといつも決まって怒りが巻き起こり、ついこの前まで金融界で人々から最大の感服を得ていた個人に集中する。そのような人が没落したり、或いは投獄されると、人々は正義が叶って結構なことだという満足感でこれを迎える。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-10-17 12:29:22
H.Takano @midwhite

最初の近代的な株式市場は、17世紀初頭のアムステルダムに現れた。そして、歴史的な投機の爆発として、1630年代にチューリップ狂という事件が発生した。チューリップはトルコから16世紀に西欧へもたらされて以来、その所有と栽培は大変な名声を博していた。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-10-17 17:24:20
H.Takano @midwhite

投機は、大衆が何かを商業や金融の分野で一見新しいと認めた時に発生する。チューリップ価格はその美しさと稀少性の故に上昇し、その価格上昇の故に購買者が殺到した。1636年には、1個の球根が新しい馬車1台、葦毛の馬2頭、そして馬具一式と交換された。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-10-17 17:32:17
H.Takano @midwhite

しかし1637年に終末が訪れた。ここでも一般法則通り、チューリップ売買から賢明な人が手を引き始め、価格は暴落した。資産を担保に借金してチューリップを取引していた者は、突然一文無しになった。これによる貧困化は、オランダ経済を長期の不況に陥れた。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-10-17 17:42:40
H.Takano @midwhite

金融的熱狂の過ちが繰り返される原理は、1636年のチューリップ狂から何ら変わっていない。個人や機関が自らの洞察力を過信し、富の増大から得られる満足感の虜となる。土地や證券などの自乗的な価格上昇は必ず暴落を迎え、経済は大きな不況に見舞われる。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-10-17 19:43:32
H.Takano @midwhite

投機とその崩壊に関わった人々は、自分の愚かさを決して認めず、何らか他の特殊要因に責任を帰す。また、市場は神学的な領域とされ、その本質的な完全性は疑われない。しかし真に暴落を引き起こしているのは、価格上昇の魅力に負けて投機に走る傾向そのものなのだ。(ガルブレイス『バブルの物語』)

2012-10-17 19:49:40
H.Takano @midwhite

【読了】『新版 バブルの物語』ジョン・ケネス・ガルブレイス ☆3 http://t.co/t4A3tzZA #booklog

2012-10-17 20:02:25