茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第696回「不信の谷を、乗り越えて」

脳科学者・茂木健一郎さんの8月25日の連続ツイート。 本日は、このところの世の中のありさまを見て、思うこと。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ、ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-08-25 06:28:42
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第696回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、このところの世の中のありさまを見て、思うこと。

2012-08-25 07:35:23
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(1)他者というものはもともと見えにくいものだから、勝手に虚像を描いて、あこがれたり、好きになったりする。青春時代の初恋がよい例で、相手が実際にはどのような人なのかちゃんと見極めもせずに、自分ひとりで盛り上がったり、ため息をついたり、青空を眺めたりする。

2012-08-25 07:36:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(2)ところが、相手との距離が縮まって、いろいろな情報が入ってくると、実像が自分の思い描いていたのとは違うとわかってくる。その結果幻滅したり、ひどい場合にはかわいさあまってにくさ100倍というようなことになることもある。夢があっただけに、現実との落差に悩むのである。

2012-08-25 07:38:04
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(3)距離が一番遠い時に、「友好」を唱えるのは簡単だが、距離が近づいてくるにつれて、あらが見えてきて、不信も募る。しかし、本当の人間関係はそれから勝負であって、距離が近づいていったんは通る「不信の谷」をいかに乗り越えて親密な関係を築き上げるかが、人生の課題なのである。

2012-08-25 07:39:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(4)今、日本と韓国、日本と中国の間がきしんでいる。この紛争が、インターネット時代の「情報」のやりとりの緊密化とともに進行していることは注目される。韓国内の反日の書き込みや、中国国内の反日デモの様子が、ほとんどリアルタイムで日本にも伝わり、波紋を巻き起こすのだ。

2012-08-25 07:41:53
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(5)竹島や、尖閣諸島をめぐって、韓国や中国の一般市民が考えていることが、日本人が考えていること違うということが即座にわかる。日本という国をどう見ているか、私たちの感覚とは余りにも違うので、そこに偏見を感じる。ただし、そこで起こっているのは、実際には情報交流の緊密化だ。

2012-08-25 07:43:12
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(6)かつて、私が子どもだった頃の日本のメディアでの中国に関する報道を思い出せば、毛沢東は偉い人で、中国は4000年の歴史を持つ良い国で、日中友好万歳というテーストだった。実際には、文化大革命で多くの悲惨な出来事が起こっていた。情報のやりとりなど、ほとんど無かった。

2012-08-25 07:45:46
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(7)ドラマやポップスなどの韓流ブームは、一つの虚像を描いているという点において表面的なものと言えるだろう。それを超えて、韓国の生活の肉声が聞こえてきて、日本と韓国の関係は成熟していく。キレイやカッコイイだけではない。ミットモナイやダサイもあって、初めて全体像が見える。

2012-08-25 07:47:43
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(8)現在、「争い」が過熱している日本と韓国、日本と中国の関係は、見方を変えれば情報の結びつきの緊密化を反映していると言うことができる。ここに領土問題が絡むと、「情報」の結合だけでは解決できない国家の根本問題の登場になる。その一方で、私たちは虚像からは自由になるだろう。

2012-08-25 07:49:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

ふの(9)日本と中国の関係だけをとっても、日本側がまだ出していない「カード」がたくさんある。たとえばチベット問題。日本のテレビはチベットに言及することにさえ及び腰だが、情報緊密化を受けて、この際堂々と報道してはどうか。「不信の谷」を一度は超えなければ、信頼関係は築けない。

2012-08-25 07:50:29
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第696回「不信の谷を、乗り越えて」でした。

2012-08-25 07:50:57