roishi2j2さんのエッセイ

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OISHI Ryosuke @roishi2j2

明日はデートの約束をしたような気がする

2010-08-16 21:44:03
OISHI Ryosuke @roishi2j2

あさって、旅に出るので、その前に…

2010-08-16 21:49:57
OISHI Ryosuke @roishi2j2

ものすごい勢いで待ち合わせ場所へgo

2010-08-17 19:01:02
OISHI Ryosuke @roishi2j2

デート中は端末ボッシュートされてました

2010-08-17 20:12:34
OISHI Ryosuke @roishi2j2

Googleマップを頼りに待ち合わせ場所に行くと、彼女はすでに待っていました。彼女は僕を見ると歩き始めました。僕は後ろをついていきました。彼女の家に着きました。彼女は僕を家に入れてくれました。そして家に上がると、彼女は僕の端末を没収しました。つづく

2010-08-17 21:03:49
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は冷蔵庫からビールを2本と枝豆を出して、「飲んで」と言いました。僕が無言でビールを飲み始めると、彼女はノートPCを取り出してきて電源をいれました。ちなみにディテイルは創作ですがほぼ実話です。つづく

2010-08-17 21:10:08
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕は枝豆をつまみながら、彼女が作業するのを見守っていました。彼女はミヤビックスの充電スイッチ付きUSBケーブルで、僕のAndroid端末と彼女のノートPCを繋ぎました。外はもう暗かったのですが、USBケーブルの緑色のLEDが薄暗い部屋をほんのりと照らしました。つづく

2010-08-17 21:17:59
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は僕の端末を勝手にいじり始めた。小さいテーブルに向かい合わせに座っていたので、無言の彼女の手元は、僕の視線からは見えなかった。ただ何かのアプリをいじっているらしいことはわかった。しばらく時間が過ぎた。彼女が突然、「明日の予約は?」と聞いた。僕の旅の事を覚えていたのだ。つづく

2010-08-17 22:08:55
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕は「予約は、もう取ってあるよ」と答えた。独りで出発しなければならないことを思い出すと、返事をするのが、ちょっと辛かった。彼女もそう感じたのか、少し険しい表情をして僕を見た。が、すぐに無言で端末をいじり出した。僕は思わず、彼女の手元にある自分のAndroidを覗き込んだ。つづく

2010-08-17 22:54:51
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女はAndroidで新幹線の予約を取ろうとしていた。僕が独りで先に予約してしまったので、彼女も予約を取ろうとしたのだ。僕は、嬉しくなってしまった。が、複雑な心境でもあった。そんなことまでしなくていいのに。しかし、画面を見つめる彼女も、少し困ったような顔になった。つづく

2010-08-18 09:15:54
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕は空になったビールの缶を握りながら残り少ない枝豆をつついていたけれど、彼女の表情に気づいて、再び端末を覗き込んだ。そこには新幹線の予約画面が映っていたが、確かに少しおかしかった。 http://twitpic.com/2bt1gg 矢印の先に「選択」ボタンが現れないのだ。つづく

2010-08-18 09:31:28
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OISHI Ryosuke @roishi2j2

これは予約サイトのバグには違いなかったが、javascriptが得意ではない僕には原因はわからなかった。彼女はじっと画面を見つめていた。沈黙の時間は無限とも思われたが、実際には1分も経っていなかったと思う。突然、彼女が「わかった!」と小さな声で叫んだ。つづく

2010-08-18 09:37:05
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は今度はノートPCに向かい、勢いよくキーを叩き始めた。向い合わせの僕からは何も見えなかったが、eclipseをいじっているのは明らかだった。やがて彼女は僕に「設定は?」と聞いた。この機種では設定アプリのショートカットがないことを僕は説明した。つづく

2010-08-18 10:06:16
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は僕のandroidのアプリケーションの管理を開いた。端末が少しだけ斜めに傾いていたので、今度は僕の目線からでも彼女の操作が見えた。そこには僕が今までインストールした、しょうもないアプリの山が一列に勢揃いしていた。その中に、ひときわ目立つ新幹線のアイコンがあった。つづく

2010-08-19 08:10:28
OISHI Ryosuke @roishi2j2

それこそが、かつて彼女が僕のために作ってくれたアプリだった。もう記憶が定かでないが、僕が初めて出張することになったとき、切符を取るために作ってくれたのだ。確か、マーケットで公開する前に「名前をつけてよ」と頼まれて、1週間悩んで、BooXpressという名前を決めた気がする。つづく

2010-08-19 21:03:21
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は新幹線のアイコンを選択し、一瞬のためらいもなく、それをアンインストールした。僕はそれ以上、画面も彼女も正視できなかった。既に枝豆も食べ尽くして、鞘しか残っていなかった。彼女はさらに何かの操作をしていた。僕は耐えきれなくなって、部屋の壁を眺めながら世間話をはじめた。つづく

2010-08-19 21:07:52
OISHI Ryosuke @roishi2j2

何を話したか全く覚えてない。モトローラの日本再上陸の可能性とか、東芝と富士通の事業統合とか、本当にどうでもいいことばかり喋り続けた。彼女が何と答えたか、思い出せない。やがて話題が尽きて、恐るべき沈黙がまた訪れようとしていた。そのとき、彼女が不意に立ち上がった。つづく

2010-08-19 21:16:15
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は嬉しそうな表情で僕を見て言った。「できたわ」そして僕のAndroidを差し出した。僕は端末を受け取り、ホーム画面を見た。そこには消えたはずの新幹線が、少し場所を変えながらも、他のしょうもないアプリの山の後ろに鎮座していた。彼女は空になった枝豆の皿を取った。つづく

2010-08-19 21:29:47
OISHI Ryosuke @roishi2j2

彼女は僕に背を向け、皿を台所に運びながら言った。「あ、今それに入ってるの野良だから。マーケットから落とし入れ直してね。」つまり彼女は、僕がビールと枝豆を飲み食いし、どうでもいい世間話をしている間に、僕の端末で #BooXpress の最新版を作っていたのだった。つづく

2010-08-19 21:40:14
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕は小さく「ありがとう」と言った。全くこんな展開は予想外だった。さっきまで絶望の縁にいたのが、突然引き戻された気分だった。僕は彼女への礼儀から言っても、アプリの動作確認をすべきだった。だがEX予約のIDを覚ていなかった。僕はすぐに家に帰って、確かめることにした。つづく

2010-08-19 22:16:33
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕はようやく立ち上がり、帰り支度を始めた。彼女は狭い玄関まで、僕を見送ってくれた。そして「帰れる?」と聞いた。僕は確かに少し酔っていたが、帰れない状態にはほど遠かった。ただし時間の感覚は完全に喪失していた。僕は靴を履き、ドアを開けて、真っ暗な外の闇に一歩踏み出した。つづく

2010-08-19 22:23:36
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕は彼女にさよならを言うために振り返った。玄関の明かりが逆光になって、彼女の顔がよく見えなかった。僕がその事を言おうとしたとき、彼女が言った。「使ってね。帰ってくるときに」声から表情は読み取れなかったが、本当は別の事を言おうとしていたのはわかった。僕はまた胸が苦しくなった。つづく

2010-08-19 22:28:39
OISHI Ryosuke @roishi2j2

僕は彼女に今言うべきことがあった。だが何故か口にできなかった。代わりに別の言葉が口からでてきた。「twitterに、でーと中なう、って書くの忘れた」まったく、こんなことは言うべきではなかったのに。彼女は笑った。「でーと終了、って書いときなよ」もういつもの明るい彼女だった。つづく

2010-08-19 23:12:24