@noyorinさんの第4回時代考証学会シンポジウム報告

のぐちよしあきさんによる第4回時代考証学会シンポジウムの報告(主に大河ドラマに関して)をまとめました
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のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

雨天の中、時代考証学会のシンポに行ってきます。「時代考証学会第4回シンポジウム 時代劇制作現場と学問のあいだ―考証・指導・監修―」 http://t.co/A04CyexM

2012-11-23 09:53:05
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

時代考証学会シンポジウムより帰宅なう。基本的に大河ドラマにおける時代考証のアーカイブ・データベース化と今回はスタッフによる裏話と問題点が主体。大河ドラマというより時代劇によるいろいろな継承不足が課題という指摘。

2012-11-23 19:00:43
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

シンポジウム主催者の方針により、現在の大河ドラマスタッフは参加は見送っているので、いわゆるOBによる講演となる。今回は『龍馬伝』にかかわった工藤航平氏、『太平記』プロデューサー一柳邦久氏、『義経』などの所作指導の猿若清方氏、そして俳優の高橋英樹氏。

2012-11-23 19:05:19
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

まず工藤氏の講演内容。時代考証と他のエンタメ分野との関係や考証の業務範囲や役割、これからの展望としての自治体との提携、時代考証の歴史などの概況が説明される。

2012-11-23 19:09:08
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

いずれ地方史などのデータベースあるいはアーカイブ化を通し、活性化と共に史料を蓄積して役立てたいとする。後述されたが韓国の大河ドラマでは日記類の史料整備がドラマの影響で進んでいるとのこと。そういった成果も期待できる。

2012-11-23 19:11:59
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

一柳邦久氏の講演。ドラマでのプロデューサーの役割から入り、歴史考証には深くかかわらないがキャスティングを通して人物像の設定を考えることが主体になる。むしろ映像化への主体となるのはディレクターの範疇といえるのではあるが・・・

2012-11-23 19:15:26
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

(承前)最近の大河ドラマは、そういった映像の上での人間関係の構築が甘いと辛口発言。特に昨年の大河ドラマを取り上げ、『塚原卜伝』で組んだ山本むつみさんと時代劇の根本である「位取り」がまったく出来ていないともりあがたっという。

2012-11-23 19:18:07
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

(承前)この描き方はここ10年ぐらいの傾向ではあるが、時代劇における人間関係が無視されているのではないかという。エポックとなったのは自身が担当した『太平記』までであったとする。

2012-11-23 19:21:07
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

そして話は大河ドラマ以前の歴史小説の概況に。『太平記』がエポックだったのは、それまでは大作といわれる原作小説があったが、それ以後はオリジナルの傾向が強くなった。それが時代小説の根底を見失わせていると。

2012-11-23 19:23:42
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

一柳氏の話では、1961年大岡昇平と井上靖との間に時代小説と歴史小説との違いは何かという論争があり、1950~60年代にかけて歴史小説が皇国史観から脱して歴史小説の概念が確立したことがありしっかりした原作が出来あがった。今のオリジナル大河はその精神を継続していないという。

2012-11-23 19:26:33
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

そしてヨーロッパでは「ストーリー」と「ヒストリー」は同根であり、同じように中国でも「正史」と「稗史」が同根であったが、日本ではそれが成立しなかったと。そこから生まれた市民の歴史が日本では時代小説にはっきりと受け継がれていかなかった。

2012-11-23 19:29:40
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

「時代小説」を書くために作家は数十年単位の取材と思考を重ねる。一方で大河ドラマは企画から脚本までせいぜい3年。こういった脆弱さがいまのオリジナル大河ドラマにあるのではないかと。

2012-11-23 19:31:03
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

もっとも大河ドラマ好きで長年研究していた三谷幸喜の『新選組!』やBK制作の古代史三部作は長年温めてきただけあり骨のある作品になったので、けっしてすべてがその顰に陥ってないとも。

2012-11-23 19:33:49
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

そして小説とドラマの違いにも言及する。小説は文字で完結するが、ドラマは役者が演じることで成立する。そのためプロデューサーの職務は脚本以前ののキャスティングにかかってくる。いかに役者の魅力を引き出す物語にするか。

2012-11-23 19:37:50
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

また歴史とドラマの係わり合いでも重要な点がある。それはドラマではぜいぜい30人までしか人間が描けないということだ。そのため人間の事跡を集約し登場人物が超人化し神話になっていく。そうしたことで同じエピソードを別キャストでくりかえすという弊害も生まれる。

2012-11-23 19:40:34
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

一方で神話の破壊もある。例として『太平記』での地元の英雄である名和長年を悪役に描いたことで地元から総スカンを食らった話がでた。こういったことがあるので歴史上の大人物ばかり描くようになったというのも弊害といえると。

2012-11-23 19:43:30
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

大河ドラマの未来への展望として、庶民を最新の歴史考証で描くことは出来ないだろうかという提案も出た。たとえば藤沢周平作品などのような大河ドラマの方向性であると。

2012-11-23 19:45:57
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

次いで、二世猿若清方氏の講演。かつて「中村豊」名義で大河ドラマ『赤穂浪士』にも出演した俳優であり、「猿若清三郎」として『武田信玄』以来、長く大河ドラマの所作指導を担当された方である。

2012-11-23 19:48:59
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

猿若氏は歌舞伎俳優の十七代中村勘三郎の部屋子としてキャリアをスタート。そのご舞踊家として活動する傍ら大映の時代劇俳優としても数々の作品に出演した。

2012-11-23 19:51:39
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

大河ドラマ『赤穂浪士』に出演した当時は、共演者は歌舞伎のオーソリティーばかりで所作指導などというものは存在しなかった。やがて職分は「振付」と呼ばれ、演出と混同されることから「所作」となり、やがて「所作指導」に定着したという。

2012-11-23 19:54:24
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

「所作指導」の役割は、いわゆる礼儀の指導ではない。和服の上での一般の動作全般にかかわる動くの監修であり、文字化・マニュアル化することはできないのですべて撮影現場で指導される。

2012-11-23 19:56:07
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

よくあるのは近代以降に成立した仕草にたいする指導。たとえば普通に現代人がなにげなくやってしまうアクションに、時代・育ち・身分・生活・性別などを通してその違いを指導するのである。

2012-11-23 19:58:52
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

例として出されたのは江戸以前の板の間での座り方。現代の胡坐はひざを高めに上げるが、それでは当時の胡坐ではない。もっと平たい感じに座るようにする。また酒の飲み方でも、かわらけ・杯・おちょこではそれぞれの見方が違い、男女でも仕草が違う。

2012-11-23 20:01:15
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

講演の題は「時代所作は憎まれっ子」というものだが、これは現場で所作を直すため、演出・メイク・カメラワーク・照明などが所作指導の結果大幅に変更することがあるということである」。例に出たのは殿様と家臣の距離や、髷での鉢巻の仕方が演出の勉強不足で大変更されたというものだった。

2012-11-23 20:04:58
のぐちよしあき(元 配役宝典の中の人) @noyorin

次は俳優の高橋英樹氏の講演。まず大河ドラマと民放時代劇の違いから話が始まる。民放時代劇には三つの時代しかないという。江戸初期の戦国に気風の残した時代、元禄のころの時代、そしてその他の江戸時代はざっくりと同じだという。

2012-11-23 20:07:56