2010年の8/15

@masanork@toriyamazineの会話。宮城事件の解説、当時の陸海軍の官僚主義、教科書裁判。
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Masanori Kusunoki / 楠 正憲 @masanork

@toriyamazine 2.26事件に対して果断な指揮を執ったのは、昭和天皇の政治的勝利だった訳ですね。にも関わらず彼はなぜ開戦を防げなかったのでしょうか。そうか輿論が開戦を支持している以上、陸海軍とも輿論対策のために天皇の力を借りる必要はなかったのかな

2010-08-16 01:30:43
鳥山仁 @toriyamazine

@masanork それは、日本が世界的に見てもほとんど例のない陸海軍並立の制度を採用していたからです。通常の国家の軍隊序列は、陸軍上位海軍従属なのですが、日本では海軍にも作戦立案権がありました。

2010-08-16 01:34:25
鳥山仁 @toriyamazine

@masanork そして、陸軍の究極の作戦は対ソ戦で、これが発動すると陸軍独裁が成立する仕組みになっていました。この作戦案は部外秘なので、国会議員も天皇も内容を知らされていません。だから、ソ連と戦争が始まると、自動的に陸軍官僚が政治主導を握れるようになっていたわけです。

2010-08-16 01:36:20
Masanori Kusunoki / 楠 正憲 @masanork

@toriyamazine うーん、その辺まだ話についていけませんね。陸海軍並立となっているのは薩長のバランスとか藩閥政治の遺物なのでしょうか。まだまだ興味は尽きないのですが、今日はそろそろ落ちます。おやすみなさい

2010-08-16 01:38:57
鳥山仁 @toriyamazine

@masanork そして、1941年6月に独ソ戦が開始されると、陸軍はソ連との戦争を主張し始めます。これが同年7月2日に行われた関東軍特種演習です。このまま、日本がソ連との戦争に雪崩れ込むと、陸軍の独裁は避けられない状況でした。

2010-08-16 01:39:56
鳥山仁 @toriyamazine

これを避けるために、陸軍内部と海軍が南進論を主張して、これが実行されることになるんですが、これが対米関係の悪化を招きます(当たり前だ)。そこに、平行して山本五十六が計画していた真珠湾攻撃が浮上してきて(こちらも部外秘)、これが暴走することになります。

2010-08-16 01:44:04
鳥山仁 @toriyamazine

つまり、通常であれば陸軍大臣の裁可を受けて真珠湾攻撃が実施されるところが、陸海軍が並立だったために、海軍の独断で真珠湾攻撃が実施されちゃったんですね。あまりにも特殊な事例なので、国外の軍事制度を調べてもほとんど例がありません。

2010-08-16 01:46:12
Masanori Kusunoki / 楠 正憲 @masanork

@toriyamazine その辺は少し囓ったことがあるのですが、ちょっと場当たり的で向こう見ずですよね。天皇は最後まで開戦を回避しようとしていたと記憶するのですが、止められないガバナンスって何なのでしょうか。今もあまり変わってない気が

2010-08-16 01:46:28
鳥山仁 @toriyamazine

実は、ジャパンオリジナルとも言えるのは、この陸海軍並立という行政制度なんですが、これに言及する研究者があまりにも少ないんで、平泉と一緒でブラックボックス化してるんですよ。ジャパンオリジナルは研究されないと好例でしょう。

2010-08-16 01:48:14
鳥山仁 @toriyamazine

@masanork 仰るとおりで、親英派の昭和天皇は最後まで英米との戦争は回避しようとしています。作戦を強行した人間もハッキリしていて、当時の海軍大臣だった永野修身です。

2010-08-16 01:52:42
鳥山仁 @toriyamazine

@masanork この永野を突き上げた人間も分かってるんですが、ちょっと手元に資料がないので具体名が出せません。申し訳なし。『太平洋戦争と石油―戦略物資の軍事と経済』という本に載っています。

2010-08-16 01:55:58
エッチな気分のとき @tukwareteiamsen

ということは山本五十六はアメリカへ行ったにも関わらず真珠湾攻撃を計画した、どういうことなんだろう RT @toriyamazine: これを避けるために、陸軍内部と海軍が南進論を主張して、これが実行されることになるんですが、

2010-08-16 03:12:01
鳥山仁 @toriyamazine

@kawanaiseikatu ドイツがソ連に勝てば、日独連合軍にアメリカが譲歩すると思っていたんです。だから、真珠湾戦後は持久戦に転じる計画で、これは実施されています。ところが、真珠湾戦前にドイツ軍はモスクワ前面で停止。にもかかわらず、真珠湾作戦を止められませんでした。

2010-08-16 03:26:50
鳥山仁 @toriyamazine

@kawanaiseikatu 要するに官僚の戦争計画というのは、公共事業のダムなんかと一緒で、計画が立案されて実施されると、当の官僚にも止められなくなります。これが恐ろしいところですね。

2010-08-16 03:29:51
荒木俊三 @toshizoaraki

なんでそんな制度になったかといえば、単純な話、幕府の将軍みたいなのが登場するのを防ぐため。陸海軍双方を統制できる存在は、天皇という大元帥しかいないからだ。 RT @toriyamazine 実は、ジャパンオリジナルとも言えるのは、この陸海軍並立という行政制度なんですが

2010-08-16 03:49:06
荒木俊三 @toshizoaraki

もし天皇以外に陸海軍を統制できるものが存在したら、天皇の地位が脅かされる=徳川幕府の再来ってわけだ。東条英機は、首相と陸相と参謀総長を兼任し、また海軍に対しても親東条派の嶋田繁太郎を通して影響力を持ったことから「東条幕府」と批判された。 RT @toriyamazine

2010-08-16 03:52:47
鳥山仁 @toriyamazine

masanork さんとやりとりしていて、昨日が終戦記念日だと思い出した私は立派な非国民だな。個人的には、海軍反省会の資料を引用していない太平洋戦争話は、ヨタとして聞き流すことにしている。もっとも、この資料だけじゃ太平洋戦争の全貌は分からないんだけどね。

2010-08-16 03:53:45
荒木俊三 @toshizoaraki

@toriyamazine しかしこの「東条幕府」、実態はかなり寒い。陸軍は役職の兼任が効いて影響力を保てたが、海軍にはまるで手が出ない。次はどこで作戦するのか、いくら戦力が残っているのか、海軍はそれすら正しい数字を教えてくれない。これではまともな戦争指導などできるはずもない。

2010-08-16 04:00:58
鳥山仁 @toriyamazine

それにしても、繰り返しになるが、宮城事件抜きで終戦話をやる奴がいるのには驚愕した。この昭和天皇に対するテロ事件が成功していれば、玉音版が放送されることもなければ、皇室関係者が監禁・殺害され、日本国内が内戦状態になっていた可能性が高いんだけど。

2010-08-16 04:01:53
鳥山仁 @toriyamazine

@toshizoaraki 陸海並立になったのは、山本権兵衛のせいでしょう。日露戦争では、これで上手くいったので、この成功体験が後の崩壊に繋がったんだと思います。東条がどうにもならなかったのは完全同意です。

2010-08-16 04:05:24
鳥山仁 @toriyamazine

陸海並立の経緯については、wikiの軍令部の項目を参照して下さい。旧日本軍は、最初は陸軍主導です。日露戦争遂行のために並立になりました。

2010-08-16 04:09:57
鳥山仁 @toriyamazine

この時に、海軍軍令部を陸軍の参謀総長と対等にするようにと働きかけたのが山本権兵衛です。これが陸海並立状況を生み、結果として日本を破壊する行政的根拠になってしまいます。

2010-08-16 04:13:39
荒木俊三 @toshizoaraki

一例がガダルカナル戦。陸海軍が共に撤退反対で抵抗していたのを、東条は船舶消耗を理由に撤退を決定した。その時起こったのが「バカヤロー事件」で、東条は撤退反対を貫く参謀本部の田中中将を左遷してまで撤退を決行。 RT @toriyamazine 当の官僚にも止められなくなります

2010-08-16 04:14:21
荒木俊三 @toshizoaraki

@toriyamazine ガダルカナル撤退は、当時の日本では珍しくも軍官僚に対する政治主導が発揮された例とも言える。なにしろ、政治側の東条が、抵抗する陸軍高官のクビを切って適切な作戦に修正している。まあこれが「東条幕府」批判を拡大させていくのが悲しいことでね。

2010-08-16 04:20:57
鳥山仁 @toriyamazine

@toshizoaraki そもそも島嶼で持久戦をしようと言う海軍の作戦計画が異常なんですよ。立案したのは井上成美ですが。制海権・制空権をとられたら、島にいる兵士は餓死するしかないじゃないですか。そのくせ、井上は戦後になって「俺は戦争に反対だった」ですからね。

2010-08-16 04:22:06