- hosidukuyo
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「ギャーッ!」勇矢が悲鳴を上げた。あたかも自分の身が裂かれたかのように。しかしその虚を突いてキャンサーが一気に突撃する!「イヤーッ!」「ううっぐ…イヤーッ!」勇矢も激痛に耐えながら応戦する。 96
2013-01-15 21:56:10ネクストステージの左拳をボールドキャンサーの鋏が捕らえる。だがそれを囮にしたネクストが右拳で刺さったままのカリバーを殴る。だがこれを囮にしたキャンサーが頭部装甲をパージ!内側の複合型ドリルを露わにし…ネクストの頭部に突き刺す! 97
2013-01-15 22:01:08「ヒィィアアアッ…ギェェ!!?死ぬッ死ぬ死ぬゴメンなさい!助けてえええ!………グ、グワーッ!」勇矢は『自分の顔を抉られているかのような』悲鳴を上げる。「浅空!降参しろ!」流石に察した起矢が叫ぶ。「グワ…ひいいいいい!…断る!」だが勇矢は拒絶。 98
2013-01-15 22:01:21もうお分かりだろう。3体分のロボのダメージが彼の肉体に、痛みとして反映されるようになっているのだ。彼は既に胸を貫かれ両腕をもがれ脚を二本半折られ無数の短針を刺され全身に火傷を負った…のに近い痛みを受けた上、この顔ドリルである。ここまで持ったのがおかしい。 99
2013-01-15 22:02:39「そうか…なら…覚悟っ!」起矢は敢えて意を決してドリル攻撃を続けた。ネクストもカリバーを握りしめて押し込んでいく。押し合いながら互いに攻撃を続ける中、ネクストからは再び出火!キャンサーからも何筋もの黒煙が上がる。そして。 100
2013-01-15 22:04:56『『サヨナラ!』!』二体のロボがほぼ同時に同様の電子音声悲鳴を上げて機能を停止した。「あああああっ!!!」勇矢が地面に倒れ伏す。「グワーッ!」起矢も片膝をついた。彼の場合自機が停止した場合に、自分に電流が流れるようになっていたようだ。 101
2013-01-15 22:17:04―16:23。制限時間の半分も待たずして決着はついたようだ。「おいユウ!しっかりしろ!」裕岐が勇矢を助け起こす。「痛たたた…悪い敵を甘く見てたわ…」「また無茶しやがって…もうそういうのは止めろよ…」「善処する」そういうと勇矢はゆっくりと起き上がり、椅子に座った。 102
2013-01-15 22:17:21「大丈夫…みたいだね…」智明が言う。「これは引き分けかな?」「いや。まだ分からない」隆光が答えた。フィールド内を指さす。キュイーン…という機械の駆動音。動いているのは…バイラオールの下半身だ。直人の操作でよろよろと場外へ移動していく。 103
2013-01-15 22:20:26敵側の全機体を倒した場合、自陣の機体が一機でも自力で場外に動ければ勝利となる。「伊都谷さん、これで線の外に出られれば、僕らの勝ちだよね?」自陣際に機体を移動させ、直人が審判に確認する。「ええ…動けませんよね、浅空さんのほうは?」「……ああ」勇矢が力なく答えた。 104
2013-01-15 22:22:29そして…バイラオールが場外の自陣待機エリアへと撤退を完了させた。「福岡チーム機の『生存』を確認しました。勝者福岡チーム!」湊が手を上げて宣言し、隆光がカウンターを止めた。「両チーム、礼!…出来ます?」湊が問う。「なんとか」「やってみる」勇矢・起矢が答えた。 105
2013-01-15 22:24:43「「ありがとうございました!」」両チームは礼を終えると、それぞれその場に座り込んだ。勝利を喜んだり敗北を悔しがるほどの余力も無い程に力を出し切った…出し切れたのだ。 106
2013-01-15 22:24:55浅空勇矢は、七橋裕岐に背中を抱えられながら床に仰向けになっていた。勇矢は、彼に借りたタオルの下で笑い泣きしていた。「ハハ…ハハハ」星護が横から手を出して肩を揉んだり腕のマッサージを始めている。 107
2013-01-15 22:28:54裕岐はどう声を掛けるべきか少し悩んでから「良かったな、ユウ」と言い、勇矢はただ「ああ」とだけ答えた。 108
2013-01-15 22:29:06ミストルティン編第四話「護るべき笑顔は~ノー・ティアー!ノー・アゲイン!」 #2 「レッド・デストロイアー」 終わり #3 「エイジ・オブ・グリード」に続く
2013-01-15 22:32:08