「人に勧めるには注意を要するミステリ」作家別シリーズ

mysteryEQ様の「人に勧めるには注意を要するミステリ」シリーズを まとめさせていただきました。意外な視点からの作家別レビューです。 特別ゲストの参加もあり。 <2010年7月~2012年11月までに取り上げられた作家> 続きを読む
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麻里邑圭人 @mysteryEQ

「密室のカー」「ロジックのクィーン」というようにミステリ作家の中には作風を象徴する呼び名が付いている作家が何人かいるが、今回紹介するこの人もまた例外ではない。……というわけで人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその18・「物理(トリック)の北山」こと北山猛邦編をお届けする。

2010-09-01 21:01:13
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「『クロック城』殺人事件」/本格ミステリとは全てにおいて意味がある物語でなければならない。そう考える読者は自分含め少なからずいることだろう。そしてそう考える人間にとって本作は気持ちの悪い作品になるに違いない。本作が気持ちの悪い作品になるか否かはあなたのミステリ観次第である。

2010-09-01 21:02:15
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「アルファベット荘事件」/「長い家の殺人」「卍の殺人」そして本作――その三作が自分の考える「絶対に見取り図を見てはいけないミステリ」トップ3(!)である。もしあなたがこの忠告にも関わらず見取り図を見てしまった場合、トリックに対する驚きは一切保証しかねるので悪しからず。

2010-09-01 21:04:05
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「『アリス・ミラー城』殺人事件」/読了後、誰かと語りたくなるミステリというのはあるけれど本作の場合はちょっと意味合いが違う。というのも本作を読んだ大半の読者が口にするのが犯人の動機の意味不明ぶりについてだからだ。これに関して自分が言えるのはただ一つ――考えるな、感じろ(爆)

2010-09-01 21:05:40
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみに冒頭で「物理の北山」と称したけれど、個人的には「叙述の北山」の方がしっくりくるような気がしないでもない(笑)。それとも、この「物理の北山」という呼び名も巧妙な叙述トリックの一つだったりするのだろうか(←考え過ぎ)。

2010-09-01 21:08:55
麻里邑圭人 @mysteryEQ

そんな北山作品で自分の好きな作品を三作選ぶとするなら「『アリス・ミラー城』殺人事件」「『ギロチン城』殺人事件」「少年検閲官」。あと「『石球城』殺人事件」がいつ出るのか、非常に気になります……。

2010-09-01 21:11:29
麻里邑圭人 @mysteryEQ

人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその19・黒田研二編をお届けする。「ウェディング・ドレス」でメフィスト賞を受賞しミステリ作家としてデビューしたにも関わらず、最近ではすっかり漫画脚本の人になっている黒田研二。ミステリ作家、黒田研二の新刊が読めるのはいつの日か……(遠い目)。

2010-09-12 13:21:09
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「カンニング少女」/姉の死の真相を探るため、最難関と言われる大学の受験にカンニングという形で挑む少女と仲間たち。その模様はコン・ゲーム的な面白さがあっていいのだが、肝心な真相がトホホな点と実はカンニングをしてまで入る必然性があまりないことには触れないで頂ければ幸いである。

2010-09-12 13:22:01
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「ナナフシの恋」/一人の少女の墜落事故を巡り、様々な推理を繰り広げる六人の高校生。一見地味に見える内容だが、その真相はとんでもないバカミスである。しかも人によっては「ねーよ!」の一言と共に黒田作品と永遠にサヨナラする危険性すらあるため、取り扱いには充分注意して頂きたい。

2010-09-12 13:23:06
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「クレイジー・クレーマー」/爽やかな雰囲気に反して結構ブラックな真相が多い黒田作品だが本作はその最たる例である。イヤミスに耐性が全くない人が読めばトラウマになること必至だが、逆にイヤミス大好きな人にとってはまたとない贈り物になるに違いない。あとテディベア好きは必見です(爆)

2010-09-12 13:23:54
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみに現在黒田研二が脚本を担当している漫画は「逆転裁判」と「逆転検事」の二本で(原作はカプコンの同名ゲーム)いずれもミステリ度の高い作品に仕上がっている。お勧めは「逆転の死刑台」(「逆転裁判」1~2巻収録)と「逆転ミュージアム」(「逆転検事」2巻収録)。

2010-09-12 13:27:34
麻里邑圭人 @mysteryEQ

そして恒例の自分の好きな黒田作品三作は「硝子細工のマトリョーシカ」「今日を忘れた明日の僕へ」「嘘つきパズル」。特に「今日を忘れた明日の僕へ」は色々と欠点も多い作品ではあるものの、飛鳥部勝則「殉教カテリナ車輪」のような切ないミステリが好きな人には是非読んでもらいたい作品である。

2010-09-12 13:28:27
麻里邑圭人 @mysteryEQ

人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその20・三津田信三編をお届けする。刀城シリーズのような端正な本格とホラーの融合を試みる作品を書く一方で「なんという三津田」としか言いようのない壁本スレスレの作品も書いてしまう作家だが(汗)それらを引っくるめ個人的には好きな作家の一人である。

2010-09-19 17:03:27
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「密室の如き寵るもの」/刀城シリーズの読者が初めて本作を読んだ時に感じる違和感は多分法月綸太郎「犯罪ホロスコープ1」に感じる違和感と同じものだ。「何この有栖○風味」――本作は一言で例えるなら「ホラー+○栖川短編トリック」。故に本作は長編とは違う前提で読むことをお勧めしたい。

2010-09-19 17:05:29
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「シェルター 終末の殺人」/ミステリの禁じ手とは何だろう。色々と思い当たるとは思うが、それらに共通するのは全て壁本になるか否か紙一重という点である。そして本作の真相もまた、人によっては間違いなく壁本になることだろう。正直、寛容な心の持ち主にしかお勧めできない作品だと思う。

2010-09-19 17:06:22
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「スラッシャー 廃園の殺人」/まず先に断っておくと本作のメイントリックは既に幾つが前例があるものである。故に本作はトリックよりも作品から伝わる作者のホラー(スプラッター)映画愛を楽しみたい。そして当然の事ながら綾辻行人「殺人鬼」が駄目な人は絶対に読んではいけない作品である。

2010-09-19 17:08:42
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。因みに三津田の硬い文体が苦手という人には光文社文庫から出ている「」三部作か角川ホラー文庫の「死相学探偵シリーズ」をお勧めしたい。個人的なベストは前者なら「六蟲の躯」、後者なら「災園」。どちらも刀城シリーズを思わせるミステリセンスとどんでん返しが堪能できる作品である。

2010-09-19 17:09:52
麻里邑圭人 @mysteryEQ

そして恒例の自分の好きな三津田作品三作は「首無の如き祟るもの」「山魔の如き嗤うもの」「作者不詳~ミステリ作家の読む本」。特に「首無」は三津田作品の中でもトップクラスの面白さだと思う。因みに刀城シリーズを自分が面白かった順に並べるなら、首無>>山魔>水魑>厭魅>凶鳥>>>密室。

2010-09-19 17:15:12
麻里邑圭人 @mysteryEQ

賞の特性故か捻くれ者の多いメフィスト賞作家の中で最近特に捻くれた作品ばかり発表している作家がいる。それが今回、人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその21で紹介する深水黎一郎である。2007年のデビュー以来まだ六作品しか出していないがここで取り上げる価値は充分ある作家だと思う。

2010-10-07 20:29:49
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その1「ウルチモ・トルッコ」/作家の特徴を知るにはデビュー作からとはよく聞く話だが、この作者に限ってはそれが当て嵌まるかどうかは微妙なところである。本作は「読者=犯人」に挑んだ意欲作ではあるがその反面作者の現在の作風とは大きく異なる故それを念頭においた上で読むことをお勧めしたい。

2010-10-07 20:30:56
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その2「花窗玻璃」/深水作品の読者が本作を読んだ時、まずその内容に驚くことだろう。確かに不可能犯罪は出てくるし大掛かりなトリックもある。だけど、この作者にしては普通すぎないか、と。だが、それこそが作者が仕掛けた罠なのだ。果たしてあなたは本作の全てを読み切ることができるだろうか。

2010-10-07 20:31:57
麻里邑圭人 @mysteryEQ

その3「五声のリチェルカーレ」/本作は驚愕の真相をウリにした作品ではあるものの、その結末自体は差ほど意外性のあるものではない。では何が驚愕なのか。多分ミステリファンであれば結末に至った瞬間にある疑問に捉われることだろう。本作は結末に至ってからが本番という変わった趣向の作品である。

2010-10-07 20:33:04
麻里邑圭人 @mysteryEQ

以上三作品。ちなみにここで取り上げなかった「エコール・ド・パリ殺人事件」や「トスカの接吻」といった作品も、紹介したものに比べるとまだマシというだけの話であって、一般的に見たら充分注意が必要な作品だと思う(爆)。

2010-10-07 20:35:12
麻里邑圭人 @mysteryEQ

そして恒例の自分の好きな深水作品三作は「エコール・ド・パリ殺人事件」「花窗玻璃」「ジークフリートの剣」。特に「ジークフリートの剣」は今年の本格を象徴する三大呆然ミステリ(?)の一角を担う傑作である(残りのニ作は飛鳥部勝則「黒と愛」と七河迦南「アルバトロスは羽ばたかない」)。

2010-10-07 20:36:09
麻里邑圭人 @mysteryEQ

ユーモア本格の作家と言われて、あなたは誰を思い浮かべるだろう。色々いるとは思うが全作品シリアス要素皆無の純度100パーセント(?)ユーモア本格である作家はこの人くらいしかいないのではないだろうか。というわけで人に勧めるには注意が必要な作品シリーズその22、東川篤哉編をお届けする。

2010-10-18 20:27:48
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