キー局が製作した放送用テープをローカル局が配信する場合の著作権に関する話

キー局が製作した放送用テープを、ローカル局が貸与を受けて、放送する場合に、著作隣接権の取扱いがどうなるかという点について、小倉秀夫弁護士がベルヌ条約をもって問題になると主張しています。 参考のため、関連しそうな法令等を引用しています。なお、強調はまとめ作成者が付しています。 ベルヌ条約は著作隣接権を対象としたものではないはずなのですが、小倉弁護士は何を問題にしようとしているのでしょうか?
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孝好 @soul_warden

じゃあ放送後の局間のテープ貸与が公衆にあたるかどうかで、裁判の判断仰ぐしかないでしょ。公衆送信とは事情がかなり異なりますし価値ありますよ。先生も自説信じてレコ協と脚本連盟煽ってみたらいかがです?RT @Hideo_Ogura:

2013-02-06 09:11:57
kenbor @kenbor

@Hideo_Ogura 法律の専門家もそれで少なくとも30年以上やってきて、著作権法の本にはそう解説してある状態ですね。

2013-02-06 09:31:24
小倉秀夫 @Hideo_Ogura

加戸逐条だと、44条の「自己の手段」とは「放送事業者が自ら有する人的・物的手段」のことだと説明してあるんだけど、ベルヌ条約11条の2第3項では、仏文だと「moyen」、英文だと「facility」って言葉が使われているんだよね。

2013-02-06 11:19:10

[2013/2/7 追記]

mohno @mohno

さて隣接権ですが、テレビ番組が映画の著作物であり、最初の番組の制作で問題がないなら、第91条2項で適用除外になったりしませんか?(←素朴な疑問) @Hideo_Ogura @soul_warden

2013-02-06 21:41:00
mohno @mohno

↓「最初の番組の制作で問題がない」は、おそらく海外ではテレビ番組のBGMとして楽曲を使う自体が著作者人格権に踏み込むため、著作権の包括許諾に含まれないだろうという意味で無問題と言い切れないかもしれないという意味です、念のため。 @Hideo_Ogura @soul_warden

2013-02-06 21:41:47
mohno @mohno

この先に進んでないけど、やっぱり「第91条2項により適用除外」で終わりそうな気がする。でも「包括契約で番組のBGMに楽曲使いまくり」がベルヌ条約(著作者人格権)として問題あり、という指摘はあると思う。 / “キー局が製作した放送用…” http://t.co/NsBwKAAl

2013-02-07 07:26:15

著作隣接権に基づく放送について国内法では、下記のように整備されています。この規定がベルヌ条約とどう関係があるのか、不明です。著作者人格権は、この議論では関係あるように思えません。


日本国著作権法

第2節 実演家の権利
(録音権及び録画権)
第91条 実演家は、その実演を録音し、又は録画する権利を専有する。
2 前項の規定は、同項に規定する権利を有する者の許諾を得て映画の著作物において録音され、又は録画された実演については、これを録音物(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)に録音する場合を除き、適用しない。


いわゆる消尽規定ですね。

もちろん、映画の著作物以外の放送についても92条で規定があります。いわゆる歌番組など番組の中で歌われている場合。


(放送権及び有線放送権)
第92条 実演家は、その実演を放送し、又は有線放送する権利を専有する。
2 前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
1.放送される実演を有線放送する場合
2.次に掲げる実演を放送し、又は有線送信する場合
イ 前条第1項に規定する権利を有する者の許諾を得て録音され、又は録画されている実演
ロ 前条第2項の実演で同項の録音物以外の物に録音され、又は録画されているもの


また、放送のための固定には、国内法においてはみなし規定もありますね。


(放送のための固定)
第93条 実演の放送について第92条第1項に規定する権利を有する者の許諾を得た放送事業者は、その実演を放送のために録音し、又は録画することができる。ただし、契約に別段の定めがある場合及び当該許諾に係る放送番組と異なる内容の放送番組に使用する目的で録音し、又は録画する場合は、この限りでない。
2 次に掲げる者は、第91条第1項の録音又は録画を行なつたものとみなす
1.前項の規定により作成された録音物又は録画物を放送の目的以外の目的又は同項ただし書に規定する目的のために使用し、又は提供した者
2.前項の規定により作成された録音物又は録画物の提供を受けた放送事業者で、これらをさらに他の放送事業者の放送のために提供したもの


固定物(テープ等)による放送は、強制許諾となっており、許諾を得ずに放送する事ができる。ただし、相当額の支払いが必要となっている。


(放送のための固定物等による放送)
第94条 第92条第1項に規定する権利を有する者がその実演の放送を許諾したときは、契約に別段の定めがない限り、当該実演は、当該許諾に係る放送のほか、次に掲げる放送において放送することができる。
1.当該許諾を得た放送事業者が前条第1項の規定により作成した録音物又は録画物を用いてする放送
2.当該許諾を得た放送事業者からその者が前条第1項の規定により作成した録音物又は録画物の提供を受けてする放送
3.当該許諾を得た放送事業者から当該許諾に係る放送番組の供給を受けてする放送(前号の放送を除く。)
2 前項の場合において、同項各号に掲げる放送において実演が放送されたときは、当該各号に規定する放送事業者は、相当な額の報酬を当該実演に係る第92条第1項に規定する権利を有する者に支払わなければならない。


商業レコードについては、実演家の国が条約についてどのような適用をしているかによって適用する条項が変わります。


(商業用レコードの二次使用)
第95条 放送事業者及び有線放送事業者(以下この条及び第97条第1項において「放送事業者等」という。)は、第91条第1項に規定する権利を有する者の許諾を得て実演が録音されている商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、当該実演(第7条第1号から第6号までに掲げる実演で著作隣接権の存続期間内のものに限る。次項から第4項までにおいて同じ。)に係る実演家に二次使用料を支払わなければならない
2 前項の規定は、実演家等保護条約の締約国については、当該締約国であつて、実演家等保護条約第16条1(a)(i)の規定に基づき実演家等保護条約第12条の規定を適用しないこととしている国以外の国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家について適用する。
3 第8条第1号に掲げるレコードについて実演家等保護条約の締約国により与えられる実演家等保護条約第12条の規定による保護の期間が第1項の規定により実演家が保護を受ける期間より短いときは、当該締約国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家が同項の規定により保護を受ける期間は、第8条第1号に掲げるレコードについて当該締約国により与えられる実演家等保護条約第12条の規定による保護の期間による。
4 第1項の規定は、実演・レコード条約の締約国(実演家等保護条約の締約国を除く。)であつて、実演・レコード条約第15条(3)の規定により留保を付している国の国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家については、当該留保の範囲に制限して適用する。
5 第1項の二次使用料を受ける権利は、国内において実演を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。
6 文化庁長官は、次に掲げる要件を備える団体でなければ、前項の指定をしてはならない。
1.営利を目的としないこと。
2.その構成員が任意に加入し、又は脱退することができること。
3.その構成員の議決権及び選挙権が平等であること。
4.第1項の二次使用料を受ける権利を有する者(以下この条において「権利者」という。)のためにその権利を行使する業務をみずから的確に遂行するに足りる能力を有すること。
7 第5項の団体は、権利者から申込みがあつたときは、その者のためにその権利を行使することを拒んではならない。
8 第5項の団体は、前項の申込みがあつたときは、権利者のために自己の名をもつてその権利に関する裁判上又は裁判外の行為を行う権限を有する。
(略)


レコード製作者についても同様


(商業用レコードの二次使用)
第97条 放送事業者等は、商業用レコードを用いた放送又は有線放送を行つた場合(営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、レコードに係る音の提示につき受ける対価をいう。)を受けずに、当該放送を受信して同時に有線放送を行つた場合を除く。)には、そのレコード(第8条第1号から第4号までに掲げるレコードで著作隣接権の存続期間内のものに限る。)に係るレコード製作者に二次使用料を支払わなければならない
2 第95条第2項及び第4項の規定は、前項に規定するレコード製作者について準用し、同条第3項の規定は、前項の規定により保護を受ける期間について準用する。この場合において、同条第2項から第4項までの規定中「国民をレコード製作者とするレコードに固定されている実演に係る実演家」とあるのは「国民であるレコード製作者」と、同条第3項中「実演家が保護を受ける期間」とあるのは「レコード製作者が保護を受ける期間」と読み替えるものとする。
3 第1項の二次使用料を受ける権利は、国内において商業用レコードの製作を業とする者の相当数を構成員とする団体(その連合体を含む。)でその同意を得て文化庁長官が指定するものがあるときは、当該団体によつてのみ行使することができる。
4 第95条第6項から第14項までの規定は、第1項の二次使用料及び前項の団体について準用する。


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