クリエイティブコモンズについての、法学視点からの整理

神代啓 @ars_luculenta さんより、許可いただいた上でまとめました。 ・CCライセンスは著作権保護法を上書きする「契約」とみなせるのかどうか?の解説。 ・CCライセンスは現行の著作権保護法と矛盾する点もある。 ・民法学でも、意見が分かれているお話の紹介。
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神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

しかし更に日本においては著作者人格権不行使特約が有効か否かも学説では分かれています。

2012-08-24 23:41:27
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

ただ司法では「ゲームソフト宇宙戦艦ヤマト事件(http://t.co/0vkyVyGz)」で著作者人格権の不行使特約を認めました。

2012-08-24 23:41:49
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

しかし「著作物を利用する行為が、著作者(筆者注:判決では原告)の著作者人格権を害するなど通常の利用形態に著しく反する特段の事情の存在する場合はさておき、そのような事情の存在しない通常の利用行為に関する限り」という条件付きです。

2012-08-24 23:41:58
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

しかも「特段の事情」は具体的に明らかにされておらず「著作者人格権が通常の利用形態に反する」とは何を基準に決めるのか未だはっきりしません。もし財産権のみの問題ならば今までの判例から社会通念上又は客観的に基準を設けやすいでしょう。

2012-08-24 23:42:18
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

しかし、先ず同一性保持権の問題で創作物の通常利用形態基準の「通常」を創作者外の権利者が決めるというのは何かおかしいと感じます。

2012-08-24 23:42:36
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

仮令、客観的に判断されるとしても著作物の利用形態というものはあらゆるバリエーションが秘められている可能性がある(それ故「創作的価値」が高まり文化が発展する)為、結局基準は事件ごとのケースバイケースに依るところが大きくなると思います(私見)。

2012-08-24 23:43:03
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

これではやはり著作物の利用に関して著作者人格権侵害の予見可能性に足りないと思います。

2012-08-24 23:43:20
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

そこで「著作者人格権が通常の利用形態に反する基準」を「CCライセンス」という形で「著作者が予め決める」ということは不完全であるとも思いますが、現状では創作者にとって「クリエイティブ」の名を冠するに非常に相応しい「法解釈に取り込める創作者基準の明示的表明」だと思います。

2012-08-24 23:43:36
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

「不完全」と偉そうに書いたのは「留保」条項による萎縮が起こる可能性が考えられたからです。具体的な一例は企業コンテストで少なくとも開催費用の回収をしなければなりません。更に営利企業ですから抑もコンテスト開催の目的に利益を得ることがあるのは明白です。

2012-08-24 23:44:30
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

しかしコンテンツの消費期限が事実上短い現状では多角展開(ライトノベルの漫画化、アニメ化、映画化等)をせざるを得ない状況で権利を留保されると予め用意ができず、結果的に開催・応募要項・見返りが厳しくなり創作者志願者にとっては門戸が狭くなり得るという懸念からです。

2012-08-24 23:44:50
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

途中で長々と書いたのは「最悪のケース(文化の発展を蔑ろにし金銭問題としてのみ著作物に関して扱われる)」を想定したものなので「極端な例」とお考え下さい。

2012-08-24 23:45:08
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

私の一番の希望は著作権法そのものが今の社会に合ったものに根底から変わることです。ただ偉そうなこと書いてますが自分の射程であるソフトウェア領域のみでも納得する具体的仕組みが考えられないので、あらゆる創作者・創作物を納得させ得る法体系などすぐに創られるものではないでしょう。

2012-08-24 23:45:58
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

なので結局最適な法が創られるまでに創作者個々人が創作活動を守るために一番現実的で先ずすべき手段は、法まではいかないルール・モラル・マナーを遵守する・しなければならないことを教え、説く「土壌(場)」を「創る」ことだと思います。

2012-08-24 23:46:12
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

勿論CCライセンスの存在の流布や遵守も含みます。前述の通り、仮令最悪訴訟沙汰になっても司法に明確な「創作者の基準」を主張できるからです。そうでなくとも(訴訟までいかなくても)明示されたルールは誰でも指摘しやすく曖昧なモラルやマナーよりも判りやすく反故にしにくいと思うからです。

2012-08-24 23:47:08
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

などとという月並みな意見しか結局出て来ず何だかごめんなさい。続…きません。

2012-08-24 23:47:48
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@EzoeRyou 日本の民法学では契約が成立するためには「申込」とそれに呼応する「承諾」が必要なので、予め規定されたライセンスを「申込」として、それに従い著作物を利用することを「承諾の意思表示」と認めるべき事実があったと評価することができるのかという論点になります。

2012-08-24 23:52:57
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@EzoeRyou そういう点でシュリンクラップ契約の有効性に関する問題と重なり合う論点です。日本の著作権法は著作権者に使用権があるとは規定されていないので、抑も在ると規定されてない使用権を他人に許諾するという行為は法律的に意味を持てるのか(有効か否か)、という論点です。

2012-08-24 23:58:49
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@EzoeRyou CCライセンスは日本の法学的に見ると「申込」としては解せるものの、使う側の視点に立つと「何が」「承諾の意思表示の通知」となるかが不明瞭なので、私見なのですが不特定多数への非典型利用許諾本契約に付随させる利用条件としての「約款」とする考え方がスマートかな、と。

2012-08-25 00:06:33
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@LGA128 ごめんなさい。書き方が悪かったかもですが、件の判例で認めたのは著作者人格権の「不行使」という特約を認めたもので、放棄に関しては判例は無いです。人格に関わる権利を物権的に処分することは公序良俗に反するので放棄はできない学説が有力説ですけれども司法判断はありません。

2012-08-25 00:34:03
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@Kirimisakana 勿論構いません。大分前から呟き(他人の部分を除く)はNYSDL(http://t.co/tkh2id9V)としているのですが、それを宣言するプロフィールをどう更新するかでほったらかしにしていたので、寧ろ態々了解を取る行為をさせてしまい申し訳ありません。

2012-08-25 13:26:42
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@Kirimisakana 勿論構いません。大分前から呟き(他人の部分を除く)はNYSDL(http://t.co/tkh2id9V)としているのですが、それを宣言するプロフィールをどう更新するかでほったらかしにしていたので、寧ろ態々了解を取る行為をさせてしまい申し訳ありません。

2012-08-25 13:26:42
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@Kirimisakana ただNYSDLである以上願望なのですが意見批判誹謗中傷がTogetter上のコメントだけで為されるだけで無く、Twitter上で直接私のアカウント(@ars_luculenta)に対して上記の批判等を直接ぶつけても構わない旨も示して頂けると嬉しいです。

2012-08-25 13:27:28
神代 啓 (Kei Kamishiro) @ars_luculenta

@Kirimisakana ただNYSDLである以上願望なのですが意見批判誹謗中傷がTogetter上のコメントだけで為されるだけで無く、Twitter上で直接私のアカウント(@ars_luculenta)に対して上記の批判等を直接ぶつけても構わない旨も示して頂けると嬉しいです。

2012-08-25 13:27:28