【二次創作な】「グッドバイ・マイ・アストロノーツ」＃５＆エピローグ

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（あらすじ：アマクダリの野望を挫くため、仲間たちの協力を得て軌道上に上がったニンジャスレイヤー。対するは宇宙飛行士ニンジャ、アストロカラテ使いのエンデバー。前代未聞の戦場で激突する二人のニンジャ、その趨勢やいかに…！）

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「グッド・バイ・マイ・アストロノーツ」＃５

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「おい、アガメムノン。エンデバー＝サンは何をしているんだ？」変声期前にも拘らず、静かな怒気はジゴクを揺るがすが如し。アマクダリ秘密基地、専用モニタールームの玉座に収まるは若き帝王ラオモト・チバ。その側には苦々しい顔の側近アガメムノン。「僕には遊んでいるようにしか見えない」1

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「あれは、彼にも何か考えがあっての事かと…」「考えるのは僕の役目だ。僕は殺せと言ったんだ。繋げ」「…ハッ」アガメムノンが差し出した黄金の受話器を、チバは無造作に掴み取る。「モシモシ、エンデバー＝サン。ラオモトだ」「アー…坊ちゃんか？申し訳ねえんだが今取り込み中でイヤーッ！」2

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「お前の事情など知ったことか。なぜ本気でやらない？」「イヤーッ！イヤーッ！…本気ですとも！実際殺されそうで…ニンジャスレイヤー＝サンの適応力が…イヤーッ！」「何のためのアストロカラテだ。早く殺せ」「イヤーッ！すまねえ、ちょっと上司から電話だ！タンマ！…モシモシ？失礼しました」3

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「イヤね、会った直後なら楽に殺せたんだが、実際ここまで適応されると…」「インストラクション」「聞こえてました？」「僕はお前にカネを払っている。それがどう使われているか把握するのは義務だ」「そしたら、ムダ遣いさせちまったかもしれねえ。楽しくてよ、カラテがよ！役立たずの俺がよ！」4

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「今殺さなければ、マザーシップを落とす。お前も死ぬんだぞ」「いいんだ、構わねえ。何とかするさ。坊ちゃんには感謝してるけどよ、イクサにまで口を出されたくはねえ！」「いいんだな？」「いいさ！俺は、多分、このために、ニンジャで、宇宙飛行士なんだ！」「そうか。僕がバカだった。…落とせ」5

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チバは受話器を置いた。「ハッ、しかし…彼には巨額の費用が…」「ハシタ金の心配をするのがお前の仕事か？損失は僕が埋める。とっととマザーシップを落とせ」「ですが…彼は我らがアマクダリ宇宙進出の橋頭堡で…」「ハァ…」チバは軽くため息をつき、電話のダイヤルを回す。タネガジマだ。6

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「モシモシ。ネヴァーモアか？僕だ。そっちからマザーシップを爆破しろ。…そうだ、ダメだった。お前の言う通りだったな。すぐに片付けて戻って来い。ご苦労だった」アガメムノンは言葉を発しない。単にラオモトの名を持つ傀儡であるはずのこの少年は、確かに覇王としての素質を開花させつつある。7

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「下がれ、アガメムノン。僕は一人になりたい」「…申し訳もございません」「下がれ」「仰せのままに…」アガメムノンがモニタ室を辞す。一人残されたチバはモニタに映る二人のニンジャを眺める。今やその戦力は拮抗。ならば両者をもろとも死に追いやるのが得策。彼の判断は冷静であり、決断的だ。8

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今のチバの姿を亡父ラオモト・カンが見たなら何と言うだろうか。いや、無意味だ。死人は考えず、話さない。彼は爆発四散した。残ったのは怨念のみ。「ニンジャスレイヤー…」チバは呟く。手に握るグンバイがきしむ。「せいぜい生き延びろ。殺す。必ず殺す」通信が弱まり、モニタ画像が乱れた。9

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「モシモシ？モシモーシ？…ダメか。済まねえ、待たせちまった」「問題無い。すぐに殺す」「それがよ、別にアンタがやらなくても良くなっちまって」「ヌゥ…？」エンデバーの背後一〇〇〇メートルほど、彼の家…すなわちマザーシップ…が崩壊を始める。「坊ちゃんがオカンムリでな。追い出された」11

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爆砕ボルトが音もなく弾け、家だった物は無機質な部材へと還元されてゆく。その全てが夢の宇宙素材。かかったコストは想像だにできない。密封されていた空気が限りなく希薄化し、マザーシップは単なる宇宙ゴミとなった。「どうしような」「用は終わったのだろう？カラテだ」「俺、アンタ大好きだ」12

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「イヤーッ！」エンデバーの頭上方向からニンジャスレイヤーが迫る！その手に握られているのはスリケン、これで宇宙ニンジャ服を切り裂きソクシさせようというのだ！何たる容赦の無さか！「イヤーッ！」しかしエンデバーはヒット直前にスリケン持つ手をチョップ、叩き落す！「そんなのもアリか！」13

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エンデバーが下方に逃れる！十分に距離を取り正拳突き、背中から発生した大量のカラテ粒子塊がミサイルめいてニンジャスレイヤーを狙う！ニンジャスレイヤーは曲線軌道で飛行し可能な限りを回避し充分な数を振り切ったと見るや残る全てをカラテラッシュで撃墜！その隙を突いてエンデバーが接近！14

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「イヤーッ！」エンデバーの前蹴り！ニンジャスレイヤーのガード！「イヤーッ！」ニンジャスレイヤーのチョップ突き！エンデバーのガード！「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」「イヤーッ！」拮抗！両者ともブースターを全開、あらん限りの圧力をぶつけ合う！「イヤーッ！」「イヤーッ！」15

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「ニンジャスレイヤー＝サン！アンタはナンデニンジャなんてやってんだ！」「ニンジャを殺すため。オヌシのようなニンジャを」「カラテもそのためか！」「愚問。ノーカラテ・ノーニンジャ」「俺はな、おい、聞いてくれよ！宇宙が好きで、宇宙に行きたくてニンジャなんてやってんだ！バカだろ！」16

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「…ニンジャソウルの闇に飲まれたか」「ニンジャソウル？関係無えさ。俺がニンジャになったのはな、アンタが生まれるだいぶ前だけどな、その頃からもう宇宙飛行士だったんだ。どこのニンジャだか知らねえけど俺に憑いたのは正解だぜ！」「しかし無意味だ。私が殺す」「ほざいてろ！イヤーッ！」17

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エンデバーのローキック！ミドルキック！ハイキック！ニンジャスレイヤーはこの三連続攻撃をガード！ガード！脚を掴んでのアイキ投げ！明らかにアストロカラテを極めつつある！「グワーッ！ハハハーッ！」エンデバーは瞬時に姿勢復帰、しかしそこをニンジャスレイヤーの宇宙タツマキケンが襲う！18

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キリモミ回転からの両足連続キック！エンデバーはひと目見るや瞬時に習得！地上ならともかく宇宙で彼に不可能なカラテは無い！「「イヤーッ！」」ぶつかり合うタツマキケン二つ！回転の勢いそのままに「「イヤーッ！」」同時アラシノケン！真空ゆえあの特徴的な音は鳴らず、ただ衝撃だけが響く！19

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裏拳が！斬り下ろしチョップが！肘打ちが！掌底が！トゥーキックが！ブースターをうならせつつ激突する二つの彗星、その動きは完全に左右対称！どちらが合わせているのか？違う、それぞれのニューロンが同じ結論を弾き出している！ニンジャスレイヤーの宇宙カラテがエンデバーに追いついたのだ！20

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「アンタよお、一緒に行かねえか！外宇宙！星を見によ！」「稚気じみた夢だ」「そうかい？アンタのメンポに書いてあるスローガンよりはマシだと思うぜ！」「ダメだ。私にはすべき事がある。どの道オヌシは殺す」「アンタだってどの道帰れねえじゃねえか！」「帰る！ネオサイタマに！イヤーッ！」21

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暗黒カラテ技、ボディチェック！一見単なる当て身だが実態は全く異なる！インパクトの瞬間に全身の筋肉をフル稼働、発生した膨大なカラテベクトルを肩から背中にかけての広範囲で余す事なく対象に叩き込む！その威力はいかほどか、…例えば、ニンジャ一人を重力井戸から弾き出す事は可能か？22

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「残念だ。じゃあな、ニンジャスレイヤー＝サン」衝突の瞬間、エンデバーは完全に脱力した。ニンジャスレイヤーの全カラテはカタパルトめいて残らず初速へと変換された。エンデバーは周回方向へと吹き飛んだ。遠心力が重力を僅かに上回り、彼は衛星軌道のクビキから逃れた。彼は自由を得た。23