イスラーム地域研究、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科の@masanorinaito 氏による「アルジェリア人質事件」の背景と本質、日本の偏向報道について(18日~22日までのツイートより)

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masanorinaito @masanorinaito

90年代のはじめ、地方選挙に続いて総選挙を実施したら、イスラム主義者のFIS(イスラム救済戦線)が勝利した。それをFLN(国家救済戦線)が軍の力を頼りに潰した。フランスは暗黙のゴーサインを与えた。国際社会は、この理不尽な弾圧を非難しなかった。

2013-01-20 03:33:00
masanorinaito @masanorinaito

その結果が、悲惨な内戦となったのである。イスラム主義者の側も、政治闘争では軍に勝てないから、地下に潜伏して激しい武装闘争を展開した。市民を標的にする殺し合いが、軍部、過激化したイスラム武装勢力の双方によって続いた。FLNの政権は、治安に絶対的な力をもつ軍にあやつられてきた。

2013-01-20 03:34:56
masanorinaito @masanorinaito

その結果としてのアルジェリア政府と、その軍が、今回の人質事件の当事者なのである。武装勢力に対して、どう対処するか、それは事件が起きたときから明白だった。この種の事件について、私には、フランス政府が知らなかったとは思えない。

2013-01-20 03:36:54
masanorinaito @masanorinaito

英国のキャメロン首相が「事前に情報がなかった」と不快感を示したことも、もちろん額面通りに受け取れない(英と仏はともに中東・アフリカを分割してきた植民地統治の主役である)が、英国が知らなくても、フランスは知っていなければいけないのである。

2013-01-20 03:38:47
masanorinaito @masanorinaito

それでこそ、植民地支配を恬として恥じない大国の面目躍如である。

2013-01-20 03:39:04
masanorinaito @masanorinaito

かつて、こういう明確な政治的意図をもって政権を攻撃する勢力は、「反政府ゲリラ」とよばれてきた。いまや、だれもゲリラと呼ばず、「テロリスト」と呼ぶ。違和感がある。ある人物や集団が「テロリスト」と規定されたら最後、誰も、それに逆らうことはできないかのように殲滅される。

2013-01-20 03:42:46
masanorinaito @masanorinaito

テロリストを殲滅するのは一向にかまわないが、問題は、彼らが本当にテロリストなのかどうか、である。むろん、ガス田で人質となった人たちにとって、彼らがテロリストであったことに疑いの余地はない。

2013-01-20 03:44:22
masanorinaito @masanorinaito

しかし、そのことと、テロリストを育てたのがアルジェリア政権と軍部の残虐な対応だったこととは無関係ではない。90年代以来、政権と軍が、イスラムを掲げて世直しを計ったFISを、市民の支持によって選ばれたFIS(イスラム救済戦線)を、残酷に力で壊滅させなければ、

2013-01-20 03:45:42
masanorinaito @masanorinaito

マグレブのアル・カイダをはじめ、さまざまな名前が取りざたされる「テロ組織」は、アルジェリアでは活動できなかったのである。

2013-01-20 03:46:27
masanorinaito @masanorinaito

イスラム主義というのは、イスラムに従って世直しをして、イスラムに基づく統治をしようとする政治運動である。市民の多数がそれを望むなら、そうなるだけのことである。

2013-01-20 03:48:57
masanorinaito @masanorinaito

何か、とてつもなく邪悪な政治思想であるかのように思われるのは、アメリカやフランスなどの欧米諸国にとって、都合の悪いからにすぎない。国家としての米国や仏にとってだけではない。すでに信仰を捨ててしまった世俗主義者にとっても、神と共に生きるムスリムは、はなはだ目障りな存在なのである。

2013-01-20 03:50:03
masanorinaito @masanorinaito

それはそうだろう。欧米では、「神」など居場所を失っている。人間は、なんでも「理性」に従って行動するのがよいとされる。他方、ムスリム(イスラム教徒)は、決して「神の下した規範」を乗り越えることはできない。むろん、「戒律」を破るムスリムならいくらでもいる。

2013-01-20 03:51:59
masanorinaito @masanorinaito

しかし、そのことを、どうとらえるかは信徒にゆだねられている。そして、彼らは、やはりどこかで、「神の示した正しい道」へと回帰していく。1980年代以降のイスラム復興の潮流というものは、西欧の真似をしてつくった国家の中で生きるイスラム教徒の「生きにくさ」を反映したものだったのである。

2013-01-20 03:53:29
masanorinaito @masanorinaito

「信仰を捨てて欧米の民主主義国家のようになれば可愛がってやろうじゃないか」アメリカもフランスも、実に自分勝手に、ムスリムの諸国家に、そう言い続けてきた。ムスリムの国でも、アメリカ風になったり、フランス風になった人は数多い。だが、やっぱり、それは違うんじゃないか、と思う人が増えた

2013-01-20 03:55:26
masanorinaito @masanorinaito

その帰結を、今、私たちはエジプトやチュニジアでのイスラム政党の伸長のなかに見ている。西欧風の国家をつくることにかけては先端を行ってきたトルコでさえ、いまや、「西欧思想に追いつかなければ進歩にならないんだ」という西欧追随をやめてしまった。

2013-01-20 03:57:43
masanorinaito @masanorinaito

だが、こういう現象は、ムスリム諸国が自分で選択したとは限らない。いいようにアメリカに利用され、いいようにフランスに支配され、いいようにEUにあしらわれたことによって、中東諸国の人々は、少しずつ、ムスリムとしての自覚を新たにしたのである。

2013-01-20 03:59:09
masanorinaito @masanorinaito

アルジェリアの政治状況について、もう一点。2012年の総選挙で、与党FLN(何度も言うように、この政党の名前は社会主義時代から同じ)は、実際には、20%に満たない得票で、議席数の48%近くを獲得したという報告。http://t.co/s5SdNFQn

2013-01-20 11:54:04
masanorinaito @masanorinaito

穏健なイスラーム主義政党は総議席の10%程度。非常に「洗練された」方法で、少数の得票でも議席数は大きくなるようにできている。各選挙区で5%を超えないと議席配分がないという制度もその一つ。それに、チュニジアやエジプトと比較しても、はるかに厳しくイスラーム主義者は弾圧されていた

2013-01-20 11:55:59
masanorinaito @masanorinaito

仏、オランド大統領、アルジェリア軍の強硬策を評価。http://t.co/pNU3ylhZブッシュ政権当時のアメリカとそっくり。

2013-01-20 11:59:07
masanorinaito @masanorinaito

アルジェリアの事件で利益を得たのは明らかにフランスだが、アメリカやイギリスもフランスに同調することで、フランスが名実ともにイスラムフォビアの盟主となるだろう。元々、そうありたかったのだが、アメリカの真似は嫌がる国ゆえ表舞台に出なかった。

2013-01-20 12:59:59
masanorinaito @masanorinaito

アメリカに厭戦気分が強くなった今、年来の反イスラム感情をマリにぶつけ、ひどく威丈高で暴力的な振る舞いでイスラムフォビアの盟主に。アフガン侵攻では仏の保守政権がお付き合いで参加、イラク戦争では旧宗主国仲間の英国に任せて日和見。

2013-01-20 13:06:25
masanorinaito @masanorinaito

北アフリカや西アフリカの旧仏領には、思う存分干渉しつつ、自由と民主主義を創始した偉大な国家としてのフランス共和国を誇示するのだろう。この矛盾を矛盾など存在しないかのように堂々と否定してみせるところが言説の大国フランスのフランスたる所以

2013-01-20 13:12:09
masanorinaito @masanorinaito

日本人の方の情報が出ない。何が起きたのか、深刻な懸念

2013-01-20 19:30:54
masanorinaito @masanorinaito

日本は、まだこういう事態に政府専用機で救援をしていなかったのか。自衛隊機を飛ばせるかどうかより、政府専用機で飛ばすのが先ではないのか。もっとも政府専用機は航空自衛隊が運用を担当しているのだろうが

2013-01-21 01:21:06
masanorinaito @masanorinaito

時事ドットコム:アルジェリア人を「特別扱い」=「異教徒狙い」鮮明に-人質事件 http://t.co/GQkcfFo5こういう報道は、事実に基づくのかどうかの確証がない限り、安易にするものではない

2013-01-21 01:27:18
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