障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告についてのクラゲ的解説

文部科学省の障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/24/12/1329295.htm)が出たので、自分の勉強のために読み込んで簡単に解説してみました。詳しくは原文をお読みくださいませ。
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くらげ(暗黒面) @kurage313

広がるか、障害者の大学入学-斎藤剛史- #BLOGOS http://t.co/REr3kePg ちと自分の勉強を兼ねてこの記事の解説作ります。なにか質問アレばどうぞ。

2013-01-29 18:00:12
くらげ(暗黒面) @kurage313

「しかし大学など高等教育段階では、まだ障害への対応が十分でないのが現状です。」 十分ではないというか、障害者が大学進学するという意識が障害者自身にも障害児教育者にも大学当局にも文部科学省にも殆ど無いというのがちょっと前までの現状でした。

2013-01-29 18:02:31
くらげ(暗黒面) @kurage313

文部科学省の「障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告」の委員も務める全国障害学生支援センター(http://t.co/8zRkePZa)の殿岡さんが活動を始めたのが15年前くらいだったかなぁ。ここがはじめて大学に障害者進学可否の問い合わせとか始めたんですよね。

2013-01-29 18:07:14
くらげ(暗黒面) @kurage313

で、まぁ、このたび文部科学省が障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告(第一次まとめ)(http://t.co/mE3ErBxm)を作成しまして、障害者の大学進学について文部科学省が報告書を提出するのははじめてなわけですよ。

2013-01-29 18:09:59
くらげ(暗黒面) @kurage313

公的機関としては、日本学生支援機構が様々な取り組みをおこなっており、これをベースに「障がいのある学生の修学支援に関する検討会」が開催される流れになっています。(しかし、座長は竹田先生なんか、あの先生若いのに)基本資料も日本学生支援機構が準備したようですね、資料を読むと。

2013-01-29 18:11:49
くらげ(暗黒面) @kurage313

でまぁ、日本学生支援機構の調べですと、「障害のある学生の在籍者数は、平成23年は10,236人となっており、5年前の平成18年の4,937人と比較するとほぼ倍増している。」という事になってますが、これには注意が必要で、「大学当局が確認をとれた数字」となっているのです。

2013-01-29 18:13:31
くらげ(暗黒面) @kurage313

なんで、「発達障害(診断書有)1,453人(同1,326人増)、その他1,838人(同1,459人増)となっており、特に、発達障害及びその他の障害(※5)の増加が著しい。」というような数字が出るわけなんですよ。それだけ発達障害に認知が猛スピードで進んでいることが伺えるかと。

2013-01-29 18:15:20
くらげ(暗黒面) @kurage313

まぁ、細々とした数字は報告書を見てもらうとして、俺が「そこからかよ!」と思ったのは障害のある学生の定義からですね。「「障害のある学生」の範囲は、「障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にある学生」を対象とした。」とあります。

2013-01-29 18:19:06
くらげ(暗黒面) @kurage313

日本学生支援機構の定義では「障害者手帳、または診断書がある学生」となっていたので、それと比較すると大きく進歩したのかな、と思いますが、大学当局がこの指針を持ってどう把握手段を獲得するかが大きな問題になっていくと思います。

2013-01-29 18:21:04
くらげ(暗黒面) @kurage313

しかし、この指針においてちょっと不安を覚えるのは、「日常生活又は社会生活に『相当』な制限を受ける状態」というところで、ここにおける『相当』の範囲が大学によって違うという可能性もあり、ここはこの報告書の運用について注意が必要かなーと思いました。

2013-01-29 18:23:23
くらげ(暗黒面) @kurage313

「検討対象とする学生の活動の範囲」にも言及があり、これは日本学生支援機構の調査でもあまり明らかになっていなかった部分でありまして、これが「授業、課外授業、学校行事への参加等、教育に関する全ての事項」となった部分もかなりの進歩であると思います。

2013-01-29 18:25:35
くらげ(暗黒面) @kurage313

「一方、教育とは直接に関与しない学生の活動や生活面への配慮については、一般的な合理的配慮として本検討会における検討の対象外とした。」とあるのですが、主にサークル活動や大学への通学・下宿の配慮については合理的配慮の範疇にならないということで、ここはちょっと残念ですね

2013-01-29 18:28:01
くらげ(暗黒面) @kurage313

まぁ、合理的配慮(※これについては後ほど言及します)の範疇において、とのことなので、支援する必要はないと言うことではないのです。例えば筑波大学ではバリアフリーの寮があったり、ある大学では通学にアルバイト学生を派遣したり、という事もおこなっておりますので、大学の裁量になる部分かと。

2013-01-29 18:30:46
くらげ(暗黒面) @kurage313

「(通学の支援は)現状においては、制度の谷間として議論されているところでもあり、学校やその設置者がなすべき合理的配慮であるのか、行政による福祉サービスであるのかなど、政府において引き続き真剣に検討を行う必要がある。」とあるので、文部科学省だけでどうにかなる問題ではないと

2013-01-29 18:34:51
くらげ(暗黒面) @kurage313

障がいのある学生の修学支援に関する検討会報告の障害者基本法における位置づけはちょっとパス。ここは興味のある人はぜひ読んでくださいませ。

2013-01-29 18:42:50
くらげ(暗黒面) @kurage313

この検討会における合理的配慮「障害のある者が、他の者と平等に「教育を受ける権利」を享有・行使することを確保するために、大学等が必要かつ適当な変更・調整を行うことであり、障害のある学生に対し、その状況に応じて、大学等において教育を受ける場合に個別に必要とされるもの」であり、(続く)

2013-01-29 18:44:04
くらげ(暗黒面) @kurage313

(続)かつ「大学等に対して、体制面、財政面において、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」ということになります。これもまたわかりにくい文面ですが、基本的なことを行ってしまえば「障害者の教育を受ける権利は保証しなきゃいけないけど、予算とかで無理なものは無理」ってことですね

2013-01-29 18:46:02
くらげ(暗黒面) @kurage313

ここにおいても運用については大学の裁量が大変大きくなる部分で、大学の予算やリソースにおいてどの大学においても一定の質を保証するのは難しい、ということで。まぁ、現状や他の法案、海外の状態を考えても特に変ではないんですけどね、当事者としてはアレな考えも持ちますけど。

2013-01-29 18:47:59
くらげ(暗黒面) @kurage313

なお、合理的配慮とは障害を持つアメリカ人法(ADA法)で有名になった概念で、「障害を持っている人に支援することでスタートの機会を均一化する」という配慮を差すことが多いです。実際の運用を見ても、あまりに巨額の支援が必要な場合は拒否することも可能ですね。

2013-01-29 18:54:15
くらげ(暗黒面) @kurage313

たとえば、雇用においてある小規模小売店が「エレベーターを設置する予算がないという理由で雇用を断るのは差別だ」という裁判がありましたが、「予算の問題」でADA法に反する差別ではない、という判例がアメリカでありました。ですので、予算が確保できないから支援が難しいというのはありえます。

2013-01-29 18:55:47
くらげ(暗黒面) @kurage313

大学等における合理的配慮においては、「ケースバイケースが多いので以下の点を中心に考えていく」ということで、(1)機会の確保(2)情報公開(3)決定過程(4)教育方法等(5)支援体制(6)施設・設備のカテゴリに分かれてますね。1〜5がいわゆるソフトの支援、6がハードの支援になります

2013-01-29 19:00:38
くらげ(暗黒面) @kurage313

(1)機会の確保については「大学教育を受けたいと思う人の入り口を閉ざすな」ってのが基本的な考え方で、そのために入試支援を行ったり、障害を理由に受験を断ったりするな、ってことですね。「どの程度の支援が出来るか」の個々の支援については個々では取り上げられてません。

2013-01-29 19:04:34
くらげ(暗黒面) @kurage313

(2)情報公開については「障害のある受験生が大学進学にあたってしっかり大学を選べるように、ホームページで障害者受け入れ状態やバリアフリー情報の提供をしっかり行いましょう」ってことですね。

2013-01-29 19:06:21
くらげ(暗黒面) @kurage313

(3)決定過程については、「合理的配慮を行うにあたって、その決定プロセスに障害学生当事者の要望がまず先にあって、それを判断していく。」「その際、その決定プロセスの流れについて障害学生当事者にも理解・納得できるよう努力しましょう」ってことだと思います。

2013-01-29 19:08:59
くらげ(暗黒面) @kurage313

(4)教育方法等については、「ちゃんと授業についていけるように教材準備したり指導法を考えたりサポートつけるのは大学の責任」ってのが大きな柱になっていて、「教育方法についてサポートするのは大学の責任」と位置づけられたのはたいへん大きな決定ですね。

2013-01-29 19:11:37