茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第686回「他人に何かを強制することは、尊厳を損ねる」
- toshihiro36
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たそ(1)韓国の李明博大統領が、天皇陛下の訪韓の条件として、「心からの謝罪」を求めると発言したと伝えられる。日本と韓国の間のさまざまな歴史的経緯などを踏まえても、この発言は明らかに異常であり、国と国との外交上の儀礼において、致命的なミスを犯していると考える。
2012-08-15 07:55:47たそ(2)李明博発言について、日本のネット上でさまざまな反応が起こっている。おそらく、韓国のネット上でもさまざまな反応があり、その中には過激なものもあると思われるが、これらは個人の問題であり、一国の大統領の発言とは意味合いが全く異なる。今回の李明博発言は、常軌を逸している。
2012-08-15 07:57:26たそ(3)李明博発言が異常なのは、それが、そもそも主権国家とは何か、外交とは何かということについて根本的な理解を欠いているからである。日本も韓国もそれぞれ主権国家であって、何ものにも犯されないsovereigntyを持つ。それを互いにrespectするところから外交は始まる。
2012-08-15 07:59:13たそ(4)それぞれの国家は主権を持つのだから、他国の政策決定について口を挟むということはあり得ない。他国の政策を批判したり、外交ルートを通じて要請することは可能だが、それは、あくまでも他国の主権を尊重した上で、対等な立場から、打診するというものでなければならない。
2012-08-15 08:00:52たそ(5)主権の尊重が外交上の原理として浸透していることは、例えば北朝鮮やイランの核問題についても、アメリカが両国に制裁などは科しても(それはアメリカの主権の範囲内だからできる)、両政府に対して指示や命令はしない(できない)ことでも明らかだろう。いわば外交のイロハである。
2012-08-15 08:03:24たそ(6)今回、李明博政権が、天皇陛下の訪問を要請し、その際に外交ルートで陛下の発言について打診したりやりとりしたりするのは構わない。しかし、日本の元首である天皇陛下の発言について、公の場で条件をつけたり、内容に言及するのは、他国の主権を尊重するという原理からして、あり得ない。
2012-08-15 08:05:43たそ(7)李明博氏が、民間人だった時にどんな主義、主張の持ち主だったかは知らない。しかし、いやしくも大統領になったからには、以上に述べた主権国家や外交に関する基本的な考え方は韓国外務省からレクチャーを受け、コモンセンスとして身につけておくべきだろう。任期も重ねてきたのだから。
2012-08-15 08:08:27たそ(8)日本と韓国の間には、やっかいな歴史的経緯と、さまざまな問題が存在する。そのことと今回の李明博発言は別だ。日韓関係だけでなく、世界のどの国にも当てはまる、普遍的なプリンシプルからして、今回の発言はあり得ない。外交上の儀礼を踏み外した暴言として、李明博は謝罪すべきだろう。
2012-08-15 08:10:12たそ(9)国家主権だけでなく、できるだけ他人の意志を尊重する、尊重できるというのは成熟の表れである。他人に働きかけるのは自由。しかし、ある行動を強制することは、人間の尊厳を決定的に損なう。今回の李明博発言が残念だったのは、そこに、成熟した人間観が見られず、幼稚であったからだ。
2012-08-15 08:12:38