ノット・ザ・ワースト・デイ、バット・アット・リースト・カースド・エニウェイ #4

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「スゥーッ……ハァーッ」ニンジャスレイヤーはザンシンののち、深くチャドー呼吸した。傷の回復を早め、続くイクサに備えねばならない。……十数秒の待機ののち、彼はIRC端末を取り出し、レッドハッグ達の位置情報を確認しようとした。その目が見開かれた。 45

2012-10-17 20:42:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オラララー、オーウエー、アワワワオワー!」「アワワワオワー!」「アワワワオワー!」スクーターが二台、古ぼけたビルとビルの間の路地裏から這い出し、蛇行しながらゆっくりと進む。それぞれのスクーターには若いパンクスが二人ずつまたがり、ガラガラ声で歌っているのだ。 47

2012-10-17 20:55:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オラララー、オーウエー、アワワワオワー!」「アワワワオワー!」「アワワワオワー!」二台のスクーターは蛇行しながらゆっくりと進む。ゴミ溜めの陰をバイオネズミが走り去る。「あのよう」「あン?」「この後どうする?どこ行く?」「そんな未来の事はわかンねえ!」「……だよな!」 48

2012-10-17 21:06:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

計四人のパンクスの髪型は、トロージャン、チョンマゲ、モヒカン、ウニパンクヘアーである。それぞれのファッションは、「忘れ物」と手書きで書かれたシャツ、革ジャン、ズボンに首穴を開けた改造衣類、メイルストローム柄の3DTシャツと雑多だ。 49

2012-10-17 21:12:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おいあれ見ろよ」「ドリンク無いか」「ネズミと目があった」「おいあれ見ろよ」「さっき何食った?」「大昔じゃん!」「おいあれ見ろよ」「え?」「見ろ!女!」「え?」「あれ女だろ!」「死んでる!」「死んでない!」「俺はなあ!ノーカジュアルセックス、ノー……エート……」「見ろ!」 50

2012-10-17 21:20:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「え……待て待て」トロージャンはスクーターを停め、飛び降りた。スクーターが転倒しチョンマゲがもろともに倒れた。「グワーッ!」「本当、女だってば」モヒカンもスクーターを停めた。ウニパンクヘアーが先に飛び降りた。モヒカンはスクーターもろとも倒れた。「グワーッ!」「マジだ」 51

2012-10-17 21:23:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「女だ……」「ヤバイよ」「ヤクザ?」「かもな」「ヤクザトラップ?」トロージャンがスタンジュッテを構えて周囲を警戒した。「誰もいねえ」「ネズミと目があった」「エーッ!これ、この人」ウニパンクヘアーが素っ頓狂な大声を出した。「マブ姉さんじゃん!」「エ?」「知ってんの?」「マブ?」52

2012-10-17 21:30:02
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「オイオイオイオイ……」ウニパンクヘアーが女をゴミ溜めの中から引き摺り出した。「なんで死んじゃったンだよォ!」「エ?」「知り合い?」「肉親?」「ワイフ?」「ゲイシャ?」「姉さんよォ!」ウニパンクヘアー青年は跪いた。女の青ざめた唇を見て涙を浮かべた。「ちょっとォ!」体を揺する。53

2012-10-17 21:34:29
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「知り合い?」「エ?」「とにかく酔いが覚めた」ウニパンクヘアー青年はブツブツ呟いた。「心臓マッサージすれば?」とモヒカン。「それだ」とチョンマゲ。ウニパンクヘアー青年は手を伸ばす。その手首を女の手がマンリキめいて摑んだ。「アイエエエ?」女の目がカッと開いた。「アイエエエエ!」54

2012-10-17 21:39:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「アンタさァ」女が枯れた声を出した。「ハイ」ウニパンクヘアー青年は反射的に返事した。後ずさろうとしたが、握力が凄まじく、離れられない。「今何時」「エッ?時計?」「ゾンビ?」「ヤクザトラップ?」他の三人は遠巻きに様子を見る。女はバネ仕掛けめいて上体を起こした。「アイエエエ!」 55

2012-10-17 21:46:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ウニパンクヘアー青年は引き摺り倒され、無様にゴミ溜めを舐めた。「グワーッ!?」「ちッくしょう!」女は獰猛に歯を剥き出し、唸った。起き上がり、己の身体のあちこちを叩く。そして懐からライターを取り出した。「あった!」そして朱塗りの鞘に触れた。カタナの柄に触れた。「あった!畜生!」56

2012-10-17 21:49:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ウェーゲホゲホ!」「お姉さん」ウニパンクヘアー青年が顔をゴミ溜めから剥がした。「お姉さんダイッジョブ?」「……みたいだね」彼女は左の肋を押さえ、顔をしかめた。「落ちた時か」「ダイッジョブ?」「ああ、それくらい。あのオッさん死んだかな……」「ダイッジョブ?」「ああ畜生!」 57

2012-10-17 21:56:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

彼女は直近の記憶を手繰り、顔をしかめた。「ゲホゲホ!まあいいさ、多勢に無勢、ノーカウントだ」「ダイッジョブ?何の事……」「アンタ、足ある?」「足……?」ウニパンクヘアー青年は仲間を振り返った。彼らは不安げに視線を交わした。女は言った「まだ時間はたいして経ってない……」58

2012-10-17 22:00:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「足……スクーター……とか?」ウニパンクヘアー青年は不安げに呟いた。女は頭を掻いた「スクーター、それ!そういうのだよ!……ところでアンタさァ!」「ハイ」「どッかで会った事無いか?気のせい?」59

2012-10-17 22:07:15
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(「ノット・ザ・ワースト・デイ、バット・アット・リースト・カースド・エニウェイ」#4 終わり。#5 に続く)

2012-10-17 22:07:40