尖閣諸島不法上陸事件:とりあえずの評価
報道で状況がわかってきたが、結局海保と沖縄県警はこうした事態に備えて予め人員を魚釣島に30人ほど待機させていたらしい(http://t.co/uoNRVBzg)。これは非常に賢明な準備であり、だからこそ迅速な逮捕ができてこう着状態など問題の長期化には繋がらなかったといえる。
2012-08-15 20:58:37というのは、海保には海上での逮捕権はあるが、陸上での逮捕権はないからである。領海に侵入した船に警告し退去を呼びかけることはできても、ただ進入したというだけで逮捕することもできない。「不法入国」の罪は「上陸」が前提になっているからだ。しかも陸上逮捕権は一般の警察官しか持たないのだ。
2012-08-15 21:00:03今回はそうした事情があるので予め沖縄県警の要員を逮捕するため派遣していたのが功を奏したが、そうした準備ができたのは予め「船が行く」ということが分かっていたからである。突発的な事態にはこういう対処の仕方はできないということだ。やはり現場にいる海保の人間が逮捕するしかない。
2012-08-15 21:01:11そういう趣旨から、「海上警察権の強化」という観点で海保にそうした離島における逮捕権限を与える法改正が提案されている訳だが、政治の混乱もあって店晒しにされたまま今日のこの日を迎えてしまった。幸い大きな危機は回避できようが、海上警察権の強化は待ったなしの課題であることが明白になった。
2012-08-15 21:02:46現状で逮捕された五人は那覇港に移送され、また抗議船も制止されて海保に事情聴取を受けているようだが、今後の焦点は首相の言うとおり「法令にのっとり厳正に対処」する事が本当にできるかであろう。何しろ例のあの仙谷官房長官(当時)は今なお失脚せずに野田政権の中で隠然たる影響力を保っている。
2012-08-15 21:06:35民主党の国益よりも「党内大物」のメンツを重んじる幻滅すべき体質から言えば、「当時の仙谷路線を否定して仙谷の顔に泥は濡れない」という茶番的論法に陥らないとは限らないのである。そうなれば今回の逮捕者も処分保留・不起訴の釈放となり、日本は二年前の事件から何も学ばなかったことになろう。
2012-08-15 21:08:27犯罪行為自体は「不法入国」であるから軽微な罪と位置づけられるだろうが、法を犯した人間には厳罰で臨むという国家の意思が重要なのである。せめて起訴までは持って言って欲しいものだと思う。過去の対応より踏み込んだ対処をすることが、今後の予防の観点からは非常に大切なことである。
2012-08-15 21:10:00尖閣諸島自体をどう実効支配するかという課題も、もはや避けて通れないものとなった。もはや現状維持は不可能と悟るべきだ。国も国有化の方針を打ち出してはいるが、「石原都知事に好き勝手させない」という後ろ向きの理屈ではなく、国がもっと前のめりに実効支配の強化策を打ち出すべきである。
2012-08-15 21:12:21いつ何時、今回のような事前の警告のない不法上陸が行われるかわからないのであるから、そろそろ警備のための人員の常駐ということを考えたらどうであろう。簡単な港湾、ヘリポート、詰所のようなものを作って、一週間サイクル位で10~20人程度を派遣するシステムを考えてもよいように思う。
2012-08-15 21:14:02また、それをするにあたって必ず一度は首相と所管の閣僚(国土交通大臣?国家公安委員長?警察庁長官?)が現地を訪れ、ここは日本の実効支配下にある領域だとの宣言を発出するべきである。首相の口から「核心的利益」という表現で尖閣の重要性を位置づけるのが一番であろう。決意を見せるのだ。
2012-08-15 21:15:53同時に、海保の予算の増額も図っていくべきである。海保は戦後日本で唯一、実弾を撃ち合った実戦経験のある最前線部隊である。しかし予算は人員1.2万人に対して年間1750億円程度(「あたご級」イージス艦1400億円より少し多い程度)でしかなく、艦船の維持にも苦労していると聞いている。
2012-08-15 21:19:09これから自衛隊以上の出動と活躍を期待される海保に対する扱いがこのようなものであってはならない。それこそたとえ予算を二倍にしても消費増税の0.1%分にも当たらぬ額である。社会保障に幾らでもその程度を削れる予算はあるであろう。治安と安全に応分の負担をしない国家はいつか必ず滅亡する。
2012-08-15 21:21:08