法律家・高嶌先生による福島の方々のゲノム解析計画解説

福島の方々のゲノム解析計画について法律家・高嶌先生による解説
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TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

②オーダーメイド治療:個人の持つ遺伝的特性に応じた投薬・治療が可能になると予想されている。とりわけSNP(スニップ、一塩基変異多型)に着目することにより、個々人のレベルにおける病因の解明や薬剤に対する感受性のチェックを行う、副作用を回避するなどの実用化が期待されている。

2012-09-02 13:53:40
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

③薬剤開発:遺伝子に含まれたタンパク質の立体構造データを解明することにより、新しい治療薬の開発が飛躍的に進むと考えられる。

2012-09-02 13:53:49
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

④遺伝子治療:「疾病の治療を行うために遺伝子を人の体内に導入すること」(厚生省厚生科学会議1992年6月発表の「遺伝子治療に関する中間意見」)を意味します。

2012-09-02 13:54:27
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

さらに商業的利用に関しても、次の項目が挙げられます。

2012-09-02 13:54:58
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

①生命保険加入に際しての利用、②雇用契約締結に際しての利用、③身元確認のための商業的検査、④遺伝情報に関する知的財産権など。

2012-09-02 13:56:26
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

さらに、犯罪捜査における利用は,すでに広く実用化されています。

2012-09-02 13:57:17
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

しかし、個々人が実際に保有している遺伝情報は、当該個人の遺伝的性質を示す情報そのものであり、究極の個人情報です。

2012-09-02 13:58:03
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

そのため、遺伝情報の利用を考える際には、次のような特性およびデメリットをしっかり認識しておく必要があります。

2012-09-02 13:59:38
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

遺伝子情報は、ほとんどの場合、一生変わることのない固定情報であり、試料を提供した個人の人格の基本部分に触れる情報であること。

2012-09-02 14:00:01
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

個人情報であるとともに、血族関係にある近親者の情報をも含みうる。また、祖先を同じくする地域集団に共有される情報である場合もある。

2012-09-02 14:00:16
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

本人自身が知らない情報を多く含むため、知ることを望まない人にもこれが知らされてしまう危険性がある。

2012-09-02 14:00:32
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

ある遺伝子を保有していることは個人の選択の結果ではないにもかかわらず、これに基づく社会的差別の危険性がある。

2012-09-02 14:02:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

本人の意思にかかわらず、わずかな試料があれば、ゲノム全体を他者により容易に解読されてしまう危険性がある。

2012-09-02 14:02:20
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

ゲノム情報のこのような性質およびデメリットに照らせば、本来、次のような諸問題を検討する必要があるはずです。

2012-09-02 14:03:19
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

①試料提供に際しての同意確保の在り方:先の遺伝情報の特質に照らして、インフォームドコンセントの必要性は大前提。むしろ問題は、どの程度の包括同意が許されるかである。また、これに加えて、医療機関側に患者の同意確保や試料取扱いに関してどこまでの行為を義務づけうるかが重要。

2012-09-02 14:03:57
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

②遺伝情報の取扱いそれ自体の制限:遺伝子治療、遺伝情報の優生学的利用(デザイナーチャイルド)、就職時の遺伝子検査の義務づけなどの合意は公序に反して無効とすべきか。

2012-09-02 14:04:20
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

③分析試料を提供した個人の遺伝情報の保護:個人情報保護の原則形態は、個人情報の提供に際しての本人のコントロールを認めるだけではなく、本人を離れたところで保有されている個人情報の取扱いについても、本人のコントロールを及ぼしうると解するのが一般的理解。

2012-09-02 14:04:54
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

④遺伝子解析・診断結果の本人告知(難治性遺伝病の場合など):「知らないでいる権利」の意義と限界(提供者の遺伝子解析結果がその血縁者の生命に重大な影響を及ぼす場合など)

2012-09-02 14:05:15
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

⑤遺伝情報の産業利用との関連で生じる問題(保険加入前の遺伝子診断を前提とする保険商品の開発、遺伝子情報に対してどこまで知的所有権を認めるかなど)

2012-09-02 14:05:30
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

⑥医療の個人情報管理の問題  将来、遺伝子多型にもとづくオーダーメイド治療が一般化した場合、個人の遺伝子情報をカルテとともに管理するシステムが不可欠となる。この場合、誰がどのように患者の遺伝子情報を管理するのかが問題。

2012-09-02 14:05:51
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

すいません、ゲノム情報の一般的性質及び問題点に言及しすぎました。今回の福島の調査の問題に戻ります。

2012-09-02 14:07:54
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

今回の調査の2つめの目的は、私見では、SNP(遺伝情報たるATCGの配列の1つだけが別のものに置き換わっている箇所。スニップと呼ばれる)の違いが放射能に対する耐性にどのような違いをもたらすかの調査だと思われます。

2012-09-02 14:13:34
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

即ち、「被曝が遺伝子に及ぼす影響」ではなく、逆に、「個々人の遺伝子特性が、被曝との関係で何らかの差をもたらすか」の調査だと考えられます。

2012-09-02 14:14:39
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

実際に、個々人のSNPとガンの関係や、SNP と放射線治療の影響との関係などは、現在、すでに広く研究されています。

2012-09-02 14:18:19
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

しかし、いずれにせよ、被験者ないし試料提供者たる福島の人達には直接のメリットはありません。

2012-09-02 14:19:32