茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第740回「大切なことは大切だが、生命は無くてもなんとかする。」

脳科学者・茂木健一郎さんの10月9日の連続ツイート。 本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-10-09 05:51:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第740回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日も、引き続いて、日本を元気にするツイートシリーズ!

2012-10-09 06:48:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(1)昨日、市ヶ谷で行われた歯科技工士の方々の会でお話させていただいた。10月8日は、「入れ歯の日」らしい。テーマが「挑戦する脳」ということだったので、木村秋則さんのお話をした。不可能といわれたリンゴの無肥料、無農薬による栽培に、木村さんがどのように挑んだか。

2012-10-09 06:50:05
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(2)何年やってもダメで、いよいよ死ぬしかないと岩木山に登っていった木村さん。最初はリンゴの木かとも見えた目の前のドングリの木の根元の土で、栽培成功へのヒントをつかむ。山の中では誰も農薬も肥料もまかない。それなのにドングリは青々。土は、ふんわりとやわらかかった。

2012-10-09 06:51:32
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(3)リンゴがうまく生らないというと、どうしても土から上ばかりを見てしまう。本当に大切なのは、土から下。根の部分。勉強をしない子に、なぜしないのだと責め立てても仕方が無い。勉強したくなるような根を張ることが大事です、生きる上で、歯も同じように根となってくれますねと話した。

2012-10-09 06:53:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(4)歯科技工士会で木村秋則さんの話をしたのには、訳があった。「木村さんが、プロフェッショナルの収録でNHKのスタジオにいらした時なんですが・・・」私は、30分かけて張った伏線をいよいよ解き放ちにかかった。「ディレクターが心配するんですよ。木村さん、歯を入れてくるかなって。」

2012-10-09 06:55:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(5)「木村秋則さんは、実は、歯が一本もないんですよ。リンゴの栽培がうまくできなくて、呼び込みの仕事をしている時、まちがってやくざに声をかけて、殴られて歯が折れ、それをきっかけに一本もなくなってしまった。ところが、滑舌もいいし、メロンも刺身も器用に食べるんです。」

2012-10-09 06:57:06
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(6)「歯が大切」という話だったはずなのに、口の中も「自然農法」で歯が一本もない木村さんの話。歯科技工士の方々が、「あれれ」という顔をしているのが見える。歯は、もちろん大切である。しかし、歯がなかったからといって、生命というのはそれをなんとかするものでもある。生命は強靱だ。

2012-10-09 06:59:17
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(7)鍵となるのは生命の強靱さ(robustness)。例えば、子どもの成長にとって母親は大切である。生まれてすぐ里子に出されると、「どうして母親はぼくを育ててくれないのか」と欠落感にとらわれることもある。それでも、Steve Jobsはたくましく育った。

2012-10-09 07:01:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(8)命のあり方については、硬直化した「ベキ論」は時に危険である。「早寝早起き朝ごはん」は大切だが、母親が夜遅くまで働いている子が、帰るまで待っていたり、時に何かに夢中になって夜更かしをすることを全否定はできない。一つの「型」にあてはめるのは、生命の本質に反するのである。

2012-10-09 07:03:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

たせ(9)歯科技工士会の話に戻す。「歯は大切です。食べるよろこびは、歯があってこそ」「ぜひ、木村秋則さんに入れ歯を勧めてください」と言って終えた。あの場ではあれで良かったが、本音では、木村さんは歯がなくてもいいのではないかと思う。大切なことは大切だが、生命は無くてもなんとかする。

2012-10-09 07:07:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第740回「大切なことは大切だが、生命は無くてもなんとかする。」でした。

2012-10-09 07:08:12