同志社大学大学院の内藤正典教授による「アルジェリア人質事件」と「中東情勢」について -2013-1-25-

内藤正典教授による「アルジェリア人質事件」と「中東情勢」についての1月25日のツイート
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masanorinaito @masanorinaito

アルジェリアの市民が事件に関心が薄いことを批判するかのような報道が多い。90年代にどれだけの人が犠牲になったか考えてほしい。強権的な政権が今も国民を監視し続けている。それに、同じアラビア語の世界、シリアやパレスチナやリビアやイラクで、どれだけの命が奪われているか。

2013-01-25 00:05:20
masanorinaito @masanorinaito

日本人が犠牲になったときだけ、関心を持って欲しくても、それは難しい。

2013-01-25 00:07:10
masanorinaito @masanorinaito

今回は、そして現在に至るまでのところ、犠牲者をだした国々のなかで、(マレーシアとフィリピンは情報をもたないが)仏、英、米、ノルウェーと比べると、日本政府の対応が最も真っ当なものである。しかしそれは、ご遺体の確認が終わってみなが帰国されるまでのことではないかと、思う。

2013-01-25 03:05:18
masanorinaito @masanorinaito

日を追うごとに、欧米諸国の反応、政府見解は、危険な方向に傾斜している。昨日、米クリントン国務長官が、アルジェリアの襲撃事件の犯行グループに、リビアのベンガジ米総領事館を襲撃し米大使を殺害した犯人がいると指摘した。そういうことは、事実なのか、事実でないのかは一般市民の知りえないこと

2013-01-25 03:07:11
masanorinaito @masanorinaito

権力中枢にある人間が「こうなんです」と言ったからといって、それを鵜呑みにする理由はなく、市民は市民で、その話が合理的なものであるかを冷静に判断すればよい。しかし、圧倒的な力で怒涛のように政府見解を流すマスメディアによって、いつしかそれは、真実っぽくなっていってしまう。

2013-01-25 03:08:32
masanorinaito @masanorinaito

アフガニスタン侵攻のときも、イラク戦争のときも、そうだったことを思い起こしてほしい。

2013-01-25 03:08:57
masanorinaito @masanorinaito

今回の主役は米国ではなく、フランスであるが。英国や米国は、アルジェリア政府の強行突入を支持し、フランスのマリ介入を支持するという。リビアのベンガジの米総領事館を襲撃し、たまたまそこにいたリビア駐在の米大使を殺害した。その犯人が、アルジェリアでBPを襲撃した。

2013-01-25 03:10:49
masanorinaito @masanorinaito

しかし、それで、どうしてフランスのマリへの軍事介入を正当化する根拠となるのか?フランス政府は、「マリ北部では極悪で非道のイスラム過激派が勢力を伸ばしている。この『悪』とフランスは戦っている」と述べている。そのことと、ベンガジの犯人がアルジェリア襲撃に関与したこととの関係は?

2013-01-25 03:12:27
masanorinaito @masanorinaito

フランス政府は、マリで「テロリスト」と戦っているというが、マリのイスラム勢力が、どこでテロを起こしたのか?フランスで、いったい、いつテロが起きたのか?潜在的にテロを起こしうる人間と戦うことを「テロとの戦い」と言うなら、フランスはすでに正気を失ったと言わざるを得ない。

2013-01-25 03:14:16
masanorinaito @masanorinaito

この後で、万一、フランスでテロが起きると、フランス政府も、英国も、米国も、鬼の首でも取ったように自分たちの言い分が正しかったと主張するのだろう。

2013-01-25 03:14:56
masanorinaito @masanorinaito

だがそれが、マリへの理不尽な軍事介入のせいで起きたとは、決して言わないのである。不都合な事実を伏せて、ここまで戦争正当化をこじつけるのは、イラク戦争当時のアメリカと同じである。

2013-01-25 03:15:53
masanorinaito @masanorinaito

私の周辺にいるムスリムたちは、異口同音に、日本人を殺害したのはイスラム主義者ではない、と言う。私は、この点について、彼らの言うことが正しいと即断しない。

2013-01-25 03:18:16
masanorinaito @masanorinaito

しかし、イスラム主義者と、ろくでもない野盗が混成グループで犯行に及んだのではないかと考えている。それと同時に、犠牲者のなかには、明らかにアルジェリア軍側の攻撃で命を落とされた人たちがいる。

2013-01-25 03:20:00
masanorinaito @masanorinaito

英、米、ノルウェーなどがアルジェリア政府と軍の対応を支持する発言に転じたのは、事件の終結によって犠牲者を出したことについて、政府の責任を追及されないようにするための弁解にすぎない。

2013-01-25 03:21:13
masanorinaito @masanorinaito

悪いのは武装集団であり、彼らをテロリストと呼ぶことによって、アルジェリア軍によるすべての作戦行動は正当化される。人質をとられた国の政府にも一切の責任はない、ということを主張するには、人質が誰に殺害されたかを追及してはいけない、ということである。

2013-01-25 03:22:51
masanorinaito @masanorinaito

安倍総理が、アルジェリア政府に謝意ではなく、不満を表明したという報道が事実であるならば、それは正しい対応である。

2013-01-25 03:24:11
masanorinaito @masanorinaito

だが、私はすべてのご遺体と生存者が帰還した後で、日本政府もテロとの戦いを称揚する方向に転じるのではないかと推測している。邪推であれば、良いのだが

2013-01-25 03:25:17
masanorinaito @masanorinaito

クリントン国務長官の発言のなかで、もっとも危険なのは、「アラブの春」の結果、イスラム勢力が台頭したことが、今回の事件、イスラム過激派の台頭を招いた、という主張である。

2013-01-25 03:27:28
masanorinaito @masanorinaito

これまで、中東民主化の過程を米政府は、表向きは歓迎してきた。しかし、エジプトとチュニジアでの選挙の結果、とくにエジプトでムスリム同胞団が勝利し、同胞団のリーダーの一人だったムルシが大統領に就任したあたりから、米国は、イスラム勢力伸長をどのタイミングで非難するかをうかがっていた

2013-01-25 03:28:56
masanorinaito @masanorinaito

今回のアルジェリアでの事件で、米国政府は、事件を糾弾するのみならず、「アラブの春」の帰結をも批判する姿勢に転じたのであれば、今後の中東情勢は一挙に危険な方向に傾斜していくことになるだろう。

2013-01-25 03:29:54
masanorinaito @masanorinaito

具体的には、イスラエルによるイラン攻撃にゴー・サインを与える方向に傾斜し、フランスが北アフリカから西アフリカにかけての地域で覇者としてふるまうことを容認するということである。

2013-01-25 03:31:07
masanorinaito @masanorinaito

その一方で、米国はアフガニスタンから完全撤退する方向を模索することだろう。なまじ2014年の撤退後に、アフガン軍教育のために残留するようなことをすれば、タリバンによる攻撃の餌食になるだけだからである。

2013-01-25 03:32:18
masanorinaito @masanorinaito

しかし、もし、そういう方向にこれから進むなら、世界はきわめて不安定になってしまう。イスラム主義者、なかでもサラフィは、活動の場をにわかに増やすことになるからである。

2013-01-25 03:34:30
masanorinaito @masanorinaito

サラフィ(原点回帰を望むムスリム)が悪いというのではない。急ごしらえのサラフィは、きちんとイスラームの法体系を学んでいないから、かつて、俄かタリバンが、ひどく残虐な行為を繰り返したのと同じ過ちを繰り返すリスクが高いからである。

2013-01-25 03:35:51
masanorinaito @masanorinaito

世界の現場で仕事に打ち込んでいる人たちは、安全か危険かを見極める術を、経験を通して、あるいは仕事に就いてから学んでいく。これから、若い人たちの職場は、否応なく世界に広がっていくのだから、彼らのための安全管理教育を大学でもしなければならない。

2013-01-25 03:41:11