「シー・アスクス・ワット・ザ・ブレイジン」#2 ――『ニンジャスレイヤー』二次創作小説
- USAGI_koTENGU
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●予告● 「タマガワ車庫」駅に現れたニンジャ…元ザイバツニンジャ・バグラーラビットは、女を背負い、ススキノ湿地帯へと足を踏み入れる…。それを追って、同じくタマガワ車庫駅に現れたのは、アマクダリセクトのニンジャ・ソウスケイルと……彼が呼んだ増援、レーティアーリウス!
2013-01-21 19:14:21●予告● 恐るべきこのニンジャの実力とは?そして……バグラーラビットの逃走劇のゆく果ては……雲がきれ、月が不気味に照らすススキノ湿地帯に繰り広げられるニンジャのイクサに……新たなエントリー者あり!? 「シー・アスクス・ワット・ザ・ブレイジン」#2。今晩2000頃より!乞うご期待。
2013-01-21 19:17:26(前回までのあらすじ) (ネオサイタマの歓楽街ムコウミズ・ストリートを歩くパンクス女・ブレイズに、二人のニンジャが襲いかかる。恐るべき毒スリケンの使い手、ソウスケイル。そして驚異的な回復力を持つバグラーラビット。後者はブレイズ……イグナイトのキョート時代の顔馴染みでもあった!)
2013-01-21 20:01:17(イクサはソウスケイルのカラテマキビシによって決着したかに見えた。しかし、土壇場でブレイズに懸想するバグラーラビットが反逆、意識を失ったブレイズを抱え逃走する。ニンジャスレイヤーを誘い出すおとりを失ったソウスケイルが追いすがる……果たして!)
2013-01-21 20:03:15サイバーパンクニンジャ活劇『ニンジャスレイヤー』二次創作集『ニンジャ・ラン・ウィズ・ネオサイタマ・ランドスケープ』より。
2013-01-21 20:05:36乾いた夜に、静かに白い雪が降る。ひっそりと奥ゆかしく吹き渡る風に白い輝きが舞う。時折、中庭の、芸術的なワザマエで剪定されたバイオマツの枝がしなり、積もった雪を振り落とす。しかし、それ以外には、空調の低い唸りが響くだけ。 1
2013-01-21 20:07:10LEDボンボリが奥ゆかしく照らす畳四十枚のドージョー。その真中に、バグラーラビットは仰向けに横たわっていた。メンポとズキンの奥の瞳は天井を眺め、耳は風の音、雪の音、空調の音を聞いている。ただ……それだけだ。 2
2013-01-21 20:11:04((僕は……弱っちいなあ……))バグラーラビットは胸の中で自嘲した。先程まで、彼はこのドージョーでカラテ特訓をしていた。木人相手の近接カラテは木人を押し倒し、射撃訓練ターゲットめいたスリケン的相手の射撃訓練はことごとく急所を外す……と、いずれも不首尾。 3
2013-01-21 20:14:42((今日も怒られちゃったよ……))バグラーラビットはメンターの叱責を思い出し、情けなく鼻を鳴らした。彼が師事するニンジャ・ワイルドハントは、他のマスター位階ニンジャに比べ格段に優しい。その彼をして、常にない叱責の言葉を吐かせるほど、バグラーラビットのカラテはオソマツであった。 4
2013-01-21 20:17:13「なんらかの戦闘サイバネを施す必要があるかもしれぬな」……立ち去り際の師の言葉をバグラーラビットは思い出す。ここ……古き都市・キョートに居を構えるニンジャ組織・ザイバツ・シャドーギルドのニンジャたちは、都市の精神性同様、平安時代からのトラディショナルなカラテを重んじる。 5
2013-01-21 20:20:25それは、同時に最先端技術であるサイバネ手術を用いた強化を過小評価することでもあった。ワイルドハントは、その点においては合理主義者ではあったが、ソウル憑依以前からキョート住民、しかもアッパー層の出身者であったバグラーラビットには、この言葉はある種の死刑宣告めいていた。 6
2013-01-21 20:23:24((手術受けないとダメかな……でも痛いのは嫌だな……))バグラーラビットはどんな重症からも回復する。最初の師・サラマンダーの打擲も、次の師・ニーズヘグとその弟子・バジリスクの面白半分の残忍な仕打ちからも回復した……しかしそれだけだ。耐久力も精神力も常人程度……否、それ以下だ。 7
2013-01-21 20:27:22((僕……なんでニンジャなんかになっちゃったんだろ……))彼は己の過去を思い返す。キョートはガイオン・シティに老舗のホテルを経営していた彼の両親は、先祖代々続くホテルの業績不振を苦に自殺した。取り残された彼は負債を背負い、家に 偶然を装い差し向けられた狂言強盗に暴行された。8
2013-01-21 20:32:02その時彼は一度死んだ……しかし、運命の三女神のいたずらか、彼はニンジャとして甦った。ソウル由来のムテキ・リジェネレイト・ジツによって再生した彼が最初になしたこと……それは驚異的なニンジャ敏捷力による逃走であった。彼はあろうことか、常人に過ぎぬ狂言強盗集団から逃走したのだ。 9
2013-01-21 20:35:05((あのまま死んでしまえばよかったんだ……))彼には、ガイオン市民の、奥ゆかしさの裏に鍛えられたしたたかさも、アンダーガイオン市民の、抑圧の果てに弛められた爆発力もない。ただぬくぬくと育てられたカチグミ子弟の甘ったれた思考のまま、大人に、ニンジャになってしまっていた。 10
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