レプリカ・ミッシング・リンク #8
「「「ザッケンナコラー!」」」突然の襲撃を受けたクローンヤクザたちは、暴徒鎮圧用シールドを並べ、古代ローマファランクスめいて威圧的に前進!同じ髪型!同じ服装!同じヤクザサングラス!完全にLAN同期しているかのように足並みを揃えて更新!まるで一切の感情を持たぬロボット軍団だ! 26
2012-12-17 01:23:25「進め!あの不良娘を囲んで警棒で叩いて、国家権力の恐ろしさを思い知らせてやれ!」上階からキングピンが叫ぶ!直後、最前列にいたクローンヤクザの額に∴マークの照準が灯る。「アッ……コラー?」次の瞬間、ZAPライフルの射撃がヤクザ五人の頭を貫通した。「「「「「グワーッ!」」」」」 27
2012-12-17 01:27:29左右のクローンヤクザは表情ひとつ変えず、一瞬で首無し死体となって後ろに倒れてゆく中央列の仲間たちを見て、また一斉に正面に向き直った。「イヤーッ!」闇の中からモーターユンコ!機械ゾウ足の武骨な駆動音を響かせながら、突破口の穿たれた中央列へと突き進む!重機アームが唸りを上げる! 28
2012-12-17 01:33:08殺人AIが彼女を導く!「イヤーッ!」重機アームが連続ピストン動作してクローンヤクザの腹を貫通!「グワーッ!」「イヤーッ!」重機アームがクローンヤクザの頭を掴み工業用カッター回転!「アババババーッ!」ゴウランガ!何たる残虐性か!「ゲエエエップ!何だ、この、バケモノは!?」 29
2012-12-17 01:41:41「イヤーッ!」「アバーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」「イヤーッ!」「アバーッ!」モーターユンコはクローンヤクザを虐殺しながら駆け上る!「モーターユンコは!ニンジャを殺す!」「やべえ」鬼気迫るカラテを感じたキングピンは、アクシス勢から庇護を得るために尻尾を巻いて逃げ出す! 30
2012-12-17 01:48:22「GRRRRR!」「グワーッ!」「GRRRRR!」「グワーッ!」「ムハハハハハ!やれる!今回こそやれる!」激しい興奮のあまり、グンバイを握るラオモト・チバの手が震える。その横で何事かを耳打ちするネヴァーモア。「何だと?」チバは株価チャートに目を転じた。相場が荒れ狂っていた。 31
2012-12-17 01:55:29「さて、何事でしょうな…」参謀アガメムノンは冷静さを少しも乱すことなく、戦略チャブの席を立ち、エコノミック解析クローンヤクザたちのもとへ歩み寄る。チバが敵意に満ちた目を彼の背中に投げかける。テック系銘柄、医療系銘柄、バイオ系銘柄が、熱病に浮かされたかのように乱高下していた。 32
2012-12-17 02:03:23「……我々の負けかも知れませんな」アガメムノンが振り向いて言う。ラオモト・チバは驚異的な解析能力で市場パニックの病巣を見つけ出し、それを抽出した。「スズキ・マトリックス理論の論文データが……特許権放棄の状態で……IRCに流出だと……?」若く端麗な暴君の顔が、屈辱に引きつる。 33
2012-12-17 02:08:58「ニンジャスレイヤーを重点しすぎましたな。遺憾ながら、撤退を、進言いたします」「確かに脳チップ再生技術の独占には失敗した!だがもう少しで殺せるんだぞ!せめてニンジャスレイヤーを!」「撤退を、進言いたします」象牙色のダブルスーツに身を包んだ参謀は、微かにデン・ジツを閃かせた。 34
2012-12-17 02:21:59チバの動揺が現場のアマクダリ・ニンジャたちに伝わる直前……すでに戦況は一変していた。ニンジャスレイヤーの片眼がセンコのごとく変わり、爆発的なカラテの力によってシャドウドラゴンの顎を押し開けたのだ!そして敵の頭に痛烈なカラテチョップ!「イヤーッ!」「グワーッ!」回転跳躍脱出! 35
2012-12-17 02:31:34「何故彼がここまで一方的にやられ続けたか。確かに戦力差もありましょう。だが何かが腑に落ちなかった」アガメムノンは戦略チャブに戻り、手で台形を作って口元を隠した「そう見せて我々のリソース配分を狂わせたのでは。ナラク化と呼ばれる切り札を温存しつつ……」「時間稼ぎ……だったと?」 36
2012-12-17 02:40:19「スズキ・マトリックス理論が流出!?」混乱が時間差でパンデモニウムらに伝播する。息が詰まりそうなほど縮み上がるキングピン。戦場に躍り出たモーターユンコがありったけのマイクロミサイルとZAPライフルを乱射する。再びケオスが廃墟スシ・バーを覆い尽くした! 37
2012-12-17 02:52:24ユンコはAIに身を任せ、ジェットコースターめいた視界の中で、微かな恐怖を覚えていた。先程までの怒りと憎悪の高揚感が、どこかに消え去っていた。自分はこんなにも残忍で暴力的だったろうか。作り替えられたボディに引っ張られるように、何か自分が変質していくような恐怖を覚えた。 38
2012-12-17 02:57:00混戦の中でZAPライフルの照準がニンジャスレイヤーに合った。駄目だ。ユンコはそれを否定した。赤い光の軌跡を残しながら、赤黒の死神が回転跳躍してきた。「イヤーッ!」鋭いチョップが彼女のZAPライフル腕を破壊した。「イヤーッ!」鋭いケリ・キックが彼女の重機アーム肩部を破壊した。 39
2012-12-17 03:04:36畳み掛けるように、彼はボトルカットチョップで彼女の首を撥ね飛ばそうとし、命中直前で止まった。その腕がガタガタと震えていた。「足手纏いも甚だしいわ……イヤーッ!」カタナを引き抜くようにチョップを引いてザンシンすると、彼はナラクの赤い眼光を宿したまま後方へムーンサルト跳躍した。 40
2012-12-17 03:12:04全弾を撃ち尽くしたモーターユンコは、その場にぺたりと腰を下ろし、廃墟スシ・バーに響き渡る銃声や、絶叫や、カラテシャウトを、きょとんとした顔で聴いていた。 41
2012-12-17 03:22:30(親愛なる読者の皆さんへ:翻訳チームの高度なちょうさの結果、昨日の「レプリカ・ミッシング・リンク」#8-36において、重大な過失インシデントが発生していたのでケジメ報告をおしらせします)
2012-12-17 12:27:01(アガメムノンが「ナラク化」という言葉を用いますが、これは担当翻訳者がリアルタイム翻訳連載終了予定時刻超過や140文字制限や飲酒等の理由により安直な意訳を行ったためのミストランスレーションです。彼は知性マグロを翻訳したせいで頭のうにダメージを受けたと主張したが、我々は看過しない)
2012-12-17 12:29:20(原文は「ニンジャスレイヤー・アブノーマル・リアクション・アゲンスト・カラテ・アージェンシー」であり、担当者は初出であることを忘れ意訳。これにより原文の持つ面白みが大変失われ、なおかつ不要な混乱を引き起こしました。担当翻訳者はケジメ後、アラスカ研修に送りましたのでご安心ください)
2012-12-17 12:45:14(なお翻訳チームでは現在『何らかの誤字により一瞬ノイズめいたツイートが起こって消える事は磁気嵐ないしはそれに類似する超自然現象である』という思いをチーム内で共有しており、それらはケジメにはあたらない事で合意しています。しかし昨夜のものは確実にケジメ案件なのでごあんしんください )
2012-12-17 12:49:04「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」廃墟スシ・バーの中をニンジャたちが飛び回る。スリケンが、クナイが、ヤクザの首が乱れ飛ぶ中、ユンコは立ち上がり、火花を散らす重機アームを引きずりながら、出口に向かってゆっくりと歩き始めた。 42
2012-12-18 22:56:19「……くだらん。撤退せよ!タイムイズマネー!」ラオモトはグンバイを戦略チャブの上に放り投げ、席を立った。戦場に動揺が走る。誰がケジメか。「これはキングピン=サンが論文データの奪取に失敗したためであり…」パンデモニウムが敵の攻撃をシャドウドラゴンに押し付けながら自己弁護する。 43
2012-12-18 23:01:44「ゴジュッポ・ヒャッポだ。パンデモニウム=サン、お前が撤退作戦の責任を持て」ラオモト・チバは振り返り、冷たく言い放つ「……お前がニンジャスレイヤーに戦力を集中させ過ぎ、僕に無駄なアッピールと点稼ぎを行ったのが原因だ」「そんなつもりは……!」「ラオモト・カンの息子をナメるな」 44
2012-12-18 23:12:30