@gontaaya さんの「 #平清盛 全話Re-viewマラソン」まとめ

2012年大河ドラマ「平清盛」を第1回から振り返りレビューする。 <もう一度(Re)見る(View)レビュー(批評)> gontaayaさんの呟きをまとめました(随時更新いたします)。
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ごんたあや @gontaaya

破れ門の上から捉えた場面。平太の姿が門に消えると、門の上の2人の男の動きに視線が誘導される。1人目の男が指をさすと門から平太が現れ、2人目の男が欄干に着いて指さした先に、画面の奥へと走る平太が見えるという絵巻展開。出たとこ勝負の映像と思わせて綿密な計算がある。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 22:12:28
ごんたあや @gontaaya

再三指摘されているように、見る側の共感を入り込ませない最大の問題となった清盛の反抗期時代が第二回以降しばらく続くわけだが、唇をとがらせて上目遣いに睨む表情が実に幼い。その幼さに驚かされるとともに、幼いと感じる目と心を養うまでに50回が必要だったのかと思う。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 22:56:57
ごんたあや @gontaaya

白河院の落胤説は語りものとして既に知られているのでその点に問題はないと思う。仮に問題があるとすれば、白河院の造型であろう。第一話の悲劇が解決されないタブーとして残り、なぜ殺され、生かされたのか分からない不条理さが清盛の哀しみに感情移入することを妨げている。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 22:57:25
ごんたあや @gontaaya

忠盛が語らぬひとだということも重要と思う。彼の忠勤を祇園女御は誉め、白河院はあの事件によって「道理をわきまえた」のだと解釈する。しかし実際はその逆で、忠盛は武士の世をつくることを心に決めており、清盛はその実現の為の最終兵器である。しかしそのことは誰も知らない。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 22:58:26
ごんたあや @gontaaya

忠盛を除く周りの人々に持て余され、自分自身を持て余している清盛は、誰でもよい存在であり、忠盛の執着がなければ世に「平清盛」が現れることはなかった。忠正おじさんの言う事の方がもっともで、もしかしたら、忠盛は、あの時以来、もののけ化しているといえるのかもしれない。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 22:59:20
ごんたあや @gontaaya

古語「もののけ」は、人に取り憑いて危害を加える怨霊をいう。疫病など不幸や災いをもたらすものをもののけと呼んだ。このドラマの「もののけ」とは、自分の行動で周りの人間の心身に危害をもたらし、そのことに何ら躊躇しない者のことで、脚本家のいう「悪」と同義だと思われる。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 23:38:04
ごんたあや @gontaaya

「もののけ」という言葉をこのドラマで最初に発し、平太に教えたのは高階通憲だった。白河院を対象化する言葉にここで初めて出会ったのだ。平太こと清盛も、観る側も。通憲の言葉によって「もののけ」=悪しき者という認識が出来上がる。しかし実はそれは言葉のトリックである。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 23:38:49
ごんたあや @gontaaya

「もののけ」は絶対的な定義ではなく、人の恣意的な判断によるものである。自分には理解できぬ者、何かをなそうとするのに邪魔な者、不快な者を排除する呪の言葉である。よって誰もが誰かのもののけになりうる。正しさの揺らぎを「もののけ」という概念で表象しているのだと思う。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 23:41:50
ごんたあや @gontaaya

あらゆる不条理の中に生まれ育ったのが平太という存在であり、筋の通ったような人物達も実は矛盾をはらんでいる。たやすく共感が入り込む余地は用意されていない。若き清盛の造型に問題があったのではなく、重層構造の不条理劇を迎える準備がこちらに出来ていなかったのだと思う。 #平清盛 (2話)

2013-01-31 23:47:17
ごんたあや @gontaaya

月にたなびく煙の見立て。通憲にとって月=泰平の世/煙=白河院。清盛にとって月=満ち足りて生きられる場所又は己/足掻く煙=今の己。名月の妨げとして煙を見る信西と、高みに届こうとする煙の様子に目を向ける清盛、同じ物を見ても2人の見方の違いは終生変わらない気がする。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 16:06:34
ごんたあや @gontaaya

鱸丸が大路を歩く姿にはっとさせられる。平盛国としての人生の始まりと最後が「飢え」で繋がっていた。白河院の政に強いられた飢えは、清盛と共に生きる人生の始まりとなった。鎌倉に送られた後に自ら選んだ餓死は、盛国にとっては、ゼロに還るという意味があったのかもしれない。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 16:08:12
ごんたあや @gontaaya

「罪なき民を泣かせて武士など名乗れぬわ」は随分と青臭い台詞だと当初聴いていたが、第一話の忠盛の「罪なき赤子を死なせて何が武士の誉れぞ」と対応していた。武士発言に喜ぶ忠盛にはぬぐい去ることができない血への不安がある。親子とはすなわち血縁なのか、何度も問いかける。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 16:17:25
ごんたあや @gontaaya

白河院に会いに行く清盛。通憲のもののけの喩えを借用しつつ、自らの月と煙の見立てを院にもあてはめて自己同一を図っている。そこには院を父と思うからこその甘えがある。その結果、清盛は再び「父」を失うことになる。…この辺り、打ち明ける相手がいないので説明台詞もない。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 16:36:14
ごんたあや @gontaaya

殺生禁断令には白河院の極楽往生の不安があり、根底に舞子への罪の意識がある事を祇園女御がほのめかす。図星を突かれると力づくで拒絶するのはこのドラマ特有の男性性表現だが、清盛に「わしが殺した」と言い切る院の器は大きい。この対話で、院自身は救われたのかもしれない。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 16:39:39
ごんたあや @gontaaya

「なぜ生きておるのですか」という問いに対し白河院が返した答えは、子としての認知である以上に、あらゆる否定的要素を抱えてなお「生かされている」幸運を知れということなんだろうと思う。もののけと呼ぶならもののけの子として生きて行け、というねじれたエールにもきこえる。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 17:01:39
ごんたあや @gontaaya

エア斬りで白河院に挑む清盛。父親殺しをしてみせる清盛を、二人の父が静かに見つめ、「武士の子らしうての」という院の言葉は皮肉とも愛情ともつかないけれど受けとめているのは確かで、真の元服のような清々しさが心に残る場面。清盛は「生きる」というスタートラインに立てた。 #平清盛 (2話)

2013-02-10 17:02:49
ごんたあや @gontaaya

【第二話まとめ】白河院が好きになりました。

2013-02-10 17:17:07
ごんたあや @gontaaya

自分が何者か分からない清盛は、自分を語ることが出来ず、自分を語ってくれる言葉を乞い求めている。けれど宗子は、口にする言葉と本当に言いたい言葉がズレている。清盛はそれに苛立っている。核心を隠す父にも、ただ詫びる盛康にも。あの邸で裏腹でない言葉は忠正の誹りだけだ。 #平清盛3話

2013-02-15 21:33:08
ごんたあや @gontaaya

助けた民に礼を言われ喜ぶ清盛。しかしそれは真にふさわしい言葉ではなかった。「平氏に必要な男」という言葉の意味が分からず泣く清盛に、その弱さを喝破した義朝の言葉。それは、思いと言葉が初めて一致した瞬間、やっと自分を的確に描写する言葉が得られた瞬間だったのだろう。 #平清盛 (3話)

2013-02-15 21:34:01
ごんたあや @gontaaya

心を作り支えるのは言葉なのだという考えがこの脚本にある。義朝が清盛の「まこと」を正確に捉えなければ、清盛は立ち上がることが出来なかった。それほどまで彼の心は言葉に飢えていた。だから義朝の言葉を清盛は忘れることはない。そしてのちに頼朝に同じ言葉を言って聞かせる。 #平清盛 (3話)

2013-02-15 21:34:18
ごんたあや @gontaaya

生まれてきて良かったと思える言葉、生後すぐ喪失したその言葉の飢えを満たすために清盛はこれから生きていくといえるのかもしれない。それゆえに西行の最後の「言葉」は、真に満ち足りた思いを清盛に抱かせたことだろう。だからこそ大切なひとたちに言葉を残したいと願ったのかもしれない。 #平清盛

2013-02-15 21:34:42
ごんたあや @gontaaya

第三回「源平の御曹司」。考えるほどに、この回は、このドラマの本質的な問題がよく表れている回だと思う。

2013-02-19 23:05:38
ごんたあや @gontaaya

渡辺Dの演出担当初回。演出が変わると全く別の作品になったような気がする。上から捉える俯瞰、遠景として捉えるロングショットの多用。人物は斜めから、時に会話相手の肩越しに撮る。さらに画面の早い切り替えは人物への感情移入を断ち切る。人物に寄り添わない、引いた演出。 #平清盛 (3話)

2013-02-19 23:08:03
ごんたあや @gontaaya

清盛に対してこの演出は容赦がない。清盛の小ささを思い知らせるかのように、彼を広い画面の中に放り出す。競べ馬の場面でさえもいったんズームするけれどすぐ離れて、突き放して見つめる。このカメラは清盛の「熱さ」をレンズカットする。清盛を見つめる目線が冷えていくのだ。 #平清盛 (3話)

2013-02-19 23:19:07
ごんたあや @gontaaya

人物に寄り添わない、引いたカメラは、「叔父子とでもお思いになればいかがです」と言い放つ璋子、鋼のような心と体を鍛えた義朝を捉えるには適している気がする。とりわけ、脈絡もなく清盛の前に登場するわりに、義朝はとても魅力的。揺るぎのない真っ直ぐな鋭さが美しく映る。 #平清盛 (3話)

2013-02-19 23:24:37