【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】

島薗進先生の【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】
0
島薗進 @Shimazono

1【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】③アメリカのABCC(原爆傷害調査委員会)が行った原爆調査では、数十年かかってようやく分かる低線量被曝の問題が中心的な調査課題とされた、ABCCを引き継いだ放射線影響研究所(放影研)もそれを踏襲してきた。調査すれども治療せずの体制だ。

2012-10-10 09:22:53
島薗進 @Shimazono

2【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】③ABCCや放影研の「調査すれども治療せず」の体制は加害者側の調査としては理解できるが、被害者側からはどうにもやりきれないもの。実験材料にされたという記憶が焼き付いている。このやり方は放影研の理事長を16年も務めた重松逸造によって

2012-10-10 09:23:24
島薗進 @Shimazono

3【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】③チェルノブイリに持ちこまれた。重松逸造の命により笹川チェルノブイリ医療協力の主要スタッフとなった長瀧重信氏とその門下の山下俊一氏はチェルノブイリ被災地でとにかく大量のデータをとることに主眼を置く調査を行った。「量こそ力」との考え。

2012-10-10 09:25:00
島薗進 @Shimazono

4【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】③これは「笹川チェルノブイリ医療協力事業を振り返って」と題された座談会http://t.co/vAtjH8gn から明瞭に読み取れる。彼らは現地には長期滞在できないので診療には当たれないが、高価な機械を駆使したデータ集めはできると

2012-10-10 09:25:26
島薗進 @Shimazono

5【福島…健康管理調査は何を目指す…?】③考えて、データ集め中心の調査を行った。白血病以外は長期的にしか結果が出てこない疫学調査だ。しかし、ABCC=放影研の長期的疫学調査を原理的成果とするICRPの立場を支持し長期的疫学の数値こそ権威ある判断の源後押ししようとする長瀧氏らは

2012-10-10 09:27:02
島薗進 @Shimazono

6【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】③その立場を貫いた。WBCによる外部被曝線量調査、血液検査、甲状腺超音波検査の3本柱だ。実際には早い段階で甲状腺がんが報告されたし血液検査からも異常が見つかっているが、それらに対して診療を行ったりさらなる原因究明を行ったりしていない。

2012-10-10 09:27:16
島薗進 @Shimazono

7【福島県…健康管理調査は何を目指すのか?】③疫学が専門の医学者、津田敏秀氏の『医学者は公害事件で何をしてきたのか』は水俣病等の際、早くに適切な疫学調査を行えば、原因究明を早め被害を防ぐ措置がとれたはずだと論じている。適切な疫学を行えば、早期発見と早期の措置につながるはずだ。

2012-10-10 09:27:33
島薗進 @Shimazono

8【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】③福島県単位で調査をするにしても、適切な疫学調査は可能だ。甲状腺の異常の地域比較はその一つだ。事故後に放射線ヨウ素が取り込まれてから1年半経って、周囲からの要請にようやく応えて、早期発見に役立つはず可能性がある比較調査に取り組んだ。

2012-10-10 09:27:49
島薗進 @Shimazono

9【福島…調査は何を目指すのか?】③余りに遅い出足。血液検査等においてもこれは言える。このように被害者軽視の「調査すれども治療せず」の医学とは何だろうか?医療倫理、生命倫理の書物のどこを学んでも、このような調査を正当化する記述は見出せないだろう。調査デザインの再構築が必要(続)。

2012-10-10 09:28:29
島薗進 @Shimazono

1【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④NPO法人情報クリアリングハウスが県民健康管理調査の福島医大における倫理審査委員会の審査資料を公開してる。http://t.co/4mw3y0Rm 「基本調査」(避難地区)と「甲状腺検査」の「研究計画」だが結論先取りの異様な内容だ。

2012-10-11 08:36:20
島薗進 @Shimazono

2【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④「研究計画」の「予測される研究結果並びに学術上の貢献」即「何を目指すのか」の記述。まず「福島第一原子力発電所の事故に基づく周辺住民の外部被ばく線量推定のための問診票」(浪江町、飯館村、川俣町山木屋地区を対象)昨年6/24承認。

2012-10-11 08:36:36
島薗進 @Shimazono

3【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④その1「原子力発電所の大規模事故における周辺一般住民の外部被ばく線量の実測を早期に実施された事例はなく、今後の低線量被ばくに対する健康影響解明における学術的な貢献度は高い」。住民の健康への貢献ではなく「学術的貢献度」が最初。

2012-10-11 08:36:51
島薗進 @Shimazono

4【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④その2「上記①の結果を、今後の県民の健康管理の方向性決定に活用することで、本研究を住民に還元し、対象者のみならず県民の放射線に対する不安除去に貢献することができる」。これは理解困難な文章。「住民に還元」とは何を意味するのか?

2012-10-11 08:37:05
島薗進 @Shimazono

5【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④「住民に還元」が「不安除去」に関わることと考えていることは理解できる。しかしこれは調べる前に結論を先取りしている点で科学的に危うい態度。避難地区住民の場合、「不安除去」にならない例は数多く見出されることも十分想定してよいだろう。

2012-10-11 08:37:23
島薗進 @Shimazono

6【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④つまり安心できない線量評価が出た場合、「住民に還元」とは何を意味するのか?この文章ではよく分からない。当然、線量が多い対象者に対する個別の健康管理を強め、他と比較して放射線健康影響があるかないかを調べるべきだがそれは記載されていない

2012-10-11 08:38:06
島薗進 @Shimazono

7【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④放射線健康影響が早期に見出されれば適切な措置を行うことにより住民の健康維持・増進を図るべき。この調査はその手がかりとなるべきだ。しかしそのもっとも重要なはずの目的が記されていない。これで倫理審査委員会を通してよいだろうか?

2012-10-11 08:38:21
島薗進 @Shimazono

8【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④この異様な目的はさすがにまずいと考えたのか、同2011年6/30付けで「変更許可申請」が承認された。その1の「今後の低線量被ばくに対する健康影響解明における学術的な貢献度は高い」とある部分が書き換えられている。変更後は以下のとおり。

2012-10-11 08:38:36
島薗進 @Shimazono

9【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④「今後、低線量被ばくによる健康影響を長期的に検討するにあたり、本研究で得られる結果は重要な基礎資料となる」。「健康影響解明」「学術的な貢献度」では被験者は学術のための手段、あるいは単なる資料と受け取られかねないとの配慮か?

2012-10-11 08:38:50
島薗進 @Shimazono

10【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④また「低線量被ばくに対する健康影響解明」では不明確と考えたのが「長期的に検討」のための「基礎資料」との文言を追加している。「長期的に検討」というのは、今後長期に及ぶ住民の疾病・健康記録をあわせて調査しなくては意味がないからか?

2012-10-11 08:39:17
島薗進 @Shimazono

11【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④以上は避難地区住民のための「問診票」つまり外部被曝量計算のための4ヶ月の行動記録についてだ。これが「対象者のみならず県民の放射線に対する不安除去に貢献」というのは、避難地区外の県民も安心するはずだというのだが、どうしてか?

2012-10-11 08:39:32
島薗進 @Shimazono

12【福島県県民健康管理調査は何を目指すのか?】④この「研究計画」の「予測される研究結果並びに学術上の貢献」叙述では住民の「不安除去」を目的とし放射線の影響に関わる健康維持・増進については想定していない。「調査すれども治療せず」の態度が露呈。甲状腺検査等についても検討予定(続)

2012-10-11 08:40:39