かおるさとーさんの『氷菓』#17 解説

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かおるさとー @kaoru_sato

『氷菓』17話を観て気づいたことをいくつか。

2012-08-18 22:54:51
かおるさとー @kaoru_sato

『クドリャフカの順番』の6回目、完結編です。文化祭も終盤。果たして古典部は笑顔でお祭りを終えることができるでしょうか。その過程で、奉太郎以外の3人が抱える屈託は晴れるでしょうか。そして、十文字の正体は?

2012-08-18 22:55:29
かおるさとー @kaoru_sato

『クドリャフカの順番』を通して扱われていたテーマは「期待」です。千反田さんは他人の期待を操ろうとし、里志は己に対する諦めとともに友人に期待をし、摩耶花は自分が見上げる目標に期待を寄せています。期待にまつわるお話の結末は、とても苦いです。

2012-08-18 22:55:57
かおるさとー @kaoru_sato

それでは内容に触れていきます。冒頭、前回盛大にやらかした千反田さんが、気を取り直して十文字に宣戦布告します。その中で「氷菓」の宣伝もしつつ、十文字に対して「校了原稿」の存在もアピールしつつ、対抗策として生徒多数への協力もお願いするという大役を、なんとか果たします。

2012-08-18 22:56:20
かおるさとー @kaoru_sato

(メモを見ながらですけど、千反田さんなりにできる限りのことをやっているのでしょうね)

2012-08-18 22:56:34
かおるさとー @kaoru_sato

その千反田さんの表情には、疲れの色が。部長として、文集販売に尽力を尽くすものの、何かがしこりとなっている模様。千反田さんの憂いは、どこにあるのでしょう。もちろん十文字のことも気になっているのですが、それだけではないようです。

2012-08-18 22:56:55
かおるさとー @kaoru_sato

ラジオ出演の宣伝効果は抜群で、地学準備室に人が集まります。続々と「氷菓」が売れていきます。内容に興味が湧いたという人より、たぶん場所代として買った人の方が多いと思いますが、売れ残るよりははるかにいいですね。

2012-08-18 22:57:24
かおるさとー @kaoru_sato

文集は売れていきますが、肝心の十文字が現れません。だんだんギャラリーも焦れてきたところで、唐突に電話の鳴る音が。里志のスマホです。ギャラリーの注意が校了原稿から逸れた瞬間を見計らったかのように、小さな爆発が。里志が火を消そうとしますが、校了原稿には穴が開いてしまいました。

2012-08-18 22:58:10
かおるさとー @kaoru_sato

例によって犯行声明も見つかり、室内は騒然となります。外に駆け出す者、ひそひそと囁き合う者、ショックを受けて呆然となる千反田さんと、腰を抜かして座り込む摩耶花。どこか苦い表情で奉太郎を見やる里志。特に表情を変えず、黙して動かない奉太郎。――十文字事件の幕切れです。

2012-08-18 22:58:44
かおるさとー @kaoru_sato

千反田さんが物憂げな様子で号外を見ています。お祭りも終わりを迎え、生徒たちは後片付けに追われています。入須先輩に委託した30部の文集はすべて完売。定価より50円安い150円での販売でしたが、売れ残るよりははるかにいいでしょう。千反田さんも深々と頭を下げて、感謝の意を伝えます。

2012-08-18 22:59:10
かおるさとー @kaoru_sato

すると、入須先輩が珍しく言いにくそうな様子で口を開きました。校内放送を聴き、その上ではっきりと思ったことを伝えます。「お前にはああいうのは向かない」。千反田さんはその言葉に黙って耳を傾けていました。

2012-08-18 22:59:39
かおるさとー @kaoru_sato

誰かに期待するなんてよくあることです。千反田さんも、奉太郎に対していつも期待を寄せています。しかし、「期待しているように見せようとする」のは、それができる人間でないとまずしっぺ返しを喰らうでしょう。少なくとも千反田さんにはこのやり方は向きません。どこまでもまっすぐだからです。

2012-08-18 23:00:01
かおるさとー @kaoru_sato

そのまっすぐな性格や姿勢は、他では得難い武器にもなります。それは入須先輩にも言えることで、人心掌握に長ける彼女の能力も、ときには弱点となりうるのです。適材適所。餅は餅屋。それが必ずしもまかり通る世の中ではありませんけど、自分というものを理解しておくことはとても重要です。

2012-08-18 23:03:23
かおるさとー @kaoru_sato

ずっと物憂げな様子で千反田さんは行動していました。きっと彼女も、自分の短所に気づいていたのでしょう。しかし立場上、自分には向かない行動をとらざるをえなかった。向かないとわかっていながら起こす行動には、当然不安がつきまといます。その不安があのような表情として表れていたのでしょう。

2012-08-18 23:04:13
かおるさとー @kaoru_sato

(少し説明不足な場面だったかもしれません。しかし、これはもしかしたら、ラストの『遠まわりする雛』につなげるために、あえて詳しく説明しなかったのかもしれません。千反田さんが何を抱え、何を思っているのか、その説明は最終話でなされる気がします。……尺があれば)

2012-08-18 23:04:41
かおるさとー @kaoru_sato

(原作では不特定多数の相手に甘えている、寄りかかりすぎていると取られることが、千反田さんの生活信条に反していて、そのことを憂いていたと説明されています。彼女が自助する人間であるために、自身の努力を怠って他者に頼りすぎることに抵抗を覚えるのです。それは、特に奉太郎に対して)

2012-08-18 23:05:08
かおるさとー @kaoru_sato

奉太郎が頼りになる人だからこそ、それに甘えてはならないと千反田さんは考えています。アニメでは、どうでしょうね)

2012-08-18 23:05:24
かおるさとー @kaoru_sato

ところ変わって1階駐輪場前の渡り廊下。谷君が口癖のように使う「期待」という言葉について、里志が強い調子で摩耶花に言います。期待とは、諦めからくる言葉なのだと。それは里志が、今回の奉太郎に対して、特に抱いた思いです。

2012-08-18 23:07:01
かおるさとー @kaoru_sato

時間は少しさかのぼり、奉太郎が十文字と対面する様子を、里志が目撃する場面が描かれます。物陰からこっそり窺うと、奉太郎は今回の事件について自分の推論を語り始めました。

2012-08-18 23:07:21
かおるさとー @kaoru_sato

犯行現場に残されたグリーティングカード。そこでは「失われた」という文言が使われていました。なぜ「いただいた」などではなく「失われた」なのか。そして、五十音順の法則の中で“く”を飛ばした理由はなんなのか。

2012-08-18 23:08:09
かおるさとー @kaoru_sato

“く”がすでに、生徒たちのあずかり知らぬところで失われていたとしたらどうか。“く”を飛ばしたのではなく、“く”のつく相手から、“く”のつく品がすでに失われていたとしたら。そしてその“く”のつく相手とは、生徒会会長・陸山宗芳。失われた品は、『クドリャフカの順番』。

2012-08-18 23:08:47
かおるさとー @kaoru_sato

十文字事件とは、“く”のつく相手から“く”のつく品がすでに失われていることを、その相手に伝えるための暗号だったのではないかと奉太郎は推測します。その根拠は十文字が“く”を飛ばしたことと、現場に「カンヤ祭の歩き方」が残されていたこと。

2012-08-18 23:09:43
かおるさとー @kaoru_sato

「カンヤ祭の歩き方」が残されていたのは、「ABC殺人事件」で使われていた「ABC時刻表」の代わりなどではありません。どうして「カンヤ祭の歩き方」がページを開いた状態で残されていたのか。それはそのページそのものが被害者リストだったからです。奉太郎が開いて見せたのは、左側のページ。

2012-08-18 23:10:25
かおるさとー @kaoru_sato

そこには今回の被害団体すべての名前が載っています。12話で里志がページを開いて見せるシーンがあるので、そこで確認できます。参加団体だけではなく、生徒会長・陸山宗芳の名前もあります。

2012-08-18 23:11:01
かおるさとー @kaoru_sato

このことから、「カンヤ祭の歩き方」の編集に手を加えることができた人間が、今回の容疑者となります。「カンヤ祭の歩き方」は、総務委員会によって作られたものです。つまり十文字は、総務委員会のうちの誰か。

2012-08-18 23:11:33
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