テニプリでDQパロ～導かれし者たち１～

煌＠ＤＱ11ネタバレ注意 @kou_DQ

「なんでもヒョウテールには最近、とても評判の良い占い師が滞在してるらしい。その人に道を占ってもらったらどうかな」「…そっか…」「昔はヒョウテールに行くのには船が必要だったけど、今は簡単だからな」「簡単？」「ああ。ここから西に大陸を繋ぐトンネルがあるんだ」 #テニプリＤＱパロ

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若者が言うには、トンネルはごく最近、ユウシという商人のおかげで開通し、国の行き来がしやすくなって大変便利になったそうです。しかしそのせいで魔物に目をつけられ、今は魔物に狙われる身なのだとか。「とにかく、行ってみて損はないよ。素晴らしい国だから」 #テニプリＤＱパロ

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行き先をヒョウテールに決めたリョーマは何から何まで世話をしてくれた青年にお礼をして、ブキンカを後にします。栗のようなツンツン頭の、なんだかとっても地味な若者は、声援とともに笑顔でリョーマを見送ってくれました。 #テニプリＤＱパロ

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若者に教えてもらったトンネルは大きなもので、リョーマもすぐに見つけることが出来ました。中はしっかり整備されていて明るく、魔物もいないので楽々と通り抜けます。反対側のトンネルを抜ければそこはもうヒョウテールのある大陸でした。 #テニプリＤＱパロ

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視界の向こうに僅かに見える先端が、ヒョウテールのお城なのでしょう。リョーマは歩き始めます。装備も道具もしっかり充実させ、魔物の相手にも慣れてきたリョーマの道のりは案外楽なものでした。いくつかの橋を渡り、ヒョウテールの城壁をくぐります。 #テニプリＤＱパロ

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「…ぅわー…」リョーマは思わず感嘆の声をあげました。ブキンカもはじめて村から出たリョーマにとっては大きく賑やかな町でしたが、ヒョウテールは桁違いです。広い城下町。大きなお城。たくさんの雑踏がまるで音楽のように響いていました。「ここが…ヒョウテール…」 #テニプリＤＱパロ

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リョーマは占い師を探そうとしましたが、どうにも人の波が激しくてうまく声をかけることができません。少し考えて、どこかのお店で尋ねることにしました。あたりを見回し、今しがた人が出ていったお店に飛び込みました。「すみません…」「いらっしゃい！」 #テニプリＤＱパロ

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迎えてくれたのは、リョーマ同じくらいの小柄な赤い髪の店主でした。「ゴールド銀行へようこそ！ご新規さんですか！？」「…ゴールド、銀行…？」「あ？なんだ、知らずに入ってきたのか？」きょとんとするリョーマに店主が目をぱちくりさせます。 #テニプリＤＱパロ

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「あ、俺…今さっきこの国についたばっかりで…ちょっと人を探してて…」「そうなのか。じゃ、よかったら座れよ！今の時間は客も少ないし、俺の休憩兼ねてお茶でも飲んでけ！」「はあ…どうも」明るい店主に促され、リョーマは思わず椅子に座ります。 #テニプリＤＱパロ

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ひとまず挨拶を交わしてから、リョーマはここに来た経緯と占い師を探していることを伝えました。「へえ、そのちっちゃいナリで魔王討伐ねぇ」ナリに関してはアンタに言われたくない、とリョーマは思いましたが、お茶が美味しかったし空気を読んで口には出しませんでした。 #テニプリＤＱパロ

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ガクトと名乗った店主もこの店の話をしてくれました。ここは本来武器屋で別の持主がいて、今は自分が代理で切り盛りしていること。持主不在で商品の仕入れができないため、一時的に銀行になっていること。「魔物は倒した人間から有り金奪っていくから、銀行に預けとくと有効だぜ」 #テニプリＤＱパロ

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「なんで魔物がお金奪うの？」「さー…仕様？」「しよ…？」「魔物の世界も通貨制なのかもな」「なにそれシュール…」他愛ないを交わしながら、お茶をほとんど飲み終わったところでリョーマが立ち上がりました。「じゃあ、そろそろ」「おう、がんばれよ！」 #テニプリＤＱパロ

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ガクトがにっこりと笑いました。「酒場の行き方は覚えたか？」「はい」占いが仕事なら人が多いところにいるかもしれないとガクトが教えてくれたのは酒場の場所でした。リョーマはお茶のお礼をして、扉に手をかけます。 #テニプリＤＱパロ

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「あ、そうだ！」ガクトが思い出したように声をかけました。「もし旅の途中でユウシって奴に会ったら、何があっても夢叶えるまでめげんじゃねぇぞ。って伝えてくれ！」「ユウシ…？」聞き覚えのある名前に首を傾げつつ、リョーマは承諾して店を出ました。 #テニプリＤＱパロ

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人波に押されながらたどり着いた酒場には、残念なことに占い師はいませんでした。仕方なく別の場所を探そうとしたとき。「おーい、そこの少年！」誰かが声をかけました。リョーマが振り向くと、階段から誰かが上がってきます。赤い帽子が似合う長い黒髪の美少年でした。 #テニプリＤＱパロ

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「君みたいな子供が昼間っから酒場にくるなんてイケナイなあ」「いや…俺は人探しを」「ん？そうかそうかー！酒場じゃなくてこっちに興味があるんだなっ！」「は？え？ちょ、引っ張っ」美少年は笑顔でリョーマの腕を引っ張り、問答無用で階段の下に連れていきます。 #テニプリＤＱパロ

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階段の下は別世界でした。ギラギラと派手な照明。大音量の音楽。地上とは違う種類の賑やかなざわめき。リョーマは頭がクラクラしそうなのをぐっと堪えます。「ここが有名なヒョウテールのカジノさ！」「カジノ、って？」「夢とロマンとお金を巡る熱き戦いの場だよ！」 #テニプリＤＱパロ

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「で・も、未成年が一人で遊ぶのは無理だぞ！だからお兄さんが付き合ってあげよう！」「え、別にい」「さあ、まずはメダルを買う！！」リョーマは強引に換金所に連れていかれ、訳もわからぬままメダルとやらを購入し、スロットとかいう箱の前に連れていかれました。 #テニプリＤＱパロ

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言われるままにメダルを投入し、レバーを引きます。絵柄が止まるたびに横でオーバーリアクションを披露してくれるハイテンションな美少年に心底うんざりしながら、リョーマはなかば機械的に動作を繰り返しました。そして何回目かのドラムロールのあと。 #テニプリＤＱパロ

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スロットの絵柄が横一列に揃ったと思ったら、賑やかなファンファーレとともにスロットからメダルが飛び出してきました。リョーマは訳がわからず硬直しますが美少年は大興奮です。「おぉ！これがビギナーズラック！あやかりたい！俺もビギナーに戻りたい！」 #テニプリＤＱパロ

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すっかりSHT(スーパーハイテンション。スーパーヒーロータイムにあらず)になっている美少年に呆れながら、リョーマはレバーを離しました。「ねえ、俺もう行きたいんだけど」「えー！ここからがいいところだろ！？」「…それ、全部アンタにあげるから解放して」「…マジ！？」 #テニプリＤＱパロ

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メダルの詰まった箱を持った美少年はあっさりとリョーマを解放してくれました。リョーマはぐったりとしながら地上に向かいます。「…ちょっと静かなとこにいきたい」まだ耳鳴りがする頭を押さえながら、リョーマは教会に向かって歩き出しました。 #テニプリＤＱパロ

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教会のある場所はさすがに静かで人通りも少なく、リョーマはほっと胸を撫で下ろしました。そういえばお祈りを忘れるなってあの人が言ってたな…と教会に近づくと、何やら人影が見えました。「…といいでしょう」「ありがとうございます、占い師様！」 #テニプリＤＱパロ

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一人が深々と頭を下げると水晶玉を手にしたもう一人が笑顔でそれを見送ります。ふとそれを見ていたリョーマと視線が交わりました。短く切り揃えた黒髪に赤いハチマチをたなびかせた美少年。はじめて見たはずのその顔はなんだか誰かにとっても似ている気がしました。 #テニプリＤＱパロ

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「こんにちは」「…ども」一瞬嫌な予感がしたリョーマでしたが、美少年は笑顔でゆったりと会釈をしてくれます。「あの…アンタが、有名な占い師…？」「有名かどうかは自分ではわからないけど、占い師ではあるよ。僕は旅の占い師アツシ。よろしくね」「あ…俺はリョーマ、ッス」 #テニプリＤＱパロ