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斎藤環 【新刊】『オープンダイアローグがひらく精神医療』 @pentaxxx
大阪桜宮高の体罰について。顧問教諭を批判するのは容易だが、しばしば合法的に患者の自由を制限したり拘束したりする権限を持つ精神科指定医の立場からは、他人事みたいにあげつらうのはちょっとためらわれる。暴力なしには抵抗する人間を拘束することはできないしね。
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中井久夫氏ですら著書『こんなとき私はどうしてきたか』(医学書院)に、暴力を振るう患者さんを抑制する手技を紹介している。双方を守るためとはいえ、これもうんと広義にはソフトな暴力手段と言えるし、見方によっては体罰に見えるかも。
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体罰と言えばヤンキー、って言うと思った? 残念! 僕はむしろカルトを連想した。エホバの証人の体罰は、懲らしめのゴムホースとか、せっかん死事件とかで有名だよね。オウムやヤマギシもそうだけど、カルト集団は児童虐待の巣窟になりやすい。
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それともう一つ、2009年に広島少年院で起きた暴行事件を連想した。この事件で、元首席専門官の向井義被告が逮捕されたのが僕にはショックだった。画期的な教育プログラム「宇治方式」で知られ、伝え聞く人物像も、温厚で篤実な人格者という印象だったから。
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向井被告は発達障害に配慮した矯正教育の実践で高い評価を受けていた。「宇治方式」の宇治少年院や広島少年院での実践は、再入院率ゼロという画期的な成果を上げたとされている(品川佑香『心からのごめんなさいへ』中央法規出版)。
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その向井被告は2005年9月に、当時16歳の少年の首をシーツで締めて遺書を書くよう迫り、拒んだ少年の顔に有毒ガスを詰めた袋を近づけ「これを吸ったら死ねるぞ」などと脅したとされている(本人は否定している)。
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戸塚ヨットスクールやアイ・メンタルスクールのような、反知性的ヤンキー集団の暴力とはわけがちがう。向井氏の理論は発達障害に独特の認知障害のありようを的確にふまえたものとして大いに参考になった。何が彼をそうさせたか。
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体罰の温床は、密室内において固定された支配-被支配関係だ。こうした環境下では、たいがいの人間があっさりと、その人間性のもっともゲスな部分を露呈させ、しばしば過剰な暴力をふるうに到る。これは「スタンフォード監獄実験」(1971)の教訓でもある。
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実験のあらましはこうだ。20人の学生を囚人役と看守役に分け「刑務所ごっこ」をさせた。実験開始から2日後、囚人役は卑屈な態度で看守に盲従するようになり、看守役は、残忍で権威的な態度に変わった。深夜に囚人役をたたき起こして無意味に点呼をとる、といった虐待行為が繰り返された。
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実験はわずか6日目に中止され、以後この種の実験は全面的に禁止された。
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こんな密室はどこにでもある。家庭、学校、職場、どんな場所も「監獄実験」の現場になる。その空間においては個人の倫理性などいともたやすく溶解する。よって予防のためには個人の資質や倫理観などにはあまり期待できない。
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言い替えるなら、加害者の処罰(それはもちろんなされるべきだが)だけでは根本的解決になり得ない。記録と公開と検証によって、この種の密室が成立しにくい環境設定を徹底する必要がある。
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事件直後にしてすでに体罰容認論がこれほどある以上、体罰の根絶は当面無理なんだろう。ならばせめて、「顔を40発殴る」などという愚かしい暴走が起きにくい環境設定を考えるほうが”現実的”なのかもしれない。だいぶ情けない話ではあるけれど。

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