茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【「サブカル」という言葉は、もはや死語】連続ツイート

茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート第８２６回をお送りします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、ずばり系、ふりかえり系ツイートです。

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さち（１）昨日、「ズバリ！　ラジオ」の生放送のため、有楽町のニッポン放送のスタジオに歩きながら、思った。そういえば、構成作家の三枝さんが、「サブカル」がどうのこうのとか台本に書いていたなあ、ところで、サブカルって、いったい何だっけ？　と考えながら、寒風の中を歩いた。

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さち（２）スタジオに入って、机の上に置いてある台本をぺらぺらめくっていたら、「サブカル」という言葉がない。あれれ、と思ったら、今日のゲストの大根仁さんが実は三枝さんのいる会社のエライ人で、事前に台本をいろいろチェックしてダメ出しされ「サブカルって何だ！」ということになったらしい。

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さち（３）そしたら、プロデューサーの後藤さんが、「茂木さんね、最近はね、サブカルという言葉の意味が変わって、渋谷系の、おしゃれな文化を、サブカルって言うんですよ。それで、サブカルは、俺たちのことを搾取していると、オタクたちの反発が凄いんですよ！」と教えてくれた。へえ。

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さち（４）いずれにせよ、「サブカル」という言葉は、もはや死語であろう。そもそも、何がかつて「サブ」だった（かもしれない）漫画やアニメ、アイドルみたいなやつは、むしろ「メイン」になってしまった。むしろ、クラシック音楽の方が、世の中の立ち位置としてはサブカルかもしれない。

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さち（５）サブカルという言葉には、世間の冷たい目だとか、逆風とかを反映しつつ、むしろ誇りがあったのだろう。かつて、街を歩いて偶然通りかかったトキワ荘に心動かされ、しばし佇んだことがある。手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫などの創世記の物語は、今や神話だ。

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さち（６）今では、漫画はすっかり立派なものになってしまって、売れ筋のコミックなどは、ドラマや映画の原作になったり、社会から重宝される。むしろ、かつては文学の本道とも言われていた「純文学」の方が、すっかりサブカルだ。芥川賞をのぞけば、なかなか陽の当たらない坂道。

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さち（７）だから、サブカルとか、メインカルチャーとか、そういう区分はすっかり無効化している。じゃあ、何が残っているのかと言えば、新しいこと、挑戦することではないか。漫画でも、クラシックでも、すでに確立したものに安住するのは、つまらない。とにかく作り続ける現場にしか真実はない。

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さち（８）新しいものをつくろうとすると、時に失敗するし、ぶざまにもなるし、なにしろ謙虚にならざるを得ない。そういいものなど、できないから。だから、そういう時に、なかなかうまくいかないけれども、それでも創っている、その現場を「サブカル」というのならば、それはいいサブカルだ。

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さち（９）サブカルが良いものであるためには、挑戦し続けなければならない。かつて、漫画やアニメが世のＰＴＡから目の敵にされた時代から、ＰＴＡ自体が漫画やアニメを好きな時代に変わった今、むしろ、一般に一向に振り向かれぬクラシックや純文学の展開の方が、よほどサブカルかもしれないよ。

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以上、連続ツイート第８２６回「サブカルが良いものであるためには、挑戦し続けなければならない」でした。