辻村深月『ツナグ』感想文

簡単な感想文です。
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きまぐれ(不燃) @S_uekai

『ツナグ』を結局読んでしまった。読書感想文は苦手だけど、新刊だし文庫だし興味ある人には読んでほしいので、頑張って書いてみる。

2012-08-29 04:29:43
きまぐれ(不燃) @S_uekai

使者と書いてツナグと読む。使者は生者と死者をつなぐ窓口。使者へ依頼した人は、自分が会いたいと望む死者と一晩だけ会うことができる。『ツナグ』には、そんな願いを持つ4人の物語が描かれている。

2012-08-29 04:35:15
きまぐれ(不燃) @S_uekai

それぞれの章は独立した話ではあるが、最後の五章で一つの視点から語り直されることになる。全ての章は「○○の心得」というタイトルで統一されていて、それぞれ、長男とか親友とかの言葉が入り内容が示唆される。

2012-08-29 04:39:47
きまぐれ(不燃) @S_uekai

その中で、五章のタイトルは「使者の心得」。今までの章で「物語的存在」であった使者の青年の視点から全ての物語が収斂していく。またこういった「おとぎ話」には珍しく、使者のシステムについてもある程度説明される。とにかくこの最終章が特異であり、『ツナグ』最大の特徴だと思う。

2012-08-29 04:43:49
きまぐれ(不燃) @S_uekai

今まで物語を進める存在であった使者の青年、つまり物語の構造であり言ってしまえば外部の存在であった彼によって、小説としての『ツナグ』は螺旋状に伸長し絶大な魅力を持つことになる。これがこの本を読んで最も印象的な点だった。

2012-08-29 04:48:12
きまぐれ(不燃) @S_uekai

依頼人と死者によって広げられる個々の物語は、それぞれ小説としての語り口が異なっていて短編小説として単純に面白い。どれか1章だけなにかのアンソロジーに収録されてもいいってくらい、独立してるし、しつこいけど面白かった。

2012-08-29 04:51:11
きまぐれ(不燃) @S_uekai

生と死などはありふれているし、また最も感動的に描きやすいテーマだと思う。本書も類に違わず泣ける(実際には泣かないけど)。ただだからこそ、最終章の持つ強い魅力にまで辿り着かないで本棚にしまわれてしまうかもしれないと思い、多少ネタバレかもしれないけどこういう感想文にしてみた。

2012-08-29 04:57:17
きまぐれ(不燃) @S_uekai

こういう感動が、僕は好きなんだろうなと思う。伊集院静とか宮本輝とか読んでもピクリともしないけど、たぶん琴線の揺らし方に合う合わないがあるだけで、基本的に僕は感動屋なのかもしれない、と思った。特にミステリの手法には弱い。

2012-08-29 05:00:58
きまぐれ(不燃) @S_uekai

ま、僕のツイート見る機会がある人なら本を読む時間などたくさんあるでしょうからww 小説読んでみたいなぁと思ったらぜひ。文庫になりたてだからどこの本屋にもあると思います。

2012-08-29 05:02:58