ミストルティン編 ■■ローグ ~「■■する破界者~■■ー■ー・スルー・ジ・■ン■」~

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Astal_jukebox @astral_jukebox

「おい!アレ水爆じゃないのか!?」少年が問う。『大丈夫、放射能は出ない奴だから』「な、なら良いけど…」「良くないわ。貴方は下がってて…時間が無いから表への隠蔽のことは、置いておきましょう…転送前にアレが反応して、動き出したらどうするつもりなの!?」「いえ、それはないです」 23

2013-01-02 00:57:11
Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトではなく、少女が代わりに答えた。「見て下さい。核の1発や2発程度じゃ効かないとか言う以前に」閃光が晴れていく。『蚊…いやケンミジンコの尻尾が刺さった程度にも感じやしないんだから』無傷の邪神がそこにはいた。変わらずゆっくりとその場で回り続けている。 24

2013-01-02 00:57:47
Astal_jukebox @astral_jukebox

「ッ……」金髪の女性は内心苦い思いだったが、表情の動揺は最小限に抑えた。流石に隠し切れはしなかったが。水爆が効かなかったのでは無い。少女が言った通り瞬時に再生したのだ。それは想定済みだ。だが反応すらしないとは!彼女の部下や人間の魔術師達はもっとはっきりと動揺した。 25

2013-01-02 00:58:32
Astal_jukebox @astral_jukebox

水爆級の火力を持つ者は彼等の中にもいる。直径十数キロというサイズも、その凄まじい再生力についても全員に知らされていた。だがその有様と、それ以上に今の攻撃にも無反応でいるという格の違いを実際に目の当たりにしては平静ではいられなかった。既に絶望した者も少なくない。 26

2013-01-02 01:02:09
Astal_jukebox @astral_jukebox

『なんならもう一発殴ってくるか』ホワイトが太陽の子供の如く握り込んだ右の拳を、女性が掴んで制した。「ねえ、どうして?…貴方なら分かるでしょう、今ので士気が下がったのが?士気の重要性も!」『怖気づいた人たちには残って貰えばいいだろ?どうせ効かないんだし』「!?…貴方…」 27

2013-01-02 01:02:42
Astal_jukebox @astral_jukebox

まだ言いたいことはあったが、既に転送予定まで1分弱、無駄は出来ない。女性は伝令の術式を全軍一人一人に向けて放った。<全軍に通達。これより、予定通りに転送を開始する。完了と同時にプランA、波状攻撃で手筈通り一気に殲滅にかかる。各員20秒で最終確認を行うこと> 28

2013-01-02 01:03:02
Astal_jukebox @astral_jukebox

<…先程の一撃を目の当たりにし、戦意を失った者。もしいれば、この場で撤退せよ。我々には迷う為の時間も少ない。退くなら早い方が残る者への負担も少なく済む…正直なところ、私自身もかつてない程恐ろしく思う。アレは『彼等』以上の脅威だ…だが、倒さねば未来は無い>転送まで30秒。 29

2013-01-02 01:10:03
Astal_jukebox @astral_jukebox

<かの邪悪相手に…私は諸君を無事連れて戻る約束は出来ない、全滅も覚悟だ。だが!アレの討滅だけは約束しよう!無駄死にだけは断固させない!!その上で!一人でも多く生還させる努力を誓う!>20秒。 30

2013-01-02 01:10:20
Astal_jukebox @astral_jukebox

<各員の奮戦を期待し、武運を祈る!………あの爆発の後では…多少の大音声も隠蔽の誤差範囲だろう……戦意ある者は存分に叫ぶが良い!> 10秒。 31

2013-01-02 01:10:35
Astal_jukebox @astral_jukebox

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーーーー!!!!」世界を守ろうという意思と生への執着、死の恐怖の払拭、様々な想いが号令とそれに応える大音声の元、一つとなった。…そして全ての戦闘員が邪神と共に転送されていった。 32

2013-01-02 01:15:41
Astal_jukebox @astral_jukebox

―――新月に近い、細い月が静寂の町を照らしていた。 33

2013-01-02 01:15:52
Astal_jukebox @astral_jukebox

~■■する破界者~■■ー■ー・スルー・ジ・■ン■~ A終わり。 後半=Bに続く。

2013-01-02 01:16:52
Astal_jukebox @astral_jukebox

~「■■する破界者~■■ー■ー・スルー・ジ・■ン■」~ B

2013-01-02 18:40:03
Astal_jukebox @astral_jukebox

―異空間。魔力で作った疑似空間などでは無く、一つの小さな宇宙。彼等が元いた宇宙の結びつきは強いが、物理法則などが微妙に異なる別世界。ただし戦闘の支障になる程の違いではない。そして転移先の星は地球にかなり環境が近く、大気組成も似ており、少なくとも数日は生存に支障は無い。 34

2013-01-02 18:40:12
Astal_jukebox @astral_jukebox

もっともこの戦いは短期決戦が前提だ。瞬時に傷を全快させる相手に火力を小出しにするのは愚策だからだ。指揮官の言う『波状攻撃』の『波』とて、そう間を置くものでは無い。一気呵成に押し寄せる荒波だ。その金髪の女性…討伐軍の指揮官が背中から翼を広げた。 35

2013-01-02 18:40:24
Astal_jukebox @astral_jukebox

元々、普段抑えている力を解放した全力の姿ではあったのだが、これで全力中の全力。彼女は同族の中でも最強、戦闘力は文句なしの一位だが、ただの一位では無い。二位以下に大差をつける一位だ。二位から五・六位までを同時に相手に出来る程に。そして彼女の種族は人間の魔術師よりも強い。 36

2013-01-02 18:45:41
Astal_jukebox @astral_jukebox

人類側にとっては、地球の空の下で最強なのは彼女のみなのだ。少なくとも公的には。広げた翼から周囲のエネルギーを吸収し、魔力に変換する。極大の一撃の準備だ。周囲の同族を始め、魔術師達も各々最大火力の準備を始める。そしてホワイトは。『いけるな?』「いいよー」黒髪の女が答える。 37

2013-01-02 18:50:50
Astal_jukebox @astral_jukebox

彼女の影が無音で沸き立ち、半径数十キロに渡って広がる。周囲の戦士達がやや動揺するが、彼等が本当に驚いたのはその影の中から無数の兵器が出現してからだった。『『!?』』ホワイトが三ケ月足らずの間に盗む、作る、改造する、買うなどして掻き集めた兵器群だ。 38

2013-01-02 18:55:56
Astal_jukebox @astral_jukebox

小型ロボット、自動発射装置のライフルやロケットランチャー類各種数千丁、戦車砲・艦砲塔各数百台、束になったレーザー銃電波砲中性子弾プロトンガン各数十丁ずつ、弾道ミサイルが数千、打ち上げ花火、そして原爆水爆合計2万弱(退役済みを含む)。 39

2013-01-02 19:00:17
Astal_jukebox @astral_jukebox

この兵器群の存在は彼等とて知ってはいた。彼のせいで世界情勢が混乱するのを止むを得ず放置したのだから。 だが人類をも余裕で滅ぼしうる火力の数には、ただ呆然とせざるを無かった。そして原水爆の合間に何故か携行火器まである無意味さが逆に訳が分からず不気味に思われた。 40

2013-01-02 19:10:36
Astal_jukebox @astral_jukebox

『あーテステステス、ドーモ、友軍の皆=サン。ホワイトです』最優先回線で、通信機越しに告げる。『これはさっきのウサ晴らしの一発と違って、ふつーに放射能が大量に降り注ぐので、被爆にはくれぐれもご注意を。聞いてるとは思うけど』警告を終えると、全火力の六割ほどの発射準備に入る。 41

2013-01-02 19:21:01
Astal_jukebox @astral_jukebox

駆動音と共に、人類をも滅ぼしうる火力の一端が破滅そのものに対して牙を研ぎ澄ます。これ程の殺意と火力を向けられても邪神にはなおも回避や防御、反撃や迎撃の様子は見られない。ゆるやかにその球状の体を回転させるだけだ。知性が無いのか?或いは分かっていて必要無しと判断しているのか…。 42

2013-01-02 19:30:23
Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトは兵器群の中、管制システムの中にいた。某国のイージス艦のアンテナ塔をもぎ取ってきて改造したものである。彼は無数の端子がついたヘルメットを被って座っている。背中に抱きつく黒髪の女と二人、どうにかすし詰め状態で入れるスペースしかない。 43

2013-01-02 19:30:23
Astal_jukebox @astral_jukebox

彼が照準、彼女が兵器の管制と発射の担当である。兵器の強奪から接続・運搬まで、計画こそホワイト担当だがその他は彼女との共同である。特に兵器群運搬は彼女なしでは出来なかったことである。『良し、そいじゃ5カウントで発射でいーか。OK?』「おっけー!」抱きつきながら無邪気に答える。 44

2013-01-02 19:40:02
Astal_jukebox @astral_jukebox

彼女にはあまり真剣味が見られない。しかし両手と胸で何度も彼の頭を挟み込みながらも、数十万の兵器をプログラムではなく、自分の手足の如くに一つ一つを直接操作しているのだ。SSS級魔術師でも同じことをしようとすれば百人近くは必要になる。それ程の難事を乳技の片手間にやっているのだ。 45

2013-01-02 19:50:20
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