〔AR〕その21後半

東方プロジェクト二次創作SSのtwitter連載分をまとめたログです。 リアルタイム連載後に随時追加されていきます。 著者:蝙蝠外套(batcloak) 前:その21前半(http://togetter.com/li/395383) 続きを読む
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BIONET @BIONET_

居たのは、表情を失い、瞳から一切の光を亡くし、か細く透き徹る少女だけだった。

2012-10-27 02:15:34
BIONET @BIONET_

「あ……」 取り返しの付かないことをしてしまった、と理解することだけ、阿求は速かった。 ――さて、阿求の叫びは、絶え間なく沸き立つ喧噪を一瞬だけでも引き裂く力があった。当然、人々は、何事かと阿求の方に振り向き出した。

2012-10-27 02:16:02
BIONET @BIONET_

悲鳴を聞きつけ、叫びを上げた人物を認識し、誰かが駆けつけてくる。その過程はやけにスローモーションであった。少なくとも、二人の少女にとっては。 水飴のような時間の中で、阿求は、なにかさとりに声を掛けようとした。 だが、その前に。

2012-10-27 02:17:08
BIONET @BIONET_

さとりは、ただ泣き笑い、そして一瞬で姿を消した。

2012-10-27 02:17:20
BIONET @BIONET_

「稗田のお嬢さん! どうしました!?」 一番最初に阿求に駆け寄ったのは、自警団の青年だった。それから、ぞくぞくと、阿求を知る住人が集い、彼女を守るように周囲を囲っていく。 「何か、スリか狼藉者にでも会ったんです?」 自警団の青年は、優しく阿求に尋ねた。

2012-10-27 02:19:13
BIONET @BIONET_

阿求は答えない。答えられない。 青年の言うような、スリや狼藉者は、あるいは祭り全体では居ることだろう。 だがしかし、先程まで阿求が話していた相手は、そんな悪党ではない。

2012-10-27 02:20:33
BIONET @BIONET_

心が読めるだけの、可哀想な女の子。

2012-10-27 02:20:49
BIONET @BIONET_

阿求は、茫然と視線を落とす。 地面に竹のタンブラーと紙が落ちている。タンブラーの隙間からじんわりとりんごジュースが零れて、『Initial A』のサインが書かれた札を滲ませた。

2012-10-27 02:21:23
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