ヘレニズム時代における地中海世界の戦象について~ケントゥリオPのツイートまとめ
何故ならば象の上の象使いは非常に目立つので、投槍や弓矢などの投射兵器の的になりやすかったのです。特に小さめのアフリカ森林象は狙い易く、プトレマイオス朝エジプトでは、集中攻撃を受けて、死亡。戦象が暴走してしまったという記録があります。
2013-01-30 00:10:56さて、ディアドコイ国家を中心に象兵部隊が整備されていった地中海世界ですが、どのように変化していったか。ディアドコイ戦争は象兵という点に注視してみれば、象兵自体とそれらを用いた戦術の試行錯誤と発達の期間であったと言えます。
2013-01-30 00:17:42当初のディアドコイ戦争において、ディアドコイ国家(ヘレニズム諸国)の君主、指揮官らは象兵部隊の扱いに苦労しました。インドからそのノウハウは伝えられても実際に運用となると中々上手くいくものではありません。そもそも、"インドだからこそ通用する"というものも多かったようです。
2013-01-30 00:25:36ディアドコイ戦争初期の象部隊の装備は単純で、素の象に象使いを乗せ、さらに一人だけ兵士を跨らせるものでした。これがまずは簡単な装飾と鈴や鐘が付けられるようになります。象はその大きさから兵士を威圧できたので、「象が来た!」と分かるよう目立たせることで効果を上げる狙いがありました。
2013-01-30 00:49:25遠目にもキラキラと光る装飾と象が動くたびに派手に鳴り、その巨体が近づいてくるに従い、大きくなってくる鐘と鈴の音。これは兵士達に多大な威圧感とストレスを与えたのです。
2013-01-30 00:51:09ディアドコイ戦争が進むと、象の牙には金属片や刃が付けられ、頭部には冑を被せられ、時には全身を覆う鎧を着せられるようにもなりました。象使いの周囲や兵士にも盾が置かれるようになり、最後にして特に特徴的な変化は背中の"籠"を乗せるようになったことです。これはトラキオンと呼ばれました。
2013-01-30 00:58:51このトラキオンなる籠はそれまで象使いと兵士一人ずつしか乗せられなかったのを、象使いとは別に2~4人まで兵士を乗せられるようにした画期的なモノでした。これらの兵士達は弓や投槍、長槍を用いて、敵兵を攻撃しました。インドではすでに原型が見られていましたが地中海世界ではこれが初であります
2013-01-30 01:01:25しかし、このトラキオンを使った象兵はプトレマイオス朝エジプトやセレウコス朝シリア、グレコ・バクトリア、アナトリアやメソポタミアの諸国等では見られましたが、カルタゴではあまり見られませんでした。カルタゴの使用したアフリカ森林象は特に小さく、籠を乗せられるほどの余裕が無かった為ですね
2013-01-30 01:06:40以後、地中海世界(インドも含みますが)における象兵の装備はこの、トラキオンを初めとした"籠"を乗せ、象自体に防具を着せた姿を最終形態とし、あまり変化は見られなくなります。火砲が登場すると銃兵を乗せたり、砲(!)を乗せたりするようになったりしますが……
2013-01-30 01:08:42ディアドコイ戦争とそれ以降の象兵の配置や運用を見ると、これも様々な試行錯誤がされていたことがわかります。
2013-01-30 01:10:36@centurio_P 興味深く読ませていただいております。ローマ以降は地中海から象兵は消えたもんだと思い込んでいたのですが、銃や砲の時代まで象兵は活躍していたと聞いて胸が熱くなります。
2013-01-30 01:20:28@horinoritw あぁ、これはどうも。確かにローマ以降、地中海世界から象兵の姿が見えなくなっていたのは事実であります。しかしながら、中東……メソポタミアやアラビア、エジプト、アジア等ではしばしば登場しておりますね
2013-01-30 01:22:30地中海世界に置いて象兵(戦象)の戦術はディアドコイ戦争にて、それはもう様々な試行錯誤が行われました。ディアドコイ達はこの巨大で威圧的な新兵科に夢中になり、どうしても活かそうとしたのですねぇ。
2013-01-31 23:03:16ディアドコイ戦争中における、象兵部隊のポジションを戦いごとに見てみるとそれはもう、いろんなところに配置され、運用を試されております。ファランクス・ラインの前だったり、後ろだったり、騎兵と組ませてみたり、単独で予備として後方に置いたり、落ちつきません。
2013-01-31 23:11:39確かにディアドコイ戦争中やその後のいくつかの戦いに置いても象兵の突撃はかわされたり、対策を立てられ、無効化したりされておりますが、それだけで象兵は効果を上げなかった、とするのは些か早計であります。といいますか象兵だけの戦果と突撃戦術だけに目を当てているというべきかもしれません。
2013-02-01 01:04:15問題なのはその戦いや場面でどのように運用され、どのような役目を果たし、効果を上げたかであります。象兵の効果、というのはその衝力だけではないのです。
2013-02-01 01:07:07象はその巨体と鳴き声、威圧感で慣れぬ兵士を怯えさせ、その巨体で繰り出す攻撃も脅威だったのは周知の事実でありますが、もう一方の効果が見落とされがちです。それはその巨体、鳴き声、体臭によって馬やラクダを怯えさせ、近寄りがたくさせる点。この特性がしばしば有効利用され、効果を上げました。
2013-02-01 01:13:04いかん、だめだ。投稿出来てるかわかりませんがツイッターが反映されないので象兵ツイートはまた後日に……ええい、肝心なところで!w
2013-02-01 01:33:08先日の象兵話の続きですが、象兵の特徴はその突撃や巨体の攻撃だけでなく、象兵の巨体、鳴き声、体臭が騎兵やらくだを寄せ付けない特性もあること。まで話したんでしたか。
2013-02-01 23:17:38これは、一見地味かもしれませんが、無視できない効果でした。象は「騎兵から歩兵を守る存在、騎兵に対する防護壁」となり得たからです。
2013-02-01 23:23:46