シマウマさん(f_zebra)が教えてくれるウクライナ・ベラルーシの原子力事情

Flying Zebra @f_zebra

ベラルーシの原子力計画について。同国は昨年3月にロシアと原子力発電所建設での協力について政府間協定に調印、10月にオストロベツクに建設予定の軽水炉（VVER）についてロスアトムの輸出部門子会社であるASE（Atomstroyexport）社と仮契約に調印しています。

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VVER（英語表記WWER）はロシア製商用原子炉の主流で、西側のPWRとほぼ同じ設計です。オストロベツクはリトアニア、ポーランドとの国境に近く、ロシアのカリーニングラードで建設中の同型の原子炉サイトからも300km程度です。今年初めに正式契約の予定でしたが、まだ聞こえてきません。

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1ヶ月以上前のニュースなのに知らなかった… RT: @Premordia: @buvery 今年の7月に、2基のVVER-1200を建設する100億ドルの契約を締結http://t.co/4fZgZSSD してますね。

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ウクライナの原子力事情についても意外と知られていないようなのでちょいと説明をば。現在4ヶ所の発電所で15基の原子炉が稼働中で、電力の半分弱を賄っています。新たに2基の建設計画が進行中で、フィージビリティスタディが始まったところです。

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稼働中、計画中の原子炉は全てロシア製の加圧水型軽水減速軽水冷却炉（VVER）です。4基の黒鉛減速炉（RBMK）があったチェルノブイリ発電所は1986年の4号機の事故の後、EUからRBMKの安全性に疑問が出て閉鎖を求められ、2000年までに残り3基も全て停止しています。

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チェルノブイリ4号機の事故後、ウクライナ（当時はソ連領）でも原発反対運動が起き、独立直前の1990年には計画中だった6基のVVER建設をモラトリアムで中断しています。ただし、既存の原子炉は閉鎖せず、チェルノブイリの1～3号機も事故の翌年までに全て運転を再開しています。

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1995年に合意した2000年までのRBMK閉鎖は西側諸国の要求に応じたものですが、見返りとして2基の原子炉（VVER）建設の資金援助を求めました。EUとの交渉難航やロシアとの関係の変化など紆余曲折を経て結局この2基は国内の資金調達で完成され、2004年から発電しています。

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福島の事故後も、ウクライナは原子力の積極的利用の方針を変えていません。原子炉技術や核燃料供給は今なおロシアに大きく依存していますが、国内でウランやジルコニウムが産出することもあり、将来的には核燃料の国産化を目指す方向も示されています。

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西側諸国との関係については、IAEAの正式メンバーであり、OECDのNEA（原子力機関）はメンバーではないもののオブザーバーとして各種プロジェクトに参加するなど、良好な関係を維持しており、先進的な技術的知見の導入や他国との技術協力にも積極的です。

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私もあるプロジェクトで一緒に仕事をしたことがありますが、情報開示にも積極的（ただし、英語の情報は少ない）で、必ずしも皆が協力的でない国際プロジェクトの中ではとてもやりやすい相手でした。担当者が女性（しかも美人）だったというのが好印象に繋がっているのは否めませんが…

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ちなみに、私が顔を知っているウクライナ人は同じプロジェクトで仕事をした2人（ともに女性）と元首相のティモシェンコ氏くらいですが、皆さんかなりの美人です。なので、私の中ではウクライナは美人の国です。男は知らん。

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現在運転中の15基のVVERは全て設計寿命が30年で、15基中12基が2010年から19年までに設計寿命を迎えます。これらは15年の運転期間延長が決定されています。最も古い2基は2009年に改修作業を行い、10年ごとの安全性評価を条件に20年の運転期間延長が認可されました。

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古い原子炉のリプレースは2020年代初め頃から開始する計画となっています。既に廃炉されたのはチェルノブイリの4基のみで、1～3号機は解体作業が進行中です。事故を起こした4号機については、石棺を覆う新シェルターが国際基金の資金で建設中です。

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以上、ウクライナの原子力事情の紹介でした。自然災害による原子力事故の後も運転を続けた他の原子炉を検査の後は再起動せず、電力不足を節電でやり繰りしている現在の日本の政策（と呼ぶことすらできない日和見）は、ウクライナにはどう見えているのでしょうか。