「キョート・ヘル・オン・アース」急「ラスト・スキャッティング・サーフィス」#9

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
2
前へ 1 2 ・・ 5 次へ
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その場の者達はこの後のカタストロフを直感した。「イヤーッ!」ダークニンジャは遥か上の壁柱めがけてベッピンを投げて刺し、跳躍。柄の上に立つ。斜めの傷は深い。ダークローブは互いに侵食しあって修復されるが、肉体はそうはいかぬ。一方、ロードは片手を差し上げ、超自然タタミを召喚した。25

2012-09-10 16:59:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

然り。彼のやや上方に出現した白金のタタミ物体こそ、古事記にも書かれているジツ。ソガ・ニンジャことマスター・タタミの「タタミ・ジツ」である。ロードはひらりと飛び乗り、さらに幾つか白金タタミを召喚し、空中に固定すると、軽々と渡っていった。「ヤンナルネ」彼は呟き、見下ろした。 26

2012-09-10 17:05:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ショッギョ……ムッジョノ……ヒビキアリ……オゴレルモノ……ヒサシカラズ……」デスドレインの人の形が黒く沸騰した。膨れ上がり、爆発した。天守閣に黒い濁流が溢れ出た。白いタタミが次々と宙を飛び、暗黒物質に呑み込まれてゆく。他の者達に脱出手段は?……無い。 27

2012-09-10 17:11:33
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ホログラム地球儀が消滅した。白いタタミは操作水盤周辺を除いてあらかた剥がされ尽くし、荒れ狂う暗黒物質の下、不可思議な真鍮のキョート城骨組みを剥き出しにしていた。「……」ダークニンジャは意識を保とうと努め、水盤の表示をニンジャ視力で注視した。ゲートは……閉じられつつある! 28

2012-09-10 17:20:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

暗黒物質は意志を持って跳ね、フェイスレスを呑み込んでは押し潰し、殺害してゆく。新たなフェイスレスの出現はもはや無い。ゲートだ。真上の巨大な黒渦は、現れた時と同様、急速に薄らぎつつあった。ダークニンジャとロードは睨み合った。アンコクトンは生きたニンジャ達のもとへ雪崩れ込んだ。 29

2012-09-10 17:25:43
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「タダハルノヨ……ユメゴトシ……ヒトエカゼ……チリオナジ……」呪詛を、黒い飛沫を撒き散らし、アンコクトンが鎌首をもたげた。そして襲いかかった。ユカノ達は身構えた。身構えてどうしろというのだろう?アンコクトンが斜めに叩きつけられ……「イヤーッ!」「グワーッ!?」 30

2012-09-10 17:31:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ユカノは覚悟に閉じかけた目を見開いた。彼女は、そしてガンドーは、エーリアスは、目の前に立ちはだかる赤黒のニンジャの背中を見た。ニンジャスレイヤーは黒い呪われたニンジャの首を掴み、吊り上げていた。人型がもがいた。黒い液体が滑り落ち、デスドレインの姿が再び現れた。 31

2012-09-10 17:38:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アバッ……アバッ、なん、だ、テメェ……」「こわっぱ」ぐい、と腕を持ち上げ、ニンジャスレイヤーはさらにデスドレインを高く吊り上げた。「オゴーッ!?」「泥遊びは、終いぞ」赤黒の背中から血が逆さに流れ、白い蒸気が立ち昇る。「……フジキド……?」ユカノの額を汗が流れ落ちる。 32

2012-09-10 17:45:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オイ……オイ」ガンドーは呻いた。水盤にもたれかかった背中が滑り、再び座り込んだ。彼は震える手でマグナムを構えた。「ここで悪い冗談はやめてくれ……頼む」彼は祈るように言った。「頼む」「……」赤黒のニンジャはデスドレインを吊ったまま首を巡らせ(「離せ!畜生!」)、彼を見た。 33

2012-09-10 17:50:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

その目に赤黒い炎が燃えていた。ガンドーは息を呑み、エーリアスは眉根を寄せて、危うくニューロンアタックの手綱を放しかけた。「冗談?私は冗談など申さぬ。オヌシと違ってな」「オゴッ、オゴーッ!殺す!殺す!」デスドレインがアンコクトンを再び渦巻かせた。「イヤーッ!」「グワーッ!」 34

2012-09-10 18:01:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは腕に力を込めた。その腕を赤黒く燃える血が伝い、新たなブレーサーを生成した。メンポが自ずから歪み、より禍々しい形状を作った。赤黒の炎は腕から指先へ!そしてデスドレインの体内へ流れ込む!「アアア!アアアアアア!」「カラテ知らずのサンシタめが!イクサの邪魔だ!」35

2012-09-10 18:17:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

痙攣するデスドレインの身体が内側から炎を放ち始めた!インガオホー!そして頭上!「イヤーッ!」ダークニンジャは跳ぶ!跳びながら後ろへ手を翳す!ベッピンが不服げに呻き、自ら柱から放たれて彼の手に戻る。ダークニンジャは超自然タタミを次々に蹴り上がる!ロードはカラテを構える! 36

2012-09-10 18:26:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」第一の切り結び!二者は互いを弾き合い、別の超自然タタミの上に着地!ロードはひらりと踵を返し、さらなる超自然タタミを次々に召喚、不完全な螺旋階段めいて天井の穴を抜け、天守閣カワラ屋根へ上がった。すぐさまダークニンジャも後を追い、空の下で対峙する! 37

2012-09-10 18:35:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「この城は貴様には過ぎた玩具であった」ダークニンジャはベッピンを構えた。その足元におびただしい血が溢れる。「ゲートは閉じ、キンカクとの接続は絶たれる。ゴハサンだ」一方、ロードは傷ついた左腕をだらりと垂らし、片手のカラテ姿勢を取った。「よい。やや時間が延びた、それだけの事」 38

2012-09-10 18:49:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」空気が張り詰めた。「お前の傷は実際重い」ロードは超然と言った。「もはや、一度の切り結びにも耐えられまい。息のひと吹きで消える虚しき命。ひれ伏し、ハイクを詠むのが最もよい」「断る。生きる」39

2012-09-10 19:02:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ダークニンジャのローブの裾が風にはためいた。彼は生への渇望を殺意に換え、研ぎ澄ませた。ロードは手負いだ。一刀に賭ける。切り伏せ、殺し、ヤミ・ウチでソウルを吸い、己の命を繋ぐ。捨て鉢なヤバレカバレと言わば言え!「最後に笑うのはおれだ!」その時、城が激しく揺れた。二者は跳んだ!40

2012-09-10 19:09:16
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……「アアアアアアアア!」デスドレインは苦悶した。目から、口から、無数の傷口の裂け目から、噴き出すのは血ではない。アンコクトンでも無い。赤黒の炎なのだ。ニンジャスレイヤーは決断的無慈悲で恐るべきエネルギーを送り込み続けた。「ヌウーッ!」「やめろ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!嫌だ!」41

2012-09-10 22:13:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「笑止!」ニンジャスレイヤーは燃える目を見開いた。「己はブザマに命乞いてか!生きてなんとする!申してみよ!」「アガッ、アアア、アア!AAARGH!」デスドレインはニンジャスレイヤーの腕を両手で掴んだ。その手が焼け、ブスブスと煙を噴いた。「き、決まってらァ!殺すんだよォーッ!」42

2012-09-10 22:19:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは……ナラク、否、フジキド・ケンジは!彼は目の前のデスドレインを炎によって苛みながら、とめどなく涌き出して来ようとする邪悪な歓喜、暗い快楽の気配と闘う。これはイクサ!敵を滅ぼす!厳粛な道を踏み外せば、途端に己はナラク・ニンジャとなるであろう。「イヤーッ!」43

2012-09-10 22:24:44
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

力が要る!力に堕してはならぬ!マルノウチ・スゴイタカイビル!カラテ!チャドー!フーリンカザン!そしてチャドー!「イヤーッ!」「AAAAARGHH!」デスドレインはもがき続ける!並のニンジャであれば四度は消し炭と化したであろうカトン・トーチャリングだ!なんたるニンジャ生命力か!44

2012-09-10 22:28:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「畜生!畜生!まだだ!死にたくねえ!死にたくねェんだよォ!」デスドレインは足掻いた。執着!身勝手極まる、だがあまりにも強い底なしの執着!自らの生命への執着!「もっとだ!もっとやるンだよォ!なんとか!なんとかしろォ!アアアア!」彼が呼びかけるのはニューロンの同居者!ダイコク! 45

2012-09-10 22:31:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……このコンマ5秒後、ニンジャスレイヤーを襲った葛藤は強烈であった。彼の、フジキドの、ナラクに対するある種無謀な駆け引きの、最初の試金石でもあった。 46

2012-09-10 22:38:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デスドレインの身体を内側から冒す炎よりもなお激しい勢いで、黒い液体が泡立ちながら噴き出して来た。ニンジャスレイヤーは決して離しはしない。ずるりと何かが落ちた。……デスドレイン?ニンジャスレイヤーは依然、アンコクトンの人型を吊り上げている。だが生身の男が足元に落ちたのだ。47

2012-09-10 22:41:23
前へ 1 2 ・・ 5 次へ