「葬室からの励と責~イット・カムズ・レイド」 #2

 「葬室からの励と責~イット・カムズ・レイド」 #2 「装甲機、GO!RUN!」(リファイン版) http://seimunoyakata.blog81.fc2.com/blog-entry-202.html #1 http://togetter.com/li/434003 #3 http://togetter.com/li/434907
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Astal_jukebox @astral_jukebox

例えば、足。ロボットを効率的かつ安定して移動させるにはどうすべきか?最適なのは車輪だ。そもそも人間も早く移動する為に自転車や車を使うことからもそれは明らかであろう。ならばロボットの足に最初から車輪をつけていた方が良い。無論段差の昇降には不向きだが、それも問題ない。 49

2013-01-05 10:45:15
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屋内用ならエレベータを使えば済む。それが無いか、屋外の段差のある場所なら車輪を複合型キャタピラにでもすればいい。人間や他の機が運ぶのもいい。勿論、二足歩行技術自体は義足の開発などに役立つ有用なものだが、ルールの縛りなどの理由が無ければやはりロボットの足には車輪が最適だ。 50

2013-01-05 10:50:26
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腕や頭などの他の部位についても、ケースバイケースだが概ね同様だ。そもそもロボットは汎用型ですら、何らかの目的を持って作られるのだ。その目的に最適化した形態になるのは当然である。ゆえに人体程の汎用性は必要が無いばかりか無駄である。 51

2013-01-05 10:53:10
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最初から人型ロボ同士による競技でもなければ、戦闘用ロボを人型にする合理的な理由は通常ない。趣味の領域だ。そしてアクトボットはその種の大会ではない。人型ロボ自体はたまに見られるが、人体の動作を完全再現する者は殆どいない。するにしても、せいぜいアームなどの一部限定である。 52

2013-01-05 10:55:44
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そもそも人体の動きを再現するには、まず人間同様の骨格や関節部などが必要となる。その数は数百以上。動作を再現するには、これらも出来る限り再現しなければならない。ロボットのパーツ数としては多すぎる数だ。これは特に戦闘用としては致命的である。 53

2013-01-05 10:58:26
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ブレイビートも実際数百とはいかないまでも百数十もの骨格・関節を備えているが、これによって生じる問題は多い。まず部品やその材料の購入費用だ。戦闘やテストで摩耗する分や予備もある。智明達はこれを工夫で大幅に抑えてはいるが、それでも年間数十万円の負担となる。 54

2013-01-05 11:00:44
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その上整備性も悪く、製造や修理が難しい。本物の戦争で使われる戦車や戦闘機などでも部品が少なく、分解しやすいに越したことはないのだが、それと同じことだ。また設計上の問題も連鎖的に次々と発生する。 55

2013-01-05 11:02:27
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まず部品の数だけ重量、電力消費と発熱量が増える。そしてその分排熱性能などの要求が上がる。排熱の為に装甲が薄くなる。装甲が薄い分、回避力を向上させようとモーターを強化する。その分熱などが増える……あちらを立てればこちらが立たぬ、と言う奴だ。 56

2013-01-05 11:06:13
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しかしそれを押してまで人型にするだけのメリットが彼らにはある。それは勇矢も承知している。その恐ろしさも。準備を終えた隆光が問う。「浅空、お前のは?忘れたというのならば…俺が直接お前を…殺す!」ファイティングポーズ。「うち何部だよ!」機体モニタリングをしていた智明が突っ込む。 57

2013-01-05 11:07:57
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彼は本来、支援機体『エクスタッグ』の操作も行うのだが、今日は使わない。一見すると彼らは2名で運用できる分だけ、有利にも思えるが、勇矢は1人で、とはいえ2機を使うため五分と言えば五分だ。しかも勇矢はかつて一人で3~4体の機体を同時に操作した、恐るべき操縦能力の持ち主なのだ。 58

2013-01-05 11:09:26
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しかも対した敵チームは大半が20名近いチームで10体前後の機体で向かってきたのだ。09年度大会…小三の時点で、彼はそれを一人で捌いた。実際1人で1チーム分の戦力と言って相違ない。そんな彼が今日は機体を2体1組だけ出すということなので、その全力の発揮が期待されているのだが…。 59

2013-01-05 11:13:07
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「まあ、素手のカラテ対決も良いけど…体調が万全でも勝て………」何かを思いつく。「本気を出して戦ってみたところで勝てる気しない筈だからな!」何故か良い顔で言う勇矢。「浅空さん、急ぐんでしょう?」「あ、やべ」湊に促されて、ようやくそれを思い出したらしい勇矢は携帯電話を操作した。 60

2013-01-05 11:15:29
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『ピロ、ピロ、ピピ!…ジョーカーッ!Comecloser!』力強い電子音!…に流暢な発音の平淡な英語が続く。「えーと…そこのこ…こ?……そこの人!」勇矢が河坂直人を指さす。「僕?」「そう…えー…観崎君!そこの窓を開けてくれ」「河坂だけどね」彼は苦笑しつつ窓を開けた。 61

2013-01-05 11:17:52
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次の瞬間。「伏せろ!」勇矢の声に直人は反射的にしゃがむ!その頭上を窓から飛びこんできた何かが通過する。それは着地するとそのまま、試合場へとエントリーしてきた。直径1メートル程の球体。その下部には円状の台車。球体の上には仮面をかぶったピエロめいた小型ロボットが乗っている。 62

2013-01-05 11:20:04
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『ドーモ、皆=サン、ブレイビート=サン、ジョーカーデス』ピエロが芝居めいた動きで右腕を振り、部員とビートの中間辺りに向けて挨拶する。その間に勇矢は回転ジャンプで操作ブースに座った。ごく普通の机と椅子に設置された4つの操縦機器は、それぞれ両手と両足で操作するもののようだ。 63

2013-01-05 11:23:21
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かつて彼は同様の器具で一度に数体の機体を操った。その操縦スキルが今この2体に集約されるのだ。「浅空さん、準備は出来ているとみていいですか?」「OK!」ズドォン!と右拳を左手に打ち付ける。「コレ…サイズ満たしてます?」「球体は直径96cm、ジョーカーは60cm」規定範囲だ。 64

2013-01-05 11:25:32
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――機体にはサイズ制限があり、『試合開始時に』1体につき一辺1mの立方体の中に納まれる必要がある。チーム全体では2×2×1mの中に『その試合に出場する』全機が入れればよい。重量制限は1体50kg以下、全体合計で200kg以下だ。 65

2013-01-05 11:27:45
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ジョーカーは10kg、球体は45kg、とそれぞれABでは重軽量級と超重量級相当。ブレイビートは全高70cm、8kgの中軽量級である。人数的には2対1ということを鑑みてもなお、このウェイト差は観崎チームに不利な条件と言える。球の高速度突撃が直撃すればビートには致命傷の筈だ。 66

2013-01-05 11:31:01
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「それでは今日のルールを説明します」審判役の湊が告げる。「今日は一次予選のルールを元に変更を加えたものです。機体のレギュレーションは予選や大会と同じですが、制限時間が30分であることと、浅空さんが機体を2体使用する点が主な違いです」 67

2013-01-05 11:33:37
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二次予選は全国と同ルールだが一次は違う。機体は1対1、操縦者は3名以下。制限時間15分で相手を倒せなければ引き分け。旗などの獲得点は無し。ブロックごとの総当たり戦。機体仕様以外は二次以降とは全く違う簡素なものである。 68

2013-01-05 11:37:57
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「あの」白鳥仁美が手を挙げた。「……白鳥さん、どうぞ?」湊が質問と受け止めて、続きを促す。彼女は唯一のアクトボット参加未経験者にしてロボット技術も素人だ。デザイン担当である。「浅空君側だけ2体で良いんですか?」「2対1は卑怯だろ!って?」勇矢が横から入る。 69

2013-01-05 11:40:27
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それを無視して湊が答える。「実際の予選ではだめですが、1人で2体動かす負担を考えればそう有利でも無いですよ」「でもサイズも違」「大きければ有利ってものでも無いんですよ」遮りつつ答える湊の声はやや冷淡だった。その胸は平坦である。別に仁美がこの部では一番胸が豊かなせいでは無い。 70

2013-01-05 11:44:50
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勇矢達三人を勧誘しに行った先で、偶然見出されただけの彼女に湊はあまり優しくない。ロボットと関係すらない才能に智明が惚れ込んだのが面白くない。マネージャーとしてはどうかと思われるが、湊は彼女を表面上他の部員と平等に扱っている、つもりでは一応いる気になってる筈ではあったようだ。 71

2013-01-05 11:47:01
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「あんなのに智明さんが負けやしませんよ」薄い胸を張る湊。「主に俺が動かすんだが…」隆光が自己主張する。「あんなのとは言ってくれるね……い…伊藤?」「この伊!都!谷!湊の感想にご不満でも?」ゴミを見るような湊の目。「アリガトゴザイマス!幸せです!」勇矢にはご褒美だった。 72

2013-01-05 11:51:06
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「伊都谷さん?確かに少し……失礼じゃないの?」やや棘のある湊の言い方に村雨早紀が苦言を呈した。「この程度は失礼のウチに入りませんよ?ねぇ?」「浅空君はどう思うの?遠慮しないで言ってやった方が良いわよ」「え?何この女同士の珍しくも戦い。果たしてどちらに軍配が上がるの?」 73

2013-01-05 11:56:03