無断転載やアイコンへの無断使用をするとどういうリスクがあるのか

大雑把に「著作権侵害」という枠組みで理解されていることが多い、二次創作、トレパク、無断転載などの行為ですが、正確にはそれぞれ別の権利に対する侵害行為になります。 それぞれ、なにがどういう法律に違反していて、どういうリスクがあるのか @EnemyEleven さんの解説
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E11 @EnemyEleven

話題になり易い部分の著作権について簡単にツイッターでまとめられないかと思って書いていたら長大な文章になった。そりゃそうだった。

2012-08-14 20:43:30
E11 @EnemyEleven

「著作権」とは著作財産権と著作者人格権を合わせた総称で、著作財産権は複製権、公衆送信権、翻案権など知的財産権を総合した分類。著作隣接権という小分類もある。著作者人格権は公表権、氏名表示権、同一性保持権と三つの総称。相対的独占権であり、独占禁止法の例外に規定されている。

2012-08-14 20:50:29
E11 @EnemyEleven

参考:wikipedia著作権 http://t.co/okRPmpmU wikibooksコンメンタール著作権法 http://t.co/HzrL2DUk

2012-08-14 20:51:40
E11 @EnemyEleven

簡単に言うと「著作権」という個別の権利はなく、作品の利用に関する色々な権利の総称。主に「増やす」と「見せる」を制御する権利で、作者は作品のプロデューサーでもある、みたいな感じ。

2012-08-14 20:54:18
E11 @EnemyEleven

著作権侵害とは「作者が専有するはずの行為を他人がやっちゃうこと」。さらに「侵害とみなされる行為」という別枠もある。罰則のほとんどは親告罪であり、権利者の通報がないと警察は裁判に持ち込めない。さらに侵害の差し止めや被害からの回復には別に民事裁判が必要になる。

2012-08-14 20:56:49
E11 @EnemyEleven

逆に言えば侵害して訴えられると「民事裁判で被害額返済&裁判費用支払い」と「刑事裁判で懲役、罰金」のダブルパンチを喰らう事に。ついでに「予防」として機材の破棄を命じられることもある。PCとか。 また著作権は自然発生し、作品ごとの届け出はいらない。ノートの端の落書きでも保護します。

2012-08-14 20:59:28
E11 @EnemyEleven

法人の罰則とか個別の規定があるくらいで、企業だろうと個人だろうと著作権法は適用されます。「著作権の制限」という、著作権が及ばない範囲はありますが、これは後述。ついでに言うと、パロディだろうがアートだろうが著作権法からは逃げることなど不可能な状態です。

2012-08-14 21:02:50
E11 @EnemyEleven

二次創作の多くは「翻案権」(アレンジしたり翻訳する権利)の侵害と捉えられる。多くの、というのは著作権法には二次創作という用語がないから。少なくとも「一話完結型連載漫画のオリジナルストーリーを作る」のが翻案権の侵害とされた判例がある。よってかなりの範囲がこれに含まれると考えられる。

2012-08-14 21:05:51
E11 @EnemyEleven

著作権を翻案して作られたなんかは「二次的著作物」という。小説の映画化などもこれ。なので二次創作=二次的著作物とはいえない。二次的著作物でも作者に著作権が発生するが、原作者の権利を制限するようなことはない。(11条)ついでにこの著作権は原作者でも行使できたりする。(28条)

2012-08-14 21:09:58
E11 @EnemyEleven

既存のキャラクターを自分で描くのは著作権侵害? 「キャラクターに著作権がない」というのは本当ですが、これは「性格の描写方法やキャラ設定に著作権がない」という意味で捉えておくと良いと思う。あくまで描かれているのは「人物らしく見える絵」であって、つまり他人の描いた絵のアレンジになる。

2012-08-14 21:12:54
E11 @EnemyEleven

参考:「ポパイのキャラクター著作権侵害事件」http://t.co/6FZ3AZU9

2012-08-14 21:14:45
E11 @EnemyEleven

ネクタイの柄に有名なキャラクター「ポパイ」が描かれた事についての判例ですが、無罪になった決め手は「原作漫画の著作権が既に期限切れである」「登場人物という単位では著作権がない」という感じ。漫画の権利が生きていれば翻案権と複製権の侵害が有効であったと思われる。

2012-08-14 21:18:47
E11 @EnemyEleven

無断転載について。「公衆送信権」(アップロードする権利)の侵害に当たる。つまり「違法アップロード」ですが、ついでに複製権の侵害も一緒に問われる可能性があります。アップロードの前にはダウンロードもしているのでここは合わせ技かと。

2012-08-14 21:25:05
E11 @EnemyEleven

前述の通り、著作権には制限がある。例として「私的利用の為の複製」。普通の場合ではコピーすると複製権の侵害にあたりますが、バックアップ、ビデオ録画、HDへの保存は侵害とはならない。

2012-08-14 21:27:44
E11 @EnemyEleven

無断転載の場合に複製権が危ないのは「手元に取っておくため」という複製の名目が「ばら撒くため」に変わってしまうことで制限解除で攻撃目標に追加されるから。もともと制限付きのお許しなんです。

2012-08-14 21:30:38
E11 @EnemyEleven

ツイッターアイコンへの使用も無断転載と同様。縮小等のアイコン加工は複製権、公衆送信権の侵害、サイン等を切り取ってしまうと同一性保持権やら他のに引っ掛かる可能性が出てきます。アイコン使用がなりすましと言えるかどうかは微妙。

2012-08-14 21:33:00
E11 @EnemyEleven

なりすましについて。著作権法においてなりすましにはそれらしい規定は一つしかない。「作品に作者以外の名前を作者としてくっつけて不特定多数に配る行為」(二次的著作物の原作者の名前を別人にすり替えるのを含む)これはなんと親告罪の対象外。つまり普通の犯罪と同じで、誰が通報しても有効。

2012-08-14 21:36:58
E11 @EnemyEleven

ツイッターやピクシブ等で作者そのものになりすます行為については、それらしい規定がない。ただしその人の名誉などを害する利用であるとされた場合は侵害となる可能性がある。なりすましはむしろ詐欺罪だが、行為によって金銭、IP、パスワードなどを得ようとしない場合は問えない模様。未遂も可。

2012-08-14 21:40:41
E11 @EnemyEleven

重要な事として、作品が二次創作だろうと、無断転載は訴えられたら負けます。作者が別の権利を侵害していようと逃亡中の殺人鬼だろうと関係ありません。道義的にどうとか言っても負けます。「自分の身を自分で守る」はどちらにも言える事。最終的には「訴えられたくないなら無断で転載しない」ですね。

2012-08-14 21:45:48
E11 @EnemyEleven

御清聴ありがとうございました。

2012-08-14 21:47:39